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ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』第4回 めざせ、グルメ王!


大人気ゲーム『カービィのグルメフェス』の小説版、『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』が、大ボリュームためし読みできちゃうよ!
カービィVSデデデ大王VSメタナイトの、食いしんぼうバトルがはじまります☆(全5回)

◆第4回

いよいよ、小さくなってしまったカービィたちによる『グルメフェス』が始まります!
……でも、グルメフェスって、いったい何をするの?

 

 

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めざせ、グルメ王!

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 ウェイターハンドは、おかしの世界にもどってきた。

 カービィたちは、よろこんだ。

「あ、お帰り、ウェイターハンド」

「どこへ行ってたの? 急にいなくなっちゃうから、びっくりしたよ」

「もうしわけありません。ちょっとしたゴタゴタがありましたが、もうだいじょうぶです。さあ、楽しいグルメフェスを始めましょう!」

 メタナイト以外の七人が、ワッと声を上げて手をたたいた。

 ウェイターハンドは続けた。

「では、かんたんに、グルメフェスのルールを説明いたします」

 コックカワサキが、ふしぎそうに言った。

「ルールがあるの? グルメのお祭りなのに?」

「もちろんです。先ほどもうしあげましたとおり、グルメフェスは、ただのお祭りではなく、八人の参加者さまたちの中から、真のグルメ王を決める、真剣勝負の戦場なのです!」

 デデデ大王が、自信たっぷりに言った。

「真のグルメ王は、オレ様に決まってるわい!」

 カービィが、ぴょんぴょんとびはねながら言った。

「えー、ぼくだよ! ぜったい、ぼく!」

 ウェイターハンドは、満足そうに言った。

「みなさまのやる気が伝わってきますね! では、これより、グルメ王の座をかけて、レースに挑戦していただきます!」

「レース?」

 ウェイターハンドは、クッキーをしきつめた道の先を指さした。

「このコースを進んでいきますと、いちばん奥に、山もりイチゴの丘がございます。そこが、ゴール地点。いちばん最初にゴールした方に、山もりイチゴひとりじめの権利と、グルメ王の称号があたえられます!」

「うわああい!」

 カービィは、興奮(こうふん)して飛び上がりながら言った。

「イチゴ大好き! よーし、ぼくが一番乗りだー!」

 駆け出そうとするカービィを、デデデ大王がつかまえた。

「まてまて、カービィ。ぬけがけは、いかん。ここは、オレ様が!」

 バーニンレオやチリーも、口々にさけんだ。

「おもしろそうじゃねえか! よーし、負けねえぞ!」

「ただ走るだけじゃなくって、とちゅうのおかしをたくさん食べながらゴールをめざそうよ!」

 これを聞いて、ウェイターハンドは手をたたいた。

「すてきなアイデアです! スピードだけではなく、食べた量も競(きそ)っていただきましょう。スピード賞と大食い賞、二つの勝負を合わせた点数で、グルメ王を決定いたします!」

 カービィは、両手を上げてさけんだ。

「よーし! ぜったい、ぼくが優勝だよー!」

 ナックルジョーが、笑って言った。

「そうはいかないッスよ、カービィ。食べる量はかなわないかもしれないッスけど、足はオレのほうが速いッス!」

「負けないぞー!」

 カービィは、八人が猛(もう)スピードでおかしのコースを爆走する様子を想像して、ワクワクした。

「すごいレースになりそう! ホイールやトルネイドのコピー能力があればいいのになあ!」

 と、次の瞬間。

 カービィの目の前に、ポンッとふしぎな物があらわれた。

 カップに入った、ソフトクリームだ。

 ただのソフトクリームではない。カップの中のクリームが、たつまきのようにビュンビュン回転している。

 カービィは、びっくりした。

「ソフトクリームが回ってる!? 魔法で作ったからかな!? うわあ、おいしそう、いただきまーす!」

 カービィは、思いっきり両手を広げて、ソフトクリームをすいこんだ。

 すると――カービィのすがたが変化した。

 まっしろで、うずを巻いている。ソフトクリームそっくりだ。


 カービィはびっくりしたが、パッとひらめいた。

「これって、ひょっとして……!」

 からだを、ぐるぐる回転させる。すると、カービィはたつまきになって、暴風をまき起こした。

「やっぱり! これ、トルネイドのコピー能力だよ。あのソフトクリームは、コピー能力のもとだったんだ!」

 とつぜんのたつまきに、みんなは大あわて。

「うわあああ! やめろよ、カービィ!」

「おかしが吹き飛ばされちまうぜ!」

 みんなの悲鳴を聞いて、カービィはあわてて回転を止めた。

「ごめんね、みんな、だいじょーぶ?」

 そのとき、パタパタと手をたたく音がした。

 ウェイターハンドが、にこやかに言った。

「ご満足いただけましたか? カービィ様の『コピー能力があればいいのに』というお願いを、ドリームフォーク様が、コピーフード能力として、かなえてくださったのです!」

「えっ……?」

「トルネイドだけではありません。ドリームフォーク様は、他にもたくさんのコピーフードを用意してくださいました! お好きなものをお使いください!」

 彼の言うとおり、あちこちに、コピーフード能力の元となる、ふしぎな食べ物「コピーフード」が出現していた。

 タイヤそっくりの形のドーナツは、ホイールだろう。燃えるようにまっかなトウガラシは、バーニング。ねじれたバネのような形のグミは、ハイジャンプだろうか。

 これを見たカービィは、くるんと宙返(ちゅうがえ)りをして、コピー能力をはずした。

「だめだめ! ぼく、コピー能力は使わないよ。ぼくだけ使えるのは、ずるいもん」

「え? でも、カービィ様は先ほど、コピー能力があればと……」

「言ったけど、お願いしたわけじゃないんだ。ぼく、使わないよ」

 デデデ大王が、大きくうなずいた。

「えらいぞ、カービィ。みんな、公平な条件でスタートしようではないか」

「おー!」

 みんな、拍手(はくしゅ)をした。

 コックカワサキが、くやしそうに言った。

「ぼくも、もっと足が速ければなあ! スピードとか大食いじゃなく、お料理対決だったら、ぜったい、ぼくが優勝なのに!」

 チリーが言った。

「寒さガマンくらべなら、ボクが優勝だよ」

 バーニンレオが笑った。

「なんだよ、それ。火の中ガマンくらべなら、オレだぜ!」

 バウンシーが、ぴょんぴょんとびはねながら言った。

「ジャンプ対決だったら、あたしよ! みんな、とくいなことと、苦手なことがあるから、むずかしいわね。みんなが、同じ条件で競争できればいいのに……」

 と、その瞬間。

 ポンッと音がして、八人の姿が変化した。

 全員、まんまるのボールのような形になってしまったのだ。

 八人は、びっくりぎょうてん。

 パタパタと手をたたきながら、ウェイターハンドが言った。

「いかがです! ただいまのバウンシー様のお願いを、ドリームフォーク様がかなえてくださいました! みなさまが同じ大きさ、同じ体型になり、同じスピードでころがれるようになったのです!」

「えええ――!?」

 バウンシーが、あせってさけんだ。

「わたし、お願いなんかしてない! こんなの、イヤよ! 元にもどしてー!」

「……いや、待て、バウンシー。これは、なかなか良いぞ」

 デデデ大王が、ポンポンはずみながら言った。

「走るよりも、らくに進める。快適(かいてき)だわい!」

 みんなも、あちこちにころがりながら言った。

「おもしろいぜ。こんなの、初めてだ」

「後ろにも、横にも、すばやく転がれるよ」

 バウンシーも、ころころころがってみて、納得(なっとく)した。

「たしかに……これなら、足がおそくても関係ないわね。みんな、同じスピードでころがれる!」

 メタナイトが、ウェイターハンドを見て言った。

「私は、参加したいなどと、一言も言った覚えはないのだが。このようなすがたにされたからには、参加せざるをえないようだな」

「もちろんですとも、メタナイト様」

「やむをえまい。一つ、たしかめておきたいことがある。レースが終わったら、われわれは元のすがたにもどることができるのだろうな?」

「もちろんでございます!」

 ウェイターハンドは、指で大きなまるを作った。

「ドリームフォーク様の魔法は、みなさまのお願いをかなえるためのもの。みなさまが、こころゆくまでフェスを楽しみ、もうじゅうぶん食べた、元にもどりたいとお思いになったら……フフフ、ただちに魔法はとけます」

 ウェイターハンドは、意味ありげに、指をくねくねさせた。

「わかった。では、始めるとしよう」

「みなさま、位置におつきください」

 ウェイターハンドは、指で地面にスタートラインを引いた。八人は、スタート位置についた。

「用意……スタート!

「うぉぉぉぉ! 負けられないッス~!」

「行くぜ! どけどけ~!」

 八人が、いっせいにころがりだす。

 前代未聞(ぜんだいみもん)の大レースが始まった。

 

     


いちばん多くおかしを食べて、いちばん早くゴールをめざせ! 真のグルメ王になるのは、いったいだれ!?
楽しくグルメフェスを始めたカービィたちだけれど、広場にのこされたバンダナワドルディたちは大さわぎになっていて……?
次回「バンダナワドルディの作戦」をおたのしみに!



『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』れんさい第5回(12月16日更新予定)に続く


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