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【先行連載】海斗くんと、この家で。 第5回


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      5 お熱じゃないよ!

 

 

 目覚まし時計の音が鳴るよりはやく目が覚めた。

 ベッドをおりて、壁にかけられたカレンダーをながめる。

 とうとう二学期になっちゃった。今日から学校かあ。

 気合いを入れて行かなきゃ!

 パジャマを脱いで着替えたあとは一階へ。

 うわー、ひどい! 洗面所の鏡にうつるわたしを見て、情けなくなっちゃった。寝ぐせだらけ!

 なっ、なんとかしなくちゃ!

 ジャブジャブといきおいよく顔を洗って、タオルで拭いて、髪をブラシでとかして――。

 にいっ、と笑顔をつくった。

 ようし、これで、なんとかだいじょうぶ!

「おっ、おはよ!」

 元気いっぱいにアイサツして、ダイニングテーブルについた。

「おはよう、詩衣(しい)。めずらしく自分で起きてこられたのね」

 と、お母さんはニコニコ。

「やっ、やだなあ。お母さん、起きられるよっ」

 なあんてね、ケンさんと歩夢(あゆむ)くんの前だから、そう言ってごまかしちゃった。

 本当は今までずっと、お母さんに起こしてもらってたんだよね。

「おはようございます、ケンさん。おはよう、歩夢くん」

 コーヒーを飲んでいるケンさんと、フォークで目玉焼きをつついて格闘中の歩夢くんにもアイサツした。だけど、あとひとり、いるべきひとがいない。

「あれ? 海斗(かいと)くんは? まだ起きてないの?」

 今日から学校、だよね……?

 大変、寝坊してるのかも!

「おっ、起こしにいかなきゃ!」

 わたしは大あわてで立ちあがり、海斗くんの部屋に向かった。

「海斗くん、朝だよ。起きてよ!」

 声をかけながら階段をあがっていったのだけど、海斗くんの部屋のドアがあけっぱなし!

 部屋をのぞいてみると、ベッドは空っぽだった。

「えーっ」

 なあんだ、最初からいなかったのか~。

 海斗くん、どこに行ったんだろう? 家出……じゃないよね?

 壁にかけられていたウエットスーツもボードも消えている。

 海に行ったんだ!

 バルコニーにでて、外を見てみる。すると、すぐ近くの浜を歩いている海斗くんを発見した。

 ちょうど帰ってくるところだったみたい。彼の足跡がずっとつづいている。

 ふう、よかった。わたしはバルコニーの柵(さく)に寄りかかった。

 またサーフィンしにいってたんだ。

 本当に好きなんだなあ……。

 太陽の日差しを受けながら歩く彼が、とってもまぶしい。

 髪が光に透(す)けて茶色になっている。

 わたしがここから見ているなんて、海斗くんは想像もしてないだろうなー。

 そのとき、下から服のすそをツンツンひっぱられた。

「しーちゃん、なにをみてるの?」

 つぶらな二つの瞳が、わたしをジッと見あげている。

「あっ、歩夢くん!!」

 ひええ! バンザイの姿勢で飛びあがった。

 歩夢くんが来たの、ちっとも気づかなかったよ~!

「かっ、海斗くんにっ、ゴハンできてるよ、って言いにきたの!」

 うろたえながらも、なんとか答えられたけれど、まだ胸がドキドキしている。

 わたし、海斗くんに見とれてなかった……?

 

      *

 

 歩夢くんといっしょに一階におりていったら、海斗くんがいた。

 リビングの窓枠に腰(こし)をおろして、風に吹かれている。

 海からあがってきたばかりの彼は、なんだか大人びていて、近寄りがたくて。わたしは声をかけづらくなってしまった。

 かっ、家族なんだから! きょうだいなんだから!

 ためらったりなんかしたら、ダメだからねっ。

 でも、わたしったら情けないんだ……。

「か、海斗くん、今日から学校、なのにっ……」

 ボソボソっと注意するのが、せいいっぱいだったんだ。

 海斗くんは、わたしをふり向いた。

「わかってるよ。すぐにシャワーをあびてくる」

 と、目の前でファスナーをおろし、ウエットスーツを脱ぎかける!

「わわっ!」

 なんで!?

 考えるよりはやく、リビングを飛びだした。

 わたしがいるのに、どうしてヘーキで脱いじゃうのーっ!

 キモチを落ち着かせるために廊下(ろうか)で息をついていたら、歩夢くんがトコトコやってくる。

「しーちゃん、どうしたの? まっかだよ? おねつ、ある?」

「だいじょうぶだよ、歩夢くん! お熱じゃないよ!」

「ブッ!」と海斗くんの笑い声が聞こえた。

 むうっ!

 わざとやったんだ……!

 

 しばらくして身支度を終えた海斗くんがダイニングにやってきた。

「はやく、ゴハン食べてよねっ。待ってるんだから……!」

 目をつりあげ、怒っているコトをアピールしたのだけど。

 海斗くんはニヤリとしながら、わたしの鼻の頭をピンと弾いた。

「ひゃっ!」

 と鼻をおさえる。

「わかってる、って、さっき言っただろ」

「ふ、フンだ!」

 わたしはドスドスとキッチンをでていった。

 海斗くんには、ペースをみだされっぱなし。

「なかよくやろう」って握手したのに、意地悪してくるんだもん。

 男の子って何を考えているのかよくわからないよ。

 うーん? それか、きょうだいってこういうものなのかな……?

 

<第6回へつづく>

※実際の書籍と内容が一部変更になることがあります。 


海斗くんと、この家で。 (1)初恋はひとつ屋根の下

  • 作:このはな さくら 絵:壱 コトコ
  • 【定価】748円(本体680円+税)
  • 【発売日】
  • 【ISBN】9784046321367

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