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【スペシャル連載】第1回 「震災を知らない世代が増えてきた」――東日本大震災をかんがえる本『世界はとつぜん変わってしまう?』


これまで「あたりまえ」だと思っていた毎日は、ある日とつぜんなくなってしまうかもしれない? それはたとえば、災害によってかもしれませんし、別の理由によってかもしれません。
十一年前にここ・日本で起こったとても大きな地震、東日本大震災を知ることで、あなたも「世界がとつぜん変わってしまう」かもしれないことについて、ちょっとかんがえてみませんか?

第1期は、小学5年生で東日本大震災を経験した雁部那由多さんに、当時の状況、その体験を様々な人に語る「語り部」活動、大学での研究活動について質問をした内容を一部抜粋の形で紹介します。
「語り部」とは、いったいどんな活動でしょうか? さっそく聞いてみましょう。


 

Q.ぼくたちみたいな小学生に直接、話をしに行くことはありますか?

A.自分の出身の小学校にもよく行くよ。でも、ぼくたちが被災したのと同じ場所で学んでいる今の小学生の子たちにとっても、もう震災は教科書の中のできごとになっちゃってるみたいなんだ。『ここに津波が来た』と話すと『へえ、そんなことがあったんだ』といって驚くんだ。自分が今、被災地にいるということにピンと来ていない。そういうときは震災を知らない世代が増えてきたのだなあと、実感するよ。

 

Q.実際に犠牲者がたくさん出た場所に住んでいる子たちでもそうなのですか?
 

A.現地の子でも、震災後に生まれた子たちにはなかなか伝わらないときがあるんだ。どうやったら聞いてくれるかな、みんなに届くかな、と、がんばって伝え方を工夫しているよ。
 市役所から、震災当時の写真を借りることができて、そこに実際にぼくがいた昇降口が写っているんだ。その写真を見せながら『(津波が到達したとき)この水道につかまっていた』『こっちから水が流れてきた』と説明したり、身ぶり手ぶりを加えながら『これぐらいの距離にいた人が流された』と伝えると、ようやく『ここでそんなことがあったんだ』と実感できるみたいだね。

 

この回答をしてくれたのは…

雁部那由多さん
2022年2月現在、東北学院大学の3年生。東日本大震災がきたときは、小学校5年生でした。
宮城県の沿岸部に住んでいた雁部さんは、地震が起こった当日、津波を経験しています。
震災直後はだれにも話せなかった震災当日の話を、現在は様々な人に語る『語り部』として活動しています。


明日はどうして「語り部」の活動をするようになったのかについて話を伺います。

本の中ではさらにくわしく

雁部さんが経験した東日本大震災とはどんな災害だったのか、その後行っている「語り部」の活動とはどういうものなのか、くわしくは『世界はとつぜん変わってしまう?』第一章で取り上げています。
 


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