「絶体絶命ゲーム」は「こどもでも、命がけで人生を一発逆転できる」という都市伝説のような存在。小学校時代から何度もゲームにまきこまれてきた春馬と未奈は、いつしか【絶体絶命ゲームのレジェンド】に…! 最新刊18巻は11月11日(水)発売。前の巻のラストで、たった1人でつり橋から落ちていった春馬は、いったいどうなったのか!? 大ピンチのゆくえを、どこよりも早くためし読みしてね!
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4 面会室の罠
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土曜日の朝。
警察病院のロビーは、診察を受ける患者や看護師などで混雑している。
退院の許可が下りた春馬がやってくると、竹神刑事がむかえにくる。
「なんだ、元気そうじゃねぇか」
「検査結果はどれも異常はありませんでした。ぼくは健康です」
「火曜日は、具合が悪くて倒れただろう」
「疲れがたまっていただけです」
「本当に、エンドと会うんだな?」
竹神刑事は、ロビーを行きかう人を横目で見ながら聞いた。
「はい。彼女に会えば、未奈の居場所がわかるはずです」
「エンドは春馬以外とは話さないと言ってるから、こっちとしては渡りに船だけど、いいんだな?」
「お願いします」
「それなら、警視庁の特別面会室につれていってやる」
春馬は竹神刑事と外にとめてあったパトカーに乗った。
パトカーは数分で、霞が関にある警視庁本部に着いた。
春馬と竹神刑事がやってくると、玄関前にいた体格のいい警官が、かしこまって敬礼する。
「竹神刑事は、えらい人だったんですね」
春馬が言うと、竹神刑事は照れくさそうな顔をする。
「たいしたことないよ。たまたま、昇進試験に合格しただけだ」
2人がホールに入ると、見覚えのある女性がスーツすがたの男をしたがえてやってくる。
『絶体絶命ゲーム』の主催者で責任者の深井アイだ。
「アイさん、ご無沙汰しています」
春馬があいさつすると、アイは申し訳なさそうな顔をする。
「『奈落』の件では、迷惑をかけたわね。本当なら、もっと前にあいさつにいかないとならなかったけど、色々と忙しくてね」
「そうみたいですね」
「今日は、どうして警視庁にきたの?」
「土黒エンドと面会するんです」
「そうか、エンドはあなた以外と話をしないと言っているのね」
「アイさんこそ、どうしてここに?」
「……それは、ちょっと」
話せない事情があるようだ。
「そうですか、わかりました」
「……春馬、ありがとう。未奈にもお礼を言っておいて」
アイはスーツすがたの男たちと、建物を出ていく。
「春馬、おれたちは特別面会室にいくぞ」
竹神刑事に言われて、春馬はセキュリティーゲートの前にいく。危険物を持っていないかを調べられ、ゲートを通って中に入る。
ときどき、さわがしい音が奥から聞こえてくる。
「工事をしているんですか?」
「月曜日に爆破されたところを、大至急で修繕工事しているんだ」
春馬は竹神刑事に案内されて、人気のない長い廊下を通っていく。
新たに作られた特別面会室の前にくる。
「ここが、特別面会室だ。エンドに会う覚悟はできているな?」
竹神刑事に聞かれて、春馬は「はい」としっかり答える。
「いくぞ」
竹神刑事がドアを開け、春馬を特別面会室に入れる。
コンテナのような細長い部屋の奥に、大型の動物を入れる檻が設置されている。
その中におかれた1人がけのソファーに、エンドがゆったりと座っている。
檻の手前には、テーブルと椅子がおかれている。
ドアの横に帽子を目深にかぶった制服の警官が立ち、エンドを見張っている。
壁にはデジタル時計と大きなモニター、天井には監視カメラが設置してある。
「……あれ?」
竹神刑事がけげんな顔で部屋を見まわす。
「どうかしたんですか?」
「いつ、壁にこんな模様を描いたんだ」
竹神刑事の答えを聞いて、春馬も壁を見まわす。
壁には、『×』や『◇』や『|』や『目』や『ハ』がいくつも描かれている。
ガタガタガタと部屋が少しゆれた。
「なんや、この面会室はさわがしいどすな」
檻の中にあるソファーに座っていたエンドが不機嫌そうに言った。
「おまえたちが警視庁で爆弾を爆破させたから、修繕工事をしているんだ」
竹神刑事が言い返した。
「まぁ、しょうがないどすな。……それで、どなたどす」
エンドが、春馬に目をむけて聞いた。
「おまえが会いたがっていた武藤春馬だ」
竹神刑事が言うと、エンドは鼻で笑う。
「あかん、気に入らないどす」
「なにが、気に入らないんですか?」
春馬が聞いた。
「仮病なんか使うて、若いのにご立派どすなぁ」
「ぼくは仮病は使ってません」
「火曜日、うちと電話で話してるときに仮病を使うたやろう?」
「急に具合が悪くなっただけです」
エンドは、春馬の答えが気に食わない。
「失格どす。嘘つき決定や。未奈には死んでもらいましょう」
エンドが冷たく言った。
「春馬、気にするな。はったりだ。この中では、外と連絡はつかない」
竹神刑事が言うと、春馬がすばやくドアを閉めた。
「春馬、どうかしたのか?」
「外と連絡はつきます。おそらく、エンドはスマホを持っている」
「なにを言ってるんだ。スマホなんて……。えっ!?」
竹神刑事が話している途中で、エンドはスマホを出して見せた。
「どうなってるんだ? スマホは没収したはずだ」
「ぼくたちは、騙されたんです」
「どういうことだ?」
竹神刑事は首をかしげる。
「走馬灯です。彼は逃げてません」
「なんだって?」
「彼が、走馬灯です」
春馬は、ドアの横にいる帽子を目深にかぶった警官を指さした。
「わたしが走馬灯だって? なにを冗談を言っているんです」
警官が驚いた口調で言った。
「帽子のサイズが合ってませんよ」
春馬が言うと、警官は苦笑いする。
「帽子のサイズが合ってないだけで、犯罪者あつかいですか?」
「春馬、本当に彼が走馬灯なのか?」
竹神刑事が、警官の顔をのぞこうとする。
警官は、竹神刑事から顔をそむける。
「ぼくは走馬灯の顔を覚えています。顔に『南無阿弥陀仏』と書かれてなくても、彼は走馬灯です。まちがいありません」
春馬の言葉に、警官は肩を震わせる。
「おい、警察手帳を見せろ」
竹神刑事が言うと、警官は帽子をとって振りむいた。
彼は、まぎれもなく走馬灯だ。
「おまえ、爆弾さわぎのときに外に出ていただろう。わざわざもどってきたのか?」
竹神刑事が聞くと、春馬が「そうじゃないんです」と言う。
「どういうことだ?」
「爆弾さわぎでは逃げずに、この建物に隠れていたんです」
「でも、テレビに映っていただろう?」
「あれは偽者です。似たような人物の顔に『南無阿弥陀仏』と書いて、レポーターのうしろに立たせて、外に逃げたと思わせたんです」
「どうして、そんなことをしたんだ?」
「おそらく、今回のためです。建物内で爆破があり、混乱した状態なら普通は外に逃げると考える。でも、自分たちの仕掛けたものなら、場所や威力もわかる。それで、安全な場所に隠れていたんです」
「大当たりどす!」
エンドはそう言ってスマホを操作する。
ドーン!
廊下で爆発音がする。
春馬と竹神刑事が顔を見合わせる。
エンドはスマホを片手にほほ笑んでいる。
「おまえ、なにをしたんだ?」
竹神刑事が檻の前にいくと、走馬灯がダッと走りだす。
「危ない!」
春馬が叫ぶが、間に合わない。
走馬灯が、竹神刑事の背中に体当たりする。
ガン!
竹神刑事が前のめりに檻にぶつかった。
そのとき、檻の中のエンドが竹神刑事の右腕をつかむと、力いっぱいに引っぱる。
「竹神刑事!」
駆けよろうとした春馬の前に、走馬灯が立ちふさがる。
「動くんじゃねぇじゃ」
走馬灯がいつもの口調にもどって言った。
エンドは目にもとまらぬ早業で、檻にぶつかった竹神刑事が腰についていた手錠をとった。そして、それを竹神刑事の右腕にかけると、もう片方を檻につける。
「そんなことをしても、鍵が……」
竹神刑事が左手で手錠の鍵を探すが、ポケットに入れていたはずの鍵はない。
「探しているのは、これじゃろう」
走馬灯が手錠の鍵を見せる。竹神刑事の背中に体当たりしたときに、盗んだのだ。
「おまえら!」
怒る竹神刑事だが、右手が手錠で檻とつなげられていて、その場から動けない。
「春馬、外に状況を知らせてくれ!」
竹神刑事に言われて、春馬は特別面会室を出た。
廊下は爆破されたがれきでふさがれている。
さいわい人はいなかったようだが、特別面会室は孤立してしまった。
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5 モニター越しの彼女は……?
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「春馬、おとなしゅうするどす。ほんまに未奈が死ぬどすえ」
エンドは楽しそうに言った。
「こんなことをして、なにがやりたいんだ?」
「決まってるやない。命をかけた『絶体絶命ゲーム』どす」
「ここの様子は監視カメラで見られてる。すぐに助けがやってくるぞ」
竹神刑事が言うと、エンドはかるく首を横にふる。
「そのために、竹神刑事と春馬を人質に取ったんどす」
「ぼくたちが、人質だって……!?」
エンドは監視カメラにむかい、「下手なことしたら、2人の命はおまへんで」と言う。
走馬灯は、ドアに内側から鍵をかける。
「そろそろ、未奈と再会させてあげるどす」
エンドがスマホを操作すると、部屋のモニターの電源が入る。
「えぇぇ……!?」
春馬が叫んだ。
おどろく春馬が見たものとは…!?
このつづきは11月11日(水)発売の『絶体絶命ゲーム18 両想いパワーで【渋谷計画】を止めろ!』を読んでね!
しかも、なんと、大ニュース!
『絶体絶命ゲーム』シリーズが、残り1冊で完結!!!
クライマックスは、この18巻からはじまっているよ!
これまでに登場したキャラクターが次々と登場し、さらに『絶体絶命ゲーム』の裏側が明かされる……
絶対、見のがさないでね!
書籍情報
- 【定価】
- 1,034円(本体940円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046324054
コミカライズ版は2027年1月5日まで公開中!
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