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【先行ためし読み!】最新刊『絶体絶命ゲーム18』 第3回


「絶体絶命ゲーム」は「こどもでも、命がけで人生を一発逆転できる」という都市伝説のような存在。小学校時代から何度もゲームにまきこまれてきた春馬と未奈は、いつしか【絶体絶命ゲームのレジェンド】に…! 最新刊18巻は11月11日(水)発売。前の巻のラストで、たった1人でつり橋から落ちていった春馬は、いったいどうなったのか!?  大ピンチのゆくえを、どこよりも早くためし読みしてね!




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2 敵の手におちた未奈

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 村からもどった日、春馬は都内の警察病院に検査入院することになった。

 橋から川に飛びこみ、溺れそうになりながら岸まで泳ぎ、乗せられた車が猛スピードでパトカーに激突した。

 春馬自身は気がつかなくても、大きなけがをしているかもしれない。

 レントゲンを撮り、MRI検査、血液検査、心電図検査など、たくさんの検査をうけた。

 そして、結果が出るまで入院することになった。


 春馬は警察病院のベッドで寝ていた。

 一流ホテルのスイートルームのような、豪華な病室だ。


「検査の結果は、まだ出てないようだな」

 竹神刑事が果物の詰め合わせを持って、病室に入ってきた。

 春馬はベッドから上半身を起こす。


「ぼく、本当にこんな豪華な病室に入院していいんですか?」

「たまたまVIP専用の病室が空いていたんだ。気にすることはない。……それにしても、こんな豪華な病室が必要なのかねぇ。VIPの考えていることはわからねぇよ」

「ぼくも同じ考えです」

「おう、はじめて気が合ったな」

 竹神刑事は、果物の詰め合わせをテーブルにおく。


「ぼく、元気なんですけど、いつ退院できるんでしょう?」

「そんなのは、おれの知ったことじゃない。医者に聞けよ」

「はぁ……」

 春馬が困惑していると、竹神刑事が少しだけ優しい口調で言う。


「ドクロ一族の走馬灯を逮捕できたのは、春馬のおかげだ。今日は、その礼を言いにきたんだ。……ありがとうな」

 竹神刑事が、春馬にむかって一礼した。

「そんなの、いいですよ。それに、ぼくが意図してやったことじゃないんだし」

「検査結果が出るまで、ここでゆっくり休んでいてくれ」


「あの、竹神刑事。気になることがあるんですけど、教えてもらえますか?」

「なんだ?」

「ぼくといっしょに『絶体絶命ゲーム』に参加した未奈たちは、無事に帰ったんですよね?」

 春馬の質問に、竹神刑事は、とぼけた顔をする。


「……あぁ、そうだった。春馬に見舞い客がいたんだ。ドアのむこうに待たせてある」

 竹神刑事が病室のドアを開けると、亜沙美が1人で立っている。


「亜沙美、よかった。みんな、無事に帰って……」

 言いかけて、春馬は小首をかしげた。

「あれ? 未奈は、いないのかい?」

「その前に、春馬が無事でよかったわ」

 亜沙美は、病室に入ってくる。

「それで、未奈と3人の1年生はどうなったんだ?」


「3人の1年生は無事よ。わたしといっしょに帰ってきたわ。……ただ、未奈だけは行方不明なの」

「なんだって!」


 驚く春馬に、竹神刑事が落ちつくように言う。

 亜沙美は、春馬と別れたあとの話をする。

 橋をわたった亜沙美たちが迎えにきたワンボックスカーに乗ると、すぐに眠らされて、目が覚めると、渋神中学の校門の前に座らされていた。

 亜沙美と3人の1年生はいっしょだったが、未奈はいなかった。

 亜沙美が話し終わったとき、窓は閉まっているのにカーテンがゆれた。


「だれだ!」

 竹神刑事が身がまえると、カーテンの裏側から、土黒虹子があらわれた。

「虹子じゃないか!?」

 驚く春馬に、虹子が「お帰り、春馬」と言った。



「おまえ、ドクロ一族の末っ子の土黒虹子か?」

 竹神刑事が警戒しながら聞いた。

「へー、よく知っているね、警視庁特別捜査班の竹神刑事」

「おまえこそ、どうして、おれの名前を知っているんだ?」

「それは、ぼくら一族を捜査している人だからね。ドクロ一族では有名人だ」

「それは光栄だね」

 竹神刑事は、携帯していた手錠を手にとる。


「待ってくれよ。ぼくはドクロ一族だけど、悪事にはかかわってない」

「ここに入ったのは、不法侵入だ」

「友だちの見舞いにきただけだ。そうだろう、春馬?」

「竹神刑事、虹子の言う通りだ。不法侵入じゃない」

 春馬が答えると、竹神刑事が手錠をしまう。


「逮捕はしない。冗談だよ。それにしても、どこから侵入したんだ? ここは警察病院の中でも、セキュリティーが厳しいんだぞ」

「こういうのは得意だ。姉さんは、もっと得意だけどね」


「虹子、未奈が帰ってないんだ。どうなっているか、わかるか?」

 春馬が聞くと、虹子が申し訳なさそうに言う。

「未奈は、ドクロ一族に誘拐されたんだ」

「やっぱり、そうか。それで、未奈は無事なんだよね?」

「そこまではわからない。ただ、未奈を誘拐したのには目的があるはずだ。その目的が達成されるまでは、危害は加えないはずだ」

「危害って……、未奈はゲームにクリアして村を出たんだ。おかしいだろう!」

 春馬は怒りで声をつまらせる。


「おまえもドクロ一族の1人なんだろう。滝沢未奈がどうなっているか、調べられないのか?」

 竹神刑事の質問に、虹子は首を横にふる。

「無理だ。ぼくは一族のきらわれ者だし、今度のことには、かかわってない」

「それなら質問をかえる。今、ドクロ一族はどういう状況なんだ」

 竹神刑事が聞くと、虹子は少し考えてから答える。


「ドクロ一族は長い間、国から依頼されて世間に公表できない裏の仕事をやってきた。そのことが世間に知られると困るので、ドクロ一族との契約を解除したんだ」

「それで、現状はどうなんだ?」

 竹神刑事はいらいらした口調で聞いた。

「クビを素直に受け入れて解散を望む『解散派』と、国に裏切られたと反発している『反発派』に分かれたんだ。『解散派』と『反発派』はことごとく意見がちがうんだ」


 春馬は、「ことごとく意見がちがう」という言葉が引っかかる。

「虹子はどっち派なんだ?」

 竹神刑事が聞くと、「当然、『解散派』だよ」と答えた。

「ドクロ一族は分裂しそうなのか?」

 春馬が質問したが、虹子は黙りこむ。


「それで、『反発派』はどうしているんだ?」

 竹神刑事が聞いた。

「『奈落』と手を組んだようだよ」

「なんだって!」

 春馬が大きな声を出した。


「国にクビになったドクロ一族の『反発派』と、国に反旗を翻した『奈落』が手を組んだということか……」

 竹神刑事が腕組みをして考える。

 虹子たちの話を聞いていて、春馬は気がついたことがある。

「ドクロ一族がぼくに興味を持ったのは、『奈落』のメンバーを知っているからか」

「そうかもしれないね。春馬なら、『奈落』とのパイプ役にちょうどよさそうだ」


 そのとき、竹神刑事のスマホが鳴った。

 スマホのディスプレイを見た竹神刑事が、首をかしげている。

「なんだ、これ?」


 スマホのディスプレイに、ドクロマークが表示されている。

「それ、ドクロ一族のスマホからの着信だよ」

 虹子が言った。

「なんだって、どういうことだ?」

 竹神刑事は首をかしげて、電話に出る。

「もしもし……」


「驚いたじゃろう、竹神刑事よ」

「その声は、走馬灯。どうして、おれのスマホの番号を知っているんだ?」

「ドクロ一族の手にかかれば簡単に調べられるんじゃ。それよりも、春馬もいっしょじゃろ。スマホをスピーカーにしてくれじゃ」

 竹神刑事はスマホをスピーカーにして、走馬灯に質問する。


「おまえ、警察の留置場だろう。どうやって、電話をかけているんだ?」

「竹神刑事は、なにもわかってないじゃな。そこにテレビがあるじゃろ。見てみろじゃ」

 春馬が病室にあるテレビをつけると、東京の霞が関にある警視庁の本部が映る。その建物から白い煙があがっている。

 レポーターが建物から少し離れたところから、状況を説明する。


『……最新の情報が入りました。警視庁本部で爆破事件がありました。けが人が数人いるようですが、全員、軽傷とのことです。

 それと、警視庁のコンピュータが何者かによりハッキングされ、警備システムがダウンしているとのことです。それにより留置されていた被疑者が、逃走したとみられます』



 レポーターのうしろに、顔に『南無阿弥陀仏』と書かれた走馬灯が、スマホを持って立っている。

「そういうことじゃ」

 スマホから走馬灯の声が聞こえてくる。


「今すぐに警視庁の本部にもどれ。脱走しても、罪が重くなるだけだぞ!」

 竹神刑事が言うと、走馬灯の笑い声が返ってくる。

「おまえはアホか! もどるわけなかろう。ほいじゃ、さよならじゃ」

 走馬灯からの電話が切れる。


「竹神刑事、どういうことですか?」

 春馬が質問した。

「おれにもよくわからねぇ。警視庁のコンピュータがハッキングされて、せっかく捕まえたドクロ一族の悪人たちが逃げだしたようだ」

「警視庁のコンピュータって、そんなに簡単に侵入できるんですか?」

 春馬が疑問を口にすると、竹神刑事はなにかに気がつく。


「何者かが警視庁の中央コンピュータ室に入らないと、ハッキングはできねぇ」

 そう言った竹神刑事は、あわてた様子で警視庁本部に電話をかける。

「……中央コンピュータ室に、侵入者がいるはずだ。今すぐ、調べるんだ!」

 竹神刑事はスマホ片手に、病室をうろうろと歩きまわる。

 少しして、電話相手から返事がある。

「……そうか、捕まえたんだな。……えっ?」

「侵入者を捕まえたんですね?」

 春馬が聞くと、竹神刑事が解せない顔でうなずく。

「その人物が警視庁の中央コンピュータ室に侵入して、セキュリティーシステムをダウンさせて、勾留していた走馬灯を逃がしたようだ」

「その人物はだれなんだ?」

 虹子が聞くと、「こいつだよ」と竹神刑事はスマホの画面を見せる。

 黒のロングヘアに鋭い目つきの若い女性だ。


「嘘だろう!」

 虹子が大きな声を出した。

「虹子、だれなんだ?」

 春馬が不思議そうに聞いた。


「ぼくの姉さん、土黒エンドだよ。ドクロ一族で、父の次に力を持っている実力者だ」

「その実力者を捕まえたんだったら、未奈の居場所がわかるんじゃないか?」

 春馬が聞くと、虹子が不安そうな顔で答える。

「エンドが言うわけない。彼女は策略家で冷酷な性格なんだ」

「飛んで火にいる夏の虫というところか。走馬灯には逃げられたけど、ドクロ一族のナンバー2を捕まえることができたぞ。大きな成果じゃねぇか」

 竹神刑事は喜んで病室を出ていった。


「奇妙だよ」

 虹子がつぶやいた。

「なにか気にかかることがあるのか?」

 春馬の質問に、虹子は首をひねりながら答える。

「エンド姉さんは冷酷非道なんだ。警察に捕まるようなドジをした走馬灯を助けるために、こんなことをしたとは思えない」

「それじゃ、どうして、あんなことをしたんだ?」

「わからない……」


第4回につづく(11月2日(月)更新予定)



書籍情報


作: 藤 ダリオ 絵: チヨ丸 キャラクター原案: さいね

【定価】
1,034円(本体940円+税)
【発売日】
【サイズ】
新書判
【ISBN】
9784046324054

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コミカライズ版は2027年1月5日まで公開中!




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