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【先行ためし読み!】『くいなちゃんはゾンビ!』 第8回


【主人公が●んじゃってる】なんて……そんなのアリ!?
ごくフツーの小学生だったはずなのに、目が覚めたらゾンビになっちゃってた、くいなちゃん。それでも気を取りなおして、学校に通うことにしたんだけど、ちょ~たいへん!毎日がハラハラドキドキそして大爆笑(なんで!?)だらけ。次の章でなにがおきるか、まっったく予測不能な、最強ゾンビガール学園コメディ。しかも、な、なんとさし絵イラストがカラー!!みんな、ぜったいぜったい、見ててよねっ!




 

8 まさか! クラスメイトが名探偵っ!?



「――それで、どうなったの?」

「マンガやゲームを、学校に持ってくるのは禁止だからね。そのうち、わたしの家へ届けてくれるって。黒羽(くろばね)くんが」


「ほほう。それは、おもしろくなってきたねぇ」

 わたしの話をきいて、大日南(おおひな)さんがにしし、と笑った。

 おもしろくなってきたって、なにが?

 ピンとこないけど。

 やったことないゲームで遊んだり、読んだことないマンガを読んだりできるのは、じつはすごく、楽しみなんだ。


 だって、わたし、ゾンビになってから、少しこまってることがあって……。


 まっっっったく、夜、眠れないの!


 死んでいるから、睡眠がいらないんだよね~。

 すると、どうなるかといえば……夜中から朝までずーっと、ヒマをもてあましちゃう。


 だから、マンガやゲームを貸してくれるのは、すなおにありがたいって思うんだ。

 サッカーのクラブに入る気は、ないけどね……。


   ●


 わたしと大日南さんは、校舎裏にならんでしゃがみこみ、しゃべっている。

 6時間目が終わり、そうじ当番として校舎裏にきているんだ。


 もちろん、しゃべってばかりじゃなくて、ごみをひろったり、草を抜いたりしている。

 ……ほんとだよ?


「おしゃべりしてないで、ちゃんと、そうじしなよ」

 もうひとりの当番が、ごみ袋を片手にやってきた。

 頼人(らいと)くんだ。なんだか、ふきげんそう。

「はいはい、わかりましたよ~」

「がんばろう、大日南さん」

 わたしたちは、そうじに集中しはじめた。


 ゾンビになって、指の力も強くなってるんだ。

 かるく力を入れるだけで、雑草が根っこから、ぶちぶちっ! と抜ける。

 こういうゲーム、あったよね?

 ちょっと、楽しくなってきちゃったぞー!


 しばらくのあいだ、下をむいて、もくもくと草を抜いていると、

   どんっ!

 とつぜん、肩に、なにかがぶつかってきて、わたしの体が揺れた。


 同時に、黒いものがビュッと、視界のはしっこをとおりすぎる。

 えっ、なに……!?


「ちょっ、存美(ありよし)さん……!?」

「くいなっ!」

 頼人くんのするどい声に、なにかがおきたと感じて、わたしはあたりを見まわした。


 2人の視線は、わたしの真上にむかっている。

 そ、そういえば、いつのまにか、わたしのまわりだけ暗い……?

 おそるおそる、上をむくと……


「きゃあっ!?」


 頭上に広がっている光景を見て、思わず悲鳴をあげちゃった。


 わたしから5メートルほどのところを、たくさんのカラスが、飛びまわっている!

 20……いや、30羽くらいいる!?

 カアカアと鳴きながら、ぐるぐる旋回をつづけている。

 飛びながら、カラスたちは、じっとこちらを見ている~っ!


 ヤバい、ヤバいフンイキだよ!

 しかも、カラスの大群が飛んでるのは、あきらかに、わたしの真上!

 も、もしかして……。


「ねらわれているの、わたしっ?」


 わたしが一歩も動けずにいると、


「クワァーッ!」


 と、ひときわ大きな鳴き声っ!

 それを合図に、カラスたちが、いっせいにわたしへおそいかかってきたっ!


「いやぁーっ!!!」

 手をぶんぶんふりまわして、なんとか追いはらおうとした。


「やだやだやだ、カンベンしてよーっ!」


 でも、多勢に無勢っていうのかな?

 クチバシで、つつかれちゃってる~っ! 体のあちこちを!

 ゾンビだから痛みはぜんぜんないけど……こわい、めちゃくちゃこわいよーっ!


「くいなから、はなれろっ!」

「やめなさいよ、カラス!」

 頼人くんは体をはって、大日南さんは竹ぼうきをふりまわして、わたしを守ろうとしてくれてる。

 けど、キリがないっ!


「ダメだ、逃げよう、くいな! 建物の中に入るんだ!」

「う、うん!」

 頼人くんが、わたしの手をひっぱり、校舎へと走りだした。

 わたしはよれよれしつつ、頼人くんといっしょに走った!

 うしろからは、大日南さんもダッシュで追いついてくる。


 3人で転がるように裏口から校舎の中へ入ると、

   ガラガラガラッ!

 大日南さんが、ドアをすばやく閉じてくれた!

 もうだいじょうぶ、カラスは入れない……。


「こ……こわかったぁぁぁ~~~~~~!」

 わたしは、廊下にへたりこんじゃった。


「なんなんだよ、あいつら!」

 と、頼人くんが、荒い息をしながら言った。

「むかし観たパニック映画みたいだったよ……。リアルでこんなの初めて見た」

 いつも明るい大日南さんも、冷や汗をぬぐっている。

 少しおちつくと、2人がわたしのようすに気がついた。


「わ、ひどいっ」

「えっ? ……あーっ!」

 わたしも、いっしょになっておどろく。

 痛みを感じないから、気づかなかったけど。

 わたしの体に巻かれた包帯が、ずいぶんボロボロになっているんだ。

 さんざん、つつかれたり、ツメでひっかかれたりしたからね……。


「存美さん、包帯はだいじょうぶ?」

 大日南さんが、気づかってくれる。

「う、うん。今日はもう、家に帰るだけだから」


 頼人くんが、わたしを見て、首をひねる。

「どうして、あのカラスたち、くいなばかりをねらってたんだろう? ぼくや大日南もいたのに」

 う~ん、なんでだろうね?


 すると大日南さんが、ごく自然な口調で言ったんだ。


「それは、習性でしょ。――――カラスって、死肉を食べるらしいから」


「そうか、なるほど」

 と、うなずきかけた頼人くんが「……あっ!」と、あわてて自分の口をふさぐ。

 ん? 頼人くん、どうして……


「あああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」


 わたしも、頼人くんの反応の意味がわかって、思わずさけんじゃった。


 大日南さん、いま、し、「死肉」って言った……っ!?

 しかも頼人くん、あたりまえみたいに「なるほど」って返事しちゃった……!?


 ここここここれって……!

 あわわわわ! とうろたえる、わたしと頼人くんの反応を見て、大日南さんは苦笑いしてる。


「その反応……やっぱり、存美さんはゾンビ!なんだね?」


 ぎゃ――――――――っ!

 人に知られちゃった―――――っ!


「あたし刑事ドラマが好きでさ。主人公のマネしてカマをかけてみたの。まさか若月のほうが引っかかるとはね」



 わ、わわわ……みごとにワナにかかって自白までしちゃったよ~っ!

 でも、なんでっ!? なんでわかったの!?


「おととい、存美さんの体の冷たさを感じたとき、ビックリしたんだよ。あの冷たさは、ただの冷え性ってレベルじゃないし。しかも、なんだか若月は、やたらとガードしてくるし。こりゃ、存美さんには、なにかヒミツがあるな、と。あたしのカンが、ね☆」


 頼人くーん!

 頼人くんのガードが鉄壁すぎたぶん、逆に疑われちゃったんじゃん!


「さらに、きわめつけ。この目で見ちゃったの。サッカーのとき、体育館裏まで、こっそりあとをつけてさ。存美さんの足が、とれちゃって、若月がそれをくっつけてるところ」


 あのとき感じた視線は、大日南さんだったんだ!

 そのあと教室へもどってから話したときは、知らないフリをしていたの?

 や、やられたぁ~!


「いろいろ考えて、存美さんがゾンビなんじゃないかって推理したわけ。それがさっきのカラスの大群で確信に変わったの。しっかし、ゾンビが、こんな身近にいるなんてね~。都市伝説だと思ってたよ~」

 大日南さんが、得意げなようすで、タネあかしをしてくれた。


「! ! !」

 ど、ど、どうしよう……!

 わたしはもうパニックで、言葉も出ない。


「ハ、ハハハハハハ。ソンナコト、アルワケナイダロ。クイナ、ガ、ぞんび、ダナンテ、ジョウダンハ、ヤメテクレ」

「頼人くん、安っぽい動画の音声みたいになってるよっ!」

 わたし以上に混乱してるじゃないの!

 ヒミツを守ろうとしてくれているのは、わかるけどさ!


 ……わたしは、覚悟を決めた。

「もういいよ、頼人くん。ありがとう」

 これ以上かくすのは、ムリだ。


「大日南さんの言うとおり、わたしはゾンビなの。……ぜんぶ、話すね」


すべてを見ぬいちゃった、大日南さんに、くいなちゃん大ピンチ!!
そして、大日南さんの反応は……?
つづきは、5月13日発売の『くいなちゃんはゾンビ! 最強ゾンビちゃんは学校に通いたい』で読んでね!




これ以外にも、おそいくるカラスから、くいなちゃんを守るために、みんなで次々とトンチキな作戦を考えたり。
ちかくをさわがせる悪者をつかまえようと、探偵しちゃったり……と、ワクワクするお話が入ってるから、お楽しみに!


書誌情報


作: 平河 ゆうき 絵: からあげたろう

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324061

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