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マホロアが作ったテーマパーク『マホロアランド』に、カービィたちをご招待! 今度のマホロアは、いったい何をたくらんでいるの!?
8月5日発売のつばさ文庫『星のカービィ おいでよ、わいわいマホロアランド!』の先行ためし読みだよ!
◆第5回
すてきなホテルでゆっくり休んで、おいしい朝ごはんをおなかいっぱい食べたら、マホロアランドの楽しい2日目の始まりです! でも、4人で挑んだアトラクションで、事件が起こる!?
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対決! 爆裂ボンバーラリー!!
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カービィたちは、レストランにもどって残りの朝食を平らげてから、マホロア城をおとずれた。
「さて、今日もミンナに楽しいアトラクションで遊んでもらうヨォ!」
マホロアは、すっかり元気になっていた。
朝食のときの、どんよりした様子は、きれいさっぱり消えている。
カービィがたずねた。
「どんなアトラクションがあるの?」
「たくさんあるヨォ。カービィたちが、まだ遊んでないのは、『スマッシュライド』とか『おちおちファイト』とか『爆裂ボンバーラリー』とか……」
デデデ大王が言った。
「『爆裂ボンバーラリー』が、おもしろそうだわい。名前からすると、ばくだんで敵をぶっ飛ばすゲームなんだろう?」
「チョットちがうケド……ばくだんを、ラケットで打ち合うゲームだヨ。打ちそこねると、ドッカーン! ばくだんがバクハツしちゃうンダ」
バンダナワドルディが、心配そうに言った。
「そんなの、あぶないよ。みんながケガをしちゃう……」
「ダイジョーブ! そんなコトにならないように、考えてあるヨ」
マホロアは片手を上げて、『爆裂ボンバーラリー』のキャストのワドルディを呼んだ。
「きのう説明したとおり、ばくだんの火薬の量を調節しておいてネ。レバーを『最小』っていうところに合わせるんだヨ。そうすれば、小さなバクハツですむからネ」
「はい、りょうかいです!」
キャストのワドルディはピシッと敬礼をして、持ち場へ走っていった。
デデデ大王が、腕まくりをして言った。
「おもしろそうだわい! カービィ、メタナイト、きさまら、まとめてぶっ飛ばしてやるぞ!」
メタナイトも、興味を持った様子で言った。
「どうやら、速さと正確さが求められるゲームのようだ。私が負けるはずがない」
カービィも、自信まんまんでさけんだ。
「ぜったい、ぼくの勝ちだよ! 早くやろうよ!」
「コッチ、コッチだヨォ」
マホロアが、みんなの先頭に立って、歩き出した。
☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・
さて、キャストのワドルディは、アトラクションの裏側にある調整室にやって来た。
ゲームに使うためのばくだんは、機械で火薬の量を調節することになっている。
マホロアの言うとおり、レバーを動かして「最小」に合わせた。
「これで、よしと」
できあがったばくだんは、自動的に専用レーンにのり、みんながいるステージまで運ばれるしくみだ。
ワドルディは、調整室を出ていこうとした。
そのとき、後ろで、ガタッと音がした。
ワドルディが振り返ると、機械のかげに、人影が見えた。
ワドルディは、ドキッとした。
ここには、自分一人しかいないはずなのに……。
「だ、だれ?」
ワドルディは、おっかなびっくり、声をかけてみた。
すると、人影がサッと振り向いた。
仮面をつけ、マントをまとった剣士。メタナイトだった。
「あれ? メタナイト様?」
ワドルディは、ふしぎに思った。いつのまに、入ってきたのだろう?
メタナイトは無言で、火薬調節の機械を見つめている。
ワドルディは言った。
「あ、ひょっとして、ぼくがちゃんとお仕事をしてるかどうか、たしかめに来たんですか? だいじょうぶです、ちゃんとレバーを『最小』に合わせました!」
「……」
メタナイトは、興味をひかれたようにじっくりとレバーをながめ、そっと手をのばした。
ワドルディは、びっくりしてさけんだ。
「え!? なにをするんですか! レバーにさわっちゃダメです……!」
するとメタナイトは、ふしぎな笑い声を上げた。
「クククケケケッ!」
「……え!? メタナイト様!? ど、どうしたんですか……!?」
メタナイトらしくない声を聞いて、ワドルディはたじろいだ。
メタナイトは、そんなワドルディの反応をおもしろがるように、いきなりレバーを「最大」まで押し上げた。
ワドルディは悲鳴を上げた。
「わあああああ! なんてことするんですか! だめですー!」
ワドルディはあわててレバーに飛びつこうとしたが――。
「クケケッ!」
メタナイトは、またしても奇妙(きみょう)な笑い声を上げ、ワドルディに向かって剣をぬいた。
「わあああああ!? メタナイト様――!?」
ワドルディはおどろいて、ひっくり返った。
「ケケケケッ!」
剣を突きつけられたワドルディは、おそろしさのあまり、気を失ってしまった。
☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・
『爆裂ボンバーラリー』のステージは、広々とした原っぱだった。
足もとは草原だし、頭上はまっさおな空。
カービィは、おどろきの声を上げた。
「わあ、どうなってるの!? お城の中なのに、どうして空があるの!?」
デデデ大王が言った。
「天井がないんだわい。きっと、建てているとちゅうで、おかねがなくなったんだな!」
メタナイトが頭を振った。
「――いや、たぶん、天井のスクリーンに青空の映像をうつしているのだろう。しくみはわかるが、これほどのアトラクションを一人で作り上げるとは、すさまじい技術力だ」
メタナイトは、警戒するように、マホロアを見た。
マホロアは、ニコニコして、みんなにフライパンの形をしたラケットをくばった。
「よろこんでもらえて、うれしいヨォ。それじゃ、『爆裂ボンバーラリー』を始めるネ! 勝ったら、スタンプをたくさん押すヨォ。ミンナ、がんばって!」
カービィが、張り切ってさけんだ。
「ぼくが勝つもんね! おー!」
「それじゃ、スタートするネ! まずは、カービィのサーブからだヨ!」
マホロアは、専用レーンで運ばれてきたばくだんを、カービィに渡した。
「よーし。そーれ!」
カービィはばくだんを放り上げ、バンダナワドルディめがけて、ふわりと打った。
「わわわ! 来た!」
バンダナワドルディはラケットをしっかりにぎり、デデデ大王のほうへ、慎重(しんちょう)に打った。
デデデ大王は、舌なめずりをしてさけんだ。
「よし、ぜっこうのチャンス! くらえ、メタナイト!」
デデデ大王の、豪快(ごうかい)なスマッシュ!
しかし、メタナイトはおちついていた。
「フッ、君の力は、この程度か。本気で行くぞ、覚悟しろ、カービィ!」
メタナイトはカービィに向けて、するどいアタック……!
と見せかけて、すばやくラケットを反対の手に持ち替えて、逆打ち!
ばくだんは、デデデ大王のほうへ飛んでいった。
すっかりゆだんしていたデデデ大王は、ぎょっとして叫んだ。
「うぎゃああ!?」
あわててかまえたラケットは届かず、ばくだんは地に落ちた。
ドォォォォ――ン!
すさまじい衝撃(しょうげき)が、大地と空気をふるわせ、大王をふっとばした。
大爆発だ。地面がえぐられ、大きな穴があいた。
カービィは、びっくりしてさけんだ。
「わあああ!? デデデ大王!」
バンダナワドルディが、悲鳴を上げて、デデデ大王に駆けよった。
「大王様ー! ご無事ですか、大王様ー!」
デデデ大王は、大爆発の衝撃で、頭から地面にめりこんでいた。足だけが、地上に突き出ている。
メタナイトがさけんだ。
「いかん、早くデデデ大王を助けるのだ!」
メタナイトが駆けよって、デデデ大王の片足を持った。
カービィとバンダナワドルディが、反対側の足を持った。
「せーの!」
力いっぱい引っぱると、スポッと大王のからだが地面からぬけた。
デデデ大王は、土まみれの顔をぬぐって、かんしゃくを起こした。
「うがぁぁぁー! なんだ、今のは!? マホロア! けがをしないように、火薬の量を調節したのではなかったのか!?」
マホロアは、飛び上がってさけんだ。
「ビックリだヨォ! こんなはずじゃ、なかったんだヨォ! 機械がこわれちゃったのカナ……タイヘンだ!」
マホロアはくるっと向きを変えて、調整室へと走り出した。カービィたちも、急いでマホロアに続く。
調整室のドアを開け、中に踏みこんだ一行が見たのは――気を失っている、ばくだん係のワドルディだった。
バンダナワドルディが、びっくりしてさけんだ。
「ど、どうしたの!? 君、だいじょうぶ!?」
「う……うう……ん……あ!?」
ばくだん係のワドルディは意識を取りもどし、ガバッと起き上がった。
「ばくだん! ばくだんは、どうなりましたか!?」
「どうなりましたか、じゃないわい!」
デデデ大王が、ばくだん係のワドルディをつまみ上げた。
大王の顔や手足は土まみれ、ごじまんのガウンは焼けこげている。
ばくだん係のワドルディは、ふるえ上がった。
「大ばくはつが起きたんですね!? だ、大王様……ご、ご無事でよかったー……!」
「ちっとも、ご無事じゃないわい! きさまが、火薬の量をまちがえたせいで……!」
かんしゃくを起こしているデデデ大王の横を、マホロアがすりぬけて行き、奥の機械を確かめた。
「ウワァ! タイヘンだヨォ! レバーが『最大』になってる! これじゃ、大バクハツが起きるに決まってるヨォ!」
マホロアは、頭をかかえた。
デデデ大王は、血相(けっそう)を変えてさけんだ。
「なんだと!? ワドルディ、きさま、『最小』と『最大』をまちがえたな……!?」
「ち、ちがいます。ぼく、ちゃんと『最小』に合わせたんです。でも、そこへ、メタナイト様がやって来て、レバーを動かしちゃったんです……わああああ!」
ばくだん係のワドルディは、デデデ大王のとなりに立っているメタナイトを見て、ふるえ上がった。
「……なに? 私が?」
メタナイトは、めんくらった。
デデデ大王は、重々しく首を振った。
「そんなわけがあるか! メタナイトは、ずっとオレ様たちといっしょにいたのに。おまえ、いねむりをして、夢でもみたんだろう!」
「いいえ! メタナイト様がレバーを『最大』にしてしまって……ぼく、止めようとしたんですけど、そしたら剣を突きつけられて……急に気がとおくなってしまって……」
メタナイトは、ぼうぜんとして言った。
「それは、私ではない。私は、ずっと、みなといっしょにいた。調整室に、近づいてすらいない」
「でも……でも……たしかに、メタナイト様が……うそじゃないです……わぁぁん!」
バンダナワドルディが、わんわん泣き出したワドルディを抱きかかえて、言った。
「ひょっとすると、だれかが、メタナイト様に変装していたのかもしれません」
「変装?」
「ここは、うす暗いですから、仮面やマントをつけていれば、メタナイト様のふりをするのはむずかしくないと思います。だれかがメタナイト様に変装して、忍びこんだんじゃないでしょうか」
デデデ大王は、首をひねった。
「うーむ……だが、だれが、そんなことを? マホロア、心当たりはあるか?」
マホロアは頭を振り、とほうにくれたように答えた。
「ないヨォ。マホロアランドのお客サマは、キミたちだけなンダ。マホロアランドの中には、キミたちと、キャストのワドルディくんたちと、ローアしかいないはずだヨォ」
メタナイトが、冷たい声で言った。
「いや、もう一人、わすれているぞ。マホロア、おまえだ」
「エ? ボク?」
「おまえなら、調整室の場所も、レバーの操作方法も、よく知っている。私に変装するのも、かんたんだろう」
マホロアは目を見ひらき、ぶんぶんと頭を振ってさけんだ。
「ボク、そんなコト、しないヨォ! マホロアランドは、ボクのタイセツな場所なンダ。お客サマがケガをしちゃうようなコト、ゼッタイ、するはずがないヨォ!」
カービィが言った。
「そうだよ。それに、マホロアだって、ずっと、ぼくらといっしょにいたじゃない。にせもの仮面は、ぜったい、マホロアじゃないよ!」
デデデ大王が、うなった。
「うむむむ……どうなってるんだ? だれかが園内に忍びこみ、メタナイトになりきって、悪さをしたということか?」
安全なはずのアトラクションで大爆発! メタナイトのにせものの正体は? マホロアランドで悪さをして、いったい、何が目的なの?
いよいよ、カービィたちが、犯人探しにのりだします!
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