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ものがたり

注目シリーズまるごとイッキ読み!『四つ子ぐらし① ひみつの姉妹生活、スタート!』第1回 はじめまして、四姉妹


私、宮美三風。家族のいない、ひとりぼっちの12歳…と思ってたら、四つ子だったことが発覚!? それぞれ別の場所で育った姉妹四人、一緒にくらすことになり…?
角川つばさ文庫の大人気シリーズ第1巻が、期間限定で1冊まるごと読めちゃうよ!



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1 はじめまして、四姉妹

……………………………………


「わ…わ……わ………私がいる!?」

 部屋に一歩入って、私は何度もまばたきをした。

 夢? 痛い……夢じゃない! え? じゃあ、どういうこと!?

 つねったほおをさすりながら、混乱でよろめく。

 だって、だってだって!

 今、私の目の前には、自分とまったく同じ顔の女の子がいるんだもの!

 しかも、一人だけじゃない。

 一人、二人、……なんと三人!!!

「「「………………!」」」

 イスに座っている私……じゃない、私と同じ顔の三人も、まったく同じようにおどろいてる。

 その見開いた目も、

 ぽかんと開いた口も、

 胸くらいまである髪も、みんな私とおんなじだ。

 まるで──鏡から自分が三人ぬけでてきたみたい……!

 ひゅ……、と、私の肺が忘れていた呼吸を再開する。

 そのとたん、急に頭が回転しはじめ、心臓が大太鼓(おおだいこ)みたいにドンドン鳴りだした。

 どど、どうなってるの!? 一体なんなの? まさか、こ、これって……、

「ど……どっ…………ドッ………………」

 ドッペルゲンガーーーーーー!?

 さけぶ寸前、

「やっと四人そろったね!」

 男性の大声がとどろいた。

 ビクッとしてふりかえると、まるで熊みたいに大きな男の人が、どーんと立っている。

 だ……だれ?

 と聞くヒマもなく、

「君は宮美三風さんかな?」

「あ、はい。あの……」

「まあまあ、とにかく中に入って!」

 私は強引に部屋におしこまれ、ドスン! といきおいよくイスに座らされた。

「僕の名前は富士山鷹雄! 国のえらい人だ! わはははは!」

 男の人は、大きな口を大きく開き、メガホンでも通したような大声で言った。

 私、完全に固まっちゃって……。

 横を見ると、同じようにフリーズした私が三人。

 まるで熊の前にウサギが四匹ならんでるみたい。

 ああ……いろんなことが起きすぎて、何がなんだかわからないよ。

 一体、どうなってるの?

 私たちは、かたずをのんで富士山さんを見つめた。

「ははは、びっくりしてるね! うんうん、無理もない。だけどまずは聞いてほしいんだ。実はね……」

 すると次の瞬間、その口からとんでもない言葉が放たれた。


「君たちは四つ子だったんだ!」


「「「「えっ」」」」

 まったく同じ声が四つ重なった。

 ……よ……つ……ご…………。

 まるでスローモーションみたいに、

 言葉の一文字一文字が、私の心にひびきわたった。

 何も言葉が出てこない。

 そんな私たちを見て、富士山さんは優しくほほえんだ。

「君たちはひとりぼっち、天涯孤独(てんがいこどく)なんかじゃなかったんだ──家族がいたんだよ」


第2回へつづく

書籍情報


作: ひの ひまり 絵: 佐倉 おりこ

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046318404

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