角川つばさ文庫の伝説級☆人気シリーズ『いみちぇん!』作者、あさばみゆきさんが書いてるシリーズ! 幼なじみの真ちゃんにコクハクしてフラれたわたし、日向ヒヨ。そんなとき、願いをかなえる魔法のノートが落ちてきた!? 使い魔のビヨスケと契約したはずなのに、わたしが使い魔になっちゃった! 困っていたら、真ちゃんが助けてくれて――? おまじないの力を借りて、ひみつのお仕事はじめます!(公開期限:2026年1月12日(月・祝)23:59まで)
今ならスペシャルなSSが読めちゃう『絶対夢中☆あさばみゆきフェア』も開催中!
くわしくはコチラ!⇒https://yomeruba.com/campaign/present/entry-105013.html
『星にねがいを!(1) ナイショの契約、むすばれちゃった!?』
(作 あさばみゆき 絵 那流)
1 当たって……クダけた!
「真ちゃん!」
お昼やすみのにぎやかな校庭、ドまんなか。
やっと声の届くキョリに追いついたわたしに、彼は足を止め、ふり返ってくれた。
「なに、ヒヨ」
遠くから、静かな瞳がまっすぐにこっちを見つめる。
わたしの心臓はバクバク壊れちゃいそうなほど暴れだした。
「あっ、あのね。わたし、真ちゃんにどうしても伝えたいことがあるんだ」
長い髪をむすんだクローバーのヘアゴムを、ぎゅうっとにぎりしめた。
鬼ごっこの一年生たちが、高い声をあげながら走りぬけていく。
「……真ちゃんは、ずっとずっと、わたしのアコガレの『王子さま』だったの。だれより優しくて、カッコよくて、笑顔がかわいくて──っ、」
「わたし、そんな王子さまのことが、大好きなんだ……!!」
日向ヒヨ、チトセ小学校五年三組、出席番号十八番。
七年ぶんの想いをこめた、一世一代の大・コ・ク・ハ・ク。
彼の髪が、冬の風に吹きながされた。
夜明け色の瞳が、まん丸になってわたしを映す。
端整な顔立ちに、白い肌。すらっと長い手足。
おさななじみの王子サマ──相馬真くんは、かかえてた分厚い本をドサッと地面に落とした。
タロットカードの占いでは、今日の運気は最高潮!
ラッキープレイスは「校庭」で、ラッキータイムは「正午」。
左手の甲には、ピンクのペンで♀のマークを描いて、上からばんそうこうを貼ってある。
これは「愛の星」金星のチカラをかりた、コクハク成功のおまじない!
おまじない大好きッコの日向ヒヨ。
完全装備で、マンをじしてのコクハクなのです!!
伝われ……! 伝われ、わたしの想い!!
ドッドッドッと心臓がすごい速さで脈うってる。
彼はまじまじとわたしを見つめて──。
急に、ふっと横を向いちゃった。
「し、真ちゃん?」
「……ヒヨさ。なんでそんなこと、オレに言うのかな」
無口な彼のくちびるから、たしかに聞こえてきた、ひんやり極寒ブリザードな言葉。
真ちゃんは『超上級プログラミング言語大全』を拾いあげ、背中をむける。
そのまま、校庭であそぶ生徒の中にまぎれて消えてしまった。
ぼーぜんと立ちつくすわたし。
ドッジボールをやってるコたちから、大きな歓声が上がる。
わたしはガクッと砂にひざをついた。
「わ、わ、わたし……っ、フッ、フラれちゃったぁ~~~~!」