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第1章『わたしたちは、ヒミツの親友!』


中学1年生の結乃がある日ばったり出会ったのは、鏡でも見ているぐらいに顔も声もそっくりな女の子・芽衣! もしかして、生き別れのふたご?と思ったけれど、ふたごじゃないし、姉妹でもない。そんなふしぎなふたりが大親友になって、ドキドキの毎日が始まります! 大好評の第1巻のつづきが、なんと8月5日につばさ文庫から発売予定✨ 大注目の2巻目を、どこよりも早く先行ためし読みしちゃおう!


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そっくりな顔の結乃と芽衣は超気の合う大親友だけど、おたがいの存在は、家族や友人にはぜったいヒミツ。でも、おたがいのこと、もっと知りたい!
第2巻は、芽衣が結乃のおうちにこっそり遊びに行くことから始まります!


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★1★ わたしたちは、ヒミツの親友!

 スマホが鳴って、ポケットから取り出した。

 画面に表示されてるのは、「着信、赤西芽衣」の文字。

 どきん! と心臓がはずむ。

「もしもしっ!」

『もしもし結乃!? もう、近くにいるよー!』

 そう言われて、あたりを見回す。

 すると、大きな道路をはさんだ、むこう側にある信号機のそばに、「わたし」がいた。

 いやいや、ちがう、「わたし」じゃない。

 あまりにも見た目がわたしにそっくりで、一瞬、自分がいるのかって思っちゃった、ってこと!

 彼女は、芽衣。

  見た目はわたしにそっくりだけど、性格は、あんまり似てないんだ。

  芽衣は、わたしと目が合うと、ぴょんぴょん跳ねて、手を振ってくれた。

  芽衣、白いニットキャップをかぶってる。

  わたしも白いマフラーを巻いているから、まるでおそろいみたいでうれしい。

  もう、12月だもんね。前に会ったときより、ぐっと空気が冷たくなった。

  信号が青に変わる。とたんに芽衣はダッシュする。

「やっほー結乃! ホントに来ちゃった!」

  息をはずませた芽衣は、走ってきたいきおいのまま、わたしに抱き着いた。

「いらっしゃい、芽衣!」

 わたしも、ぎゅっと、芽衣をハグしたよ。

 わたし、青井結乃と、彼女、赤西芽衣は、「ヒミツの親友」。

 ある日、ぐうぜん街でばったり出会って、それから仲良くなったんだ。

 なんせ、顔はそっくり、声もそっくりなんだもん。まるで、この世には自分とそっくりな存在がいるっていう都市伝説――ドッペルゲンガーみたいだよ。

 あまりに似てるから、さいしょは、「生き別れのふたご」だって思っちゃった。

 でもね、ちがうの。わたしは中1で、芽衣は中2。年齢がちがう。

 小さい頃のアルバムで確認したから、確実だよ。

 じゃあ、なんでうりふたつなの? って、それは、まだわたしたちにもわかんない。

 ただひとつ言えるのは、ふたりでいると、きっと、ワクワク、ドキドキな出来事に出会えるってこと!

 今日は、はじめて、芽衣をわたしの家に招待したんだ。

 両親が用事で出かけてて留守だから、チャンスだって思ったの。

 芽衣は、広くてりっぱでおしゃれな一軒家に住んでるし、学校も、名門私立の「春蘭学園」。

 しかも生徒会長だし、とにかくきらきらしてる。

 ひるがえって、わたしは、学校ではほぼ空気の地味キャラ。

 わたしの住む街、そして家にまねくなんて、出会ったばかりの頃は気が引けてむりだった。

 でもね。芽衣の学校の文化祭に行ったとき、芽衣にまちがわれて、ちょっとした事件を解決したんだ。

 そのとき、芽衣の友だちに、「ありがとう」って感謝されて。

 すこしだけ、自分に自信がついた、気がするんだ……。

「結乃の家って、このマンション?」

 スマホの地図と、すぐそばにある建物を交互に見ながら、芽衣がたずねる。

「うん。ここの3階だよ」

 マンションのエントランスにあるオートロックに鍵を差し込み、中に入った。 

 エレベーターに乗って、3階へ。

 ドアが開く。

 と、目の前にいた男の子と目が合った。

「青井さん」

 話しかけられて、はっとした。

 となりに住んでる島崎海里くんだ!

「あ。こ、こんにちは」

 たどたどしくことばを返す。

 海里くんは、わたしと芽衣を交互に見て、めがねの奥の目を見開いている。

 やばい! 

 わたしと芽衣の関係は、ぜーったいに、「ヒミツ」なの!

 だって、わたしたち、ふたごじゃないのにうりふたつだし、しかも、とある調査によると、「DNA」も同じらしくって。

 こんななぞめいた存在、人に知られたら、きっと悪い組織に狙われて、連れ去られて研究対象にされちゃう!

 わたしは、とっさに、巻いていた自分のマフラーを芽衣にかぶせた。

 芽衣も、顔が見えないようにうつむいて、わたしのうしろにさっとかくれた。

 そのまま、ささっとエレベーターを降りる。

 海里くんは、相変わらず見開いたままの目で、わたしたちを見ている。

 その手には、なんだろう、楽器のケース? みたいなものを持ってる。

 って、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。

「あの、青井さん。その、おれの気のせいかもしれないけど、今、青井さんがふた……」

 ぎくっ!

「気のせいだと思うよ! じゃあね!」

 海里くんの言葉をさえぎり、わたしは芽衣の手をひいて、ダッシュ!

 そのまま自分の家のかぎを開け、あわてて中に入った!

 とたんに、全身の力がぬける。

 芽衣も、

「はあ~。心臓止まるかと思った~」

 って、へたりこんでいる。

 さっそくピンチがおとずれたけど、なんとかごまかせた(?)ことにする!

「さっきの、だれ? 友だち?」

 芽衣がたずねた。

「となりに住んでる、クラスメイトだよ。島崎海里くんっていうの」

 海里くんは、おとなりさんだけど、5年生のときに引っ越してきたから、「幼なじみ」ってわけじゃない。

 同じクラスだけど、せいぜい、あいさつをするぐらいの間柄。

 黒縁めがねに、サラサラの黒髪。知的でクールな雰囲気が、一部の女子に大人気。

 雰囲気だけじゃなくって、実際、成績優秀なんだって。

 そんな頭のいい子に、わたしたちのことを疑われたら、ちょっとやっかいかも。

 それに。

 海里くんから、海里くんのご両親に、わたしのそっくりさんの話が伝わって、さらにわたしの両親に伝わったら……。

 ぶんぶんと、首を横にふる。

 それだけは避けたい。

 お父さんとお母さんにだけは、自分とそっくりの存在がいることも、その子とこっそり会ってることも、知られたくないの。

 わたしは、お父さんとお母さんの実の子どもじゃない。

 赤ちゃんの時、施設から引き取られた。

 芽衣のことを知られたら、きっとわたしが、自分の出生のひみつを探ってるって思われる。

 そうしたら、ふたりは悲しむよね?

 まあ、でも、きっとこの先、芽衣と海里くんが会うこともないだろうし、たぶん大丈夫。

……って、この時は、思っていたんだ……。



1巻でちょこっと出てきた、結乃のおとなりさんでクラスメイトの海里くんが、第2巻の展開のカギになりそう!?
次回は、ようやく結乃の部屋で、ヒミツのふたりのおしゃべりタイムが始まります♪ 先行れんさい第2回『宝物、ドキドキのおひろめ』をおたのしみに!


書籍情報


作: 夜野 せせり 絵: 駒形

定価
924円(本体840円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324122

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