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【先行ためし読み!】『ふたごチャレンジ!』12巻 第4回 心乱れる重大問題!!


挑戦したいんだ。自分の好きなことを「好き」って言うために。言いつづけるために。
いつもチャレンジしつづけるふたごのあかねとかえで。今回は、めっちゃ楽しい林間学校編!
なんたって、緑田小のみんな――鈴華ちゃんや凜ちゃんやさわや莉々乃ちゃん、藤司や吉良くんや真壁のほかに
あざみ小の子たち――そう、太陽もいっしょに行くんだから‼
いつもとはちがう経験がいっぱい、いつもなら見られない表情もいっぱい‼ トキメキもい――――っぱい‼‼なスペシャルな1冊。
先取りでためし読み、どうぞ‼ 読むときっと元気になっちゃうよ。(公開期限:2026年11月30日(月)23:59まで)





 

4 心乱れる重大問題!!

 なんだろう?

 先生の表情を見るに、怒られるとかじゃなさそうだったけど。

 そんなことを思いながら、中休みにうちらは職員室に出むいたんだ。


 待ちかまえていた左野先生と辻堂先生と、来賓用のテーブル席につくなり、左野先生が切りだした。

「中休みなのにわるいね。林間学校のことで、2人から早めに意見をききたかったんだ――部屋をどうしたいか、ってことなんだけど」


「「!」」

 ハッと顔を見合わせる、うちとかえで。

 そうか……左野先生、みんなの前じゃ、うちらが話しにくいと思って移動させてくれたんだ。


 左野先生のあたたかな視線が、まずは、かえでにむく。

「えっと……ぼくは……どうするのが一番、みんなに迷惑がかからないのかなって……考えてました……」

 言葉を選びながら、ひかえめに答えるかえで。



 迷惑……かあ。

「それはつまり……個室か、男子部屋か、女子部屋か。どこに入るのが迷惑じゃないか……ってことなのかな?」

 左野先生の確認に、こくんと、静かにうなずいた。

 話しにくそうで、消え入りそうな、かえでの表情を見て。


 朝、林間学校って言葉をきいたとき、かえでがうれしそうじゃなかった理由がわかった。

 うち、最近は、あんまり自分の性別のことを気にせずにすごせてたけど……。

 そうだ。

 旅行って、うちらにとっては、手放しで楽しめるイベントじゃなかったんだ。

 うちは、ひさしぶりに、目の前を、どーんとでっかい壁にふさがれたような気持ちになる。


「……あの……き、きっと、個室を選ぶのが、迷惑じゃな――」

 目を伏せたまま、ぼそぼそと言う、かえでの肩に、辻堂先生が、ぽんっと手をおいた。


「迷惑かどうかってものさしは、いったん横においておきましょうよ、かえでくん。かえでくんは、どうしたい?」

 目を見ひらく、かえで。


 辻堂先生は、いつもの――ほっとするような、おだやかな笑みをうかべながら、かえでの顔をのぞきこんでくれたんだ。


「えっと……ぼくは……ひとりの部屋は、さみしいし……あかねといっしょか……ぼくといっしょの部屋でも気にならない子だったらいいなって……でも……」


 やっぱり、個室っていうのは、まわりのための言葉だったんだ。

 かえでの本当の気持ちがきけて、うちは、ほっとする。

 せっかく楽しい林間学校なのに、みんなのためにムリしてひとりになるなんて、よくないよ!


「いっしょでも気にならない子がいいわよね。心当たりの子は、いるでしょう?」

「は、はい。けど……」

 言いよどむ、かえで。

 辻堂先生は、せかしたりせずに、じっとかえでの次の言葉を待ってる。


「…………本当の気持ちは、わからないじゃないですか。クラスで親しくしてるからって、いっしょの部屋に泊まるのまではイヤだって思っても、言いづらいだけかもしれないし……」

 かえでは、言葉を選びながら、説明する。

 心の中を、深くふかく考える、かえでらしい考えだなあ。

「なるほどね。たしかに、本音かどうかわからないっていう不安はあるかもしれないわね……」

 と、そのとき、ハキハキした声がきこえてきた。


「失礼します、5年の北大路鈴華ですっ。児童会のプリントを提出しにきました」


 あっ、鈴華ちゃん!

 鈴華ちゃんなら、かえでと同じ部屋でもイヤだって、思わない気がする。

 これまでの、たくさんの思い出をふりかえってみたとき……鈴華ちゃんが、かえでの……うちのもだけど、性別を気にしてるそぶりを感じたことがないもん。

 でも、直球で、きいてみたい。

 そしたら、鈴華ちゃんなら、自分の気持ちを、言いにくくても、しっかり言葉で伝えてくれると思うんだ。


 ん? 左野先生、うちらに目くばせしてる?

 そうかっ、左野先生も同じことを考えたんだ!

 かえでにも、それが伝わったみたいで、うちらは左野先生にむけて同時にこくっとうなずいた。


「北大路さん、ちょっといいかな?」

「はい、左野先生。……あら、あかねちゃんとかえでちゃんもいたのね」

 左野先生の声に、鈴華ちゃんがこっちへきてくれる。

「うんっ、今、部屋決めの相談をしてたんだ」

「あら、そうなのね。どんなこと?」

「え、えっと」


「かえでは、4人部屋がいいんだって。鈴華ちゃんは、どう思う?」

 言いづらそうにしてるかえでに代わって、うちが言うと、鈴華ちゃんは、パッとかえでに笑顔をむけた。

「よかった、それならかえでちゃん、私といっしょのお部屋にしましょうよ! 班は別だもの」

「でも……いいの?」

「もちろんよ。凜ちゃんも、きっとかえでちゃんといっしょがいいって言うわよ。あとは――莉々乃ちゃんはどうかしら? だれとも班がかぶってないはずよ」

「うれしい。……でも、本人がOKでも……その、ほ、保護者が」

 かえでが、不安そうに言うと。

「じゃあ、私のお母さんにもきいておくわ。心配なら、先生から電話で確認してもらってもかまわないわ。お母さんには『かえでちゃんは大事なお友だち』だって、よく話してるから」

 胸をはって言いきる鈴華ちゃん。

 その堂々とした姿を見て、かえでの表情も、ホッとやわらいでる。

「そうね、とっても気が回るかえでくんだから、とことん確認したほうが安心かもね。秋倉さんと須田さんがOKだったら、私のほうで保護者にお電話するわ。どうかしら?」

「は……はい、おねがいしますっ」

 ぺこっと頭を下げたかえでに、あたたかな目をむけている辻堂先生。


 それから、その視線が、うちへ移る。

「それで、あかねちゃんは? お部屋をどうしたいか、希望をきかせて?」


「「!」」

 左野先生や鈴華ちゃんが、ちょっとおどろいた顔をしてる。

 辻堂先生……うちのことも、ちゃんと見ててくれたんだ……!


 ――そうなんだ。

 部屋分けの話が出てからずっと考えてるけど、うちは、どれも、しっくりこないんだよね。


 個室か、4人の『男子部屋』か『女子部屋』。

 そりゃ、だれかいたほうが、夜もおしゃべりできるし、お泊まり会みたいで楽しいだろう。

 でも……。


「うちは……もうちょっと考えていいですか?」

 内心、少しドキドキしながら言った、うちに。


「ええ、もちろん」

 辻堂先生と、左野先生は、すぐにうなずいてくれて、ホッとする。


「さあて、あざみ小の先生に連絡しないとなあ。わすれないようにメモしておこう……」

 ふせんを取り出して、書きこむ左野先生。

「そうですね、個室は、あざみ小とのかねあいもあるから、こまめに情報共有しておかないと」

 辻堂先生の言葉に、左野先生はうなずく。

「ええ。班のほうはすんなり決まったので、それも共有して、名簿を作らないと」

「ああ、あざみ小の子と合同の班になるんだったわよね」

 鈴華ちゃんのつぶやきで、思いだした。

 そうだ、あざみ小の子と、おんなじ班で行動するんだ。

 運動会のときは、競いあったけど、林間学校では垣根なく、わいわいやれるんだよね!

 ……って、ことは……あれっ?


「わっ、たいよ……っ」

 職員室で大声を出しかけちゃって、うちは、あわてて自分の口をふさぐ。

 わあああ……そうだ!

 あざみ小と合同ってことは、太陽とも、いっしょに林間学校にいけるんだ!

 うわ~~~やったあ!!

 太陽と同じ班になれたらいいなあ――。

 ……あ、でも、太陽って。

 そもそも、林間学校にくる……こられるのかな?


第5回につづく(8月31日公開予定)




書誌情報


作: 七都 にい 絵: しめ子

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324092

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