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これまで「あたりまえ」だと思っていた毎日は、ある日とつぜんなくなってしまうかもしれない? それはたとえば、災害によってかもしれませんし、別の理由によってかもしれません。
十一年前にここ・日本で起こったとても大きな地震、東日本大震災を知ることで、あなたも「世界がとつぜん変わってしまう」かもしれないことについて、ちょっとかんがえてみませんか?
第3期は、子どもの貧困についての研究をしている阿部彩さんに質問をした内容を一部抜粋の形で紹介します。
震災について学び、「自分も何かしたい」と思ったとき。どんな考え方で支援するのがいいでしょうか?
さっそく話を聞いてみましょう。
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Q.この本で、「包摂」という単語をはじめて聞きました。具体的にはどんなことがあるでしょうか。
A.たとえば隣の席の子が何か忘れ物をしたのなら、「忘れたなら貸すよ」と、ただそれだけでいい。かわいそうだから恵む、というのは、ちがいます。誰もが同じ経済力のある家庭で育つことはできないけれど、それも含めて同じ仲間。それはお互いさま。
震災のときは、全国から被災地に支援物資が届きました。でもその中には、いらないものを送りつける人もいました。自分のいらないものをあげるのは、自分はまったく痛みをともなわない「おめぐみ」です。「何かをしてあげたい」「役に立ちたい」という気持ちがあるということはいいけれど、自分がもらったら助かるものを送らないと、あげるほうともらうほうで気持ちのすれちがいが起きてしまいます。
Q.「お互いさま」なんですね。
A.そうです。一方的な関係ではありません。
災害が起こったときばかり「きずな」とか「助け合い」という言葉が大きく取り上げられますが、そうではなくて、普段から自然にできるようにしたいですよね。
普段から、困った人には手を貸してほしいし、でもそれを上から「してあげた」と思うのではなくて「自分だって困ったときは助けてもらうのだからお互いさまなんだ」と思って暮らしてほしい。災害が起きたときや、コロナが流行っている今だけでなく、なんでもない普段のときから、みんなが生きやすい社会を作るにはどうしたらいいだろうと、考え続けてほしいと思います。
この回答をしてくれたのは…
阿部彩さん
「貧困」や「社会保障」をテーマに研究活動を続けています。2008年には『子どもの貧困――日本の不公平を考える』(岩波書店)を出版。日本の子どもの貧困問題について、さまざまなデータをもとにわかりやすく解説しています。
明日はコロナ禍の支援、そして阿部さんの研究についてさらに話を聞いてみましょう。
本の中ではさらにくわしく
災害を前に「自分も何かしたい!」と思ったとき、なにができる? 貧困の問題と震災やコロナの問題はどう関わっている? くわしくは『世界はとつぜん変わってしまう?』第三章で取り上げています。
文:百瀬 しのぶ 絵:なみごん
- 【定価】
- 814円(本体740円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046320841