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【卵~成虫まで】昆虫の王様カブトムシの飼育方法を教えます!


夏を代表する昆虫”カブトムシ”。

この夏に、近くの公園や旅行に行ってつかまえることができた人も多いのではないでしょうか?

またそういった環境が近くになくても、最近ではホームセンターなどでも購入することができます。

お家にいるカブトムシに、まずは卵を産ませてみて、卵、幼虫、蛹(さなぎ)、成虫とカブトムシの成長していく様子、飼育の方法や注意点などを、昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんにおうかがいしました!


カブトムシの成虫が家にやってきたら

カブトムシの成虫が家にやってきたら彼らが卵を産める環境を作ってあげる必要があります。

カブトムシは腐葉土の中に潜って卵をたくさん産みます。
カブトムシ用の腐葉土はホームセンターなどで昆虫マットとして購入することができます。
昆虫マットには様々な種類がありますが、カブトムシの幼虫は細かく粉砕された広葉樹の腐葉土を食べて成長するので、適切なものを選びましょう。




腐葉土を購入したら次に霧吹きなどで適度に湿らせた腐葉土を、大きなプラケースの7〜8割くらいまでたっぷり入れます。
水分量は、マットを軽く握って作った団子が崩れるくらいがちょうどよいです。
また、マットを入れる時は、ケースの下半分は手で強く押して硬く詰めてあげるのがよいです。

昆虫マットを入れ終わったら、転倒防止の木や落ち葉、昆虫ゼリーなどの餌を入れてあげると、カブトムシの産卵セットの完成です。

ここにカブトムシのオスとメスを一緒に入れてあげるとよいです。
ただし、野外でメスを採集してきた場合は、野外で交尾を終えている可能性が非常に高いので、メスのみを入れてあげても産卵することがあります。

 




交尾を終え、たくさん餌を食べたメスは、産卵の準備をするために土の中へ潜ります。
産卵をしているメスはしばらく土の上には顔を出さないようになるので、
メスが潜って出てこなくなったら、掘り出したり、ケースを刺激するのはやめましょう。
(※カブトムシは1匹で30個、多い時には100個以上の卵を産みます。
必ずそれを理解した上で産卵セットを組むようにしてください。)


カブトムシが卵を産んだら

産卵に成功すると、ケースの側面や底に、3〜4mmほどの白い卵が見えることがあります。
もし卵を見つけても、腐葉土を掘り返すことはやめましょう。

卵や小さな幼虫はとてもデリケートで、少しの刺激で死んでしまうことがあります。
幼虫が生まれて少し成長するまでそのままにしておくのがよいでしょう。





カブトムシの幼虫が生まれたら

卵が孵化して幼虫が生まれると、ケースの側面や底に小さな幼虫を確認することができます。
卵を見つけてから1〜2ヶ月ほど経ったら、幼虫も少し成長しているので、
一度ケースをひっくり返して確認してみましょう。
床に広く新聞紙などを敷いて、そこにゆっくりとひっくり返すと確認しやすいです。




幼虫を見つけたら、ケースに新しい昆虫マットを入れて、そこに幼虫を数頭ずつ入れていきます。
カブトムシの幼虫は広葉樹の腐葉土を食べて成長するので、ホームセンターや昆虫ショップなどで購入して準備しましょう。

霧吹きなどで適度に湿らせた昆虫マットをケースにたっぷりと入れます。
この時、マットを固く詰める必要はなく、また、産卵セットのときに使っていた古いマットを少し混ぜてあげるのがよいとされています。
蓋がメッシュになっているケースでは、昆虫マットが乾燥しやすいので、穴を開けたビニールなどを蓋の間に挟んでおくと、マットが乾燥するのを防ぐことができます。




カブトムシの幼虫は数頭一緒に飼育することができます。
20cmほどの飼育ケースだと3匹ほど、大きな衣装ケースなどでは20匹ほど一緒に飼育することが出来ます。

カブトムシの幼虫は昆虫マットを食べてどんどん成長していきます。
1〜2ヶ月すると、昆虫マットの上に幼虫のフンが溜まっていきます。
ケースにマットが目立つようになってきたら、新しいものに交換してあげましょう。
この交換の際も、古いマットを少し混ぜてあげると、幼虫のストレスが少なくなると言われています。


冬がきたら玄関などで静かに管理

カブトムシは幼虫で冬を越えます。
寒くなるとあまり餌を食べなくなり、温かくなるまで活動をしなくなります。
そのため秋から春の間はあまり昆虫マットを交換する必要がありません。
寒くなる玄関などで、静かに管理してあげましょう。
ベランダなどで管理しても冬を乗り越えることはできますが、
直射日光による温度変化や、雨や雪などでケース内に水が侵入することもあるので、
ベランダでの管理は気をつけなければなりません。
また、冬の間も暖かい部屋で管理すると、春が来るまでに蛹になることもあるので気を付ける必要があります。


春になったら新しいマットに交換

春になると幼虫たちは活動を再開して、たくさんマットを食べるようになります。
活動を再開してフンが目立ってきたらまた新しいマットに交換してあげましょう。


サナギになる前

5月頃になると、今まで白かった幼虫が黄色っぽい色に変化します。




こうなると、昆虫マットを食べる量も少なくなり、間もなくサナギになる準備を始めます。
そのため、5月以降は新しいマットに交換するのは控えたほうがよいでしょう。
幼虫はサナギになる前、蛹室と呼ばれるサナギになるための部屋を作ります。
運が良ければケースの側面に蛹室を作ってくれることがあります。
この部屋がないとカブトムシはうまくサナギや成虫になることができません。
蛹室は強く刺激すると壊れてしまい、タイミングによっては幼虫が作り直してくれないた、め、ケースの側面から蛹室を作っているのを確認できたら、ケースを揺らしたりすることはやめましょう。


サナギになったら

蛹室を作り終えた幼虫は、その中でサナギになります。
サナギは最初は白色をしていますが、時間が経つと黄色く変化していきます。
サナギの期間は約1ヶ月ほどです。
たとえケースの側面から管理できなくても5月後半以降はサナギになっている可能性が高いので、マットを掘り返したりすることはやめましょう。





羽化したら別ケースに移して餌を与えて飼育

サナギになって1ヶ月ほどすると、いよいよカブトムシが羽化します。
蛹室の中で蛹の皮を脱いで、成虫になります。
成虫になってすぐは体も柔らかく、餌も食べることができません。
そのため2週間ほど蛹室の中でじっとしています。
活動の準備ができるとカブトムシは自分で部屋を壊して出てくるので、そこまでそっとしておくのがよいでしょう。
マットの上に出てきたカブトムシは活動を始めるので、別ケースに移して餌を与えて飼育してあげてください。





自分が飼育できる数を責任を持って飼育しましょう 




カブトムシは完全変態といって、幼虫、サナギ、成虫を大きく姿を変えながら成長していく昆虫のグループです。

また、とても丈夫な生き物のため、きちんと条件を守れば比較的簡単に成長してくれます。
彼らを飼育することで、子供だけでなく大人も知らないことがたくさん発見できるはずなので、ぜひ挑戦してもらえたらと思っています。

また、彼らの成長をよく観察するためのアイテムとして「ラクぼっくす」という、ケースの幅が狭くなっている飼育ケースがあります。
これを使用すれば、土を掘り出したりしなくても幼虫やサナギ、羽化の様子などを観察できるので、より深く観察したい方はぜひこちらも使用してみると良いと思います。

最後に、近年、カブトムシやクワガタを飼育し終わった昆虫マットや死体をそのまま公園や山に捨てる人が増えています。
これらは必ず「燃えるゴミ」として処分してください。

近年は外国産のカブトムシやクワガタが増えた関係で、カブトムシやクワガタに付着するダニや病気なども、日本になかったものが侵入している可能性があります。
日本産のカブトムシやクワガタであっても、購入した昆虫マットなどにも紛れている可能性も非常に高いので、そういったものを山に放すと、今までなかった病気や菌を広めることにもつながってしまいます。

また、冒頭でも説明したとおり、カブトムシは1匹から30個以上の卵を産むことができます。たくさん増えたからといって、それを山に放したりするのは絶対にやめてください。

きちんと自分が飼育できる数を、責任を持って飼育するということを心がけて、楽しい昆虫飼育にチャレンジしてください。
 

写真:PIXTA
 

【著者プロフィール】

昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録18.5万人 、一番好きな昆虫はコロギス。

 



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