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ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』第2回 みんなでグルメフェス!


大人気ゲーム『カービィのグルメフェス』の小説版、『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』が、大ボリュームためし読みできちゃうよ!
カービィVSデデデ大王VSメタナイトの、食いしんぼうバトルがはじまります☆(全5回)

◆第2回

カービィたちプププランドの住民たちが集まって、グルメフェスが始まります!
パティシエ魔女ポーリンのおいしいおかしを食べられると聞いたみんなは、ドキドキとわくわくでいっぱい!
でも、意外な大事件が起こってしまって!?

 

 

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

みんなでグルメフェス!

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 プププランド・グルメフェス、開催(かいさい)決定!

 主催者(しゅさいしゃ)は、銀河一のパティシエ魔女ポーリン!

 このニュースは、たちまちプププランドじゅうに広まった。
 

 もちろん、みんな大さわぎ。

「銀河一のパティシエ魔女が、魔法で作るおかしだってさ! どんな味なんだろうな!?」

「むちゃくちゃおいしいって、ワドルディたちが言ってたよ。楽しみだなあ!」

 ワイワイとさわぐみんなの中で、ひときわ大きな声を上げたのは、カービィだった。

「まちきれないよ~! 早く始めようよ、グルメフェス!」

「……カ……カービィ……」

 チリーがつぶやくと、住民たちは、ハッとしてカービィを見た。

 バーニンレオが、深刻(しんこく)な表情で言った。

「そうだった。このグルメフェスには、大きな問題があったぜ……」

「え? 問題? なあに?」

「おまえだよ!」

 バーニンレオは、ポッと小さな炎を吹いてさけんだ。


「カービィがいたら、せっかくのおかしがぜんぶ一瞬ですいこまれちまう! グルメフェスがだいなしだぜ!」

「えー、ひどい! ぼく、そんなこと、しないよ!」

 カービィは、ムッとして言い返した。

「一瞬ですいこむなんて、もったいないよ! ちゃんと、じっくり、ゆっくり味わってすいこむよ!」

「いや、すいこむなよ!」

 バウンシーやナックルジョーたちも、口々に言った。

「銀河一のパティシエ魔女が、わたしたちのために、魔法で作ってくれるおかしなのよ。みんなで、分け合わなくっちゃ」

「そうッス! カービィがひとりじめしちゃ、だめッスよ!」

「うん、わかってる!」

 カービィは、みんなの顔を見回して、うなずいた。

「みんなでなかよく食べたほうが、ぜったい、おいしいもんね。ひとりじめなんて、しないよ!」

 カービィのきっぱりした言葉を聞いて、みんな、ホッとした。

「よかったッス! これで、安心ッス!」

「カービィ、すいこみは無しだよ。ちゃんと、フォークで食べるんだよ」

「わかってるってば~!」

 ますます盛り上がるみんなから、少しはなれた場所で、一人だけ暗い顔をしている住民がいた。

 コックカワサキだ。

「うう……みんな、魔女のおかしにむちゅうになっちゃって……ぼくのおかしなんて、もう、どうでもいいんだ……うううっ……」

 口調も、表情も、悲しそうだ。

 気づいたブロントバートが言った。

「おいおい、いじけるなよ、コックカワサキ」

「い、いじけてなんか、いないよ!」

「みんな、コックカワサキのおかしは、大好きさ。そんなの、当たり前じゃないか。ただ、グルメフェスってイベントが楽しそうだから、盛り上がってるんだ。それに、魔法で作られたおかしなんて、めずらしいから、きょうみあるしな!」

「……うん。たしかにね」

 コックカワサキは、元気を取りもどした。

「ぼくも、きょうみがあるよ。いったい、どんなおかしが出てくるのか……新作レシピの参考になるかもしれないし」

「うん! 楽しみだよな!」

 住民たちが期待をふくらませる中、いよいよグルメフェスが開幕(かいまく)した。

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 会場は、プププランドの中央広場。

 広場の入り口には、チョコスプレーを散りばめたゲートが立てられ、花の形のキャンディーがあちこちにかざられている。

 そして、広場の真ん中には、住民たちが百人ぐらいのれそうな巨大なテーブルが置かれ、その上に、さまざまなおかしが山もりになっていた。

 よく見れば、クッキーを道路のようにしきつめたり、パンケーキを丘のように重ねたり、チョコレートをとろとろに溶かして泉のように見せたり、さくらんぼやブルーベリーを花だんのようにならべたり、かざりつけにも工夫(くふう)がこらされている。

 プププランドの住民たちは、大歓声(だいかんせい)を上げた。

「すげー! すげー! なんて、うまそうなんだ!」

「きれいすぎて、食べるのがもったいないくらい!」

「見とれちゃうよな。でも、早く食べたい!」

 中でも、いちばんはしゃでいるのは、デデデ大王だった。

 大王は、巨大なテーブルのまわりを走り回りながらさけんだ。

「うぉぉぉ! 最高だ! まるで、おかしの王国じゃないか! よし、決めた。オレ様は今日かぎりでプププランドの支配者をやめる! おかしの王国の支配者になってやる!」

「だ、大王様。それはダメです」

 バンダナワドルディが、あわてて止めた。

「大王様は、プププランドの大王様でなくてはこまります」

「当たり前だわい。ちょっとじょうだんを言っただけだ!」

 そう言いながらも、デデデ大王は、今にもよだれをたらさんばかり。

 いっぽう、カービィも、目をキラキラさせながら、山もりのおかしを見つめていた。

 バンダナワドルディは、心配そうにカービィの手を引っぱった。

「カービィ、すいこんじゃダメだよ。グルメフェスが始まるまで、待たないと……」

「ふわぁぁぁぁぁ!」

 カービィは、感激の声を上げて、片足でくるんと回った。

「ぼく、こんなにたくさんのおかし、初めて見たよ!」

「うん、ほんとに、すごいよね。見た目だけじゃなく、味も最高なんだよ」

「早く食べたい! 早く、早く!」

 息ができないほど興奮(こうふん)しているカービィの後ろで、おちついた声がした。

「思った以上に大きなイベントだな。みごとなものだ」

 カービィは振り返った。

 立っていたのは、銀河に名だたる騎士メタナイト。後ろには、部下たちもひかえている。

「あ、メタナイト! メタナイトも、グルメフェスに参加するの?」

「うむ。しょうたい状が届いたのでな」

 それを聞いて、バンダナワドルディが言った。

「ポーリン様が、なるべく多くの客に来てもらいたいとおっしゃるので、メタナイト様にもしょうたい状を出したんです。来てくださって、ありがとうございます」

「たまには、気分転換(きぶんてんかん)も必要だからな」

 メタナイトはクールに答えた。

 部下のメタナイツたちは、ウキウキしながら声を上げた。

「オレたちは、いつも、はげしい戦いにあけくれているからな。たまには、休憩(きゅうけい)が必要なんだ」

「あまいものは、つかれを取ってくれる。戦士にとっては、大事なんだぞ」

「これも修行だス~!」

 そのとき、音楽が高らかにひびきわたり、広場の奥に大きなステージが出現した。

 ステージに立っているのは、黒ずくめの魔女、ポーリン。

 住民たちは、おどろきの声を上げた。

「あんなステージ、なかったのに!」

「魔法を使って、一瞬で作ったんだよ。すごいなあ!」

「あれがポーリン様か……すごい威厳(いげん)を感じるぜ」

「あっとう的な、大物のオーラだわ。さすがは、銀河一の大魔女……!」

 ポーリンは両手を広げ、ひややかな目で住民たちを見回した。

「プププランドの民たちよ。ようこそ、わらわのグルメフェスへ。今日は、みなに食べてもらうため、わらわの魔法でおかしをたっぷり用意した。えんりょはいらない。思うぞんぶん、食べるがよい!」

 住民たちは、大きな拍手(はくしゅを送った。

 カービィがさけんだ。

「魔法で作ったの? これ、ぜんぶ?」

「むろん」

 ポーリンは、フッと笑った。

「大魔女たるもの、なにもかも魔法で作るに決まっておる。そうでなくては、パティシエ魔女とは言えぬ」

 住民たちは、ざわめいた。

「かっこいい! さすがは大魔女だぜ!」

「こんなにおいしそうなおかしを、ぜんぶ魔法で作れるなんて、すてきだわ!」

 みんなの声を聞いたコックカワサキが、ぼそりと言った。

「……ほんとの料理人なら、ちゃんと味見をしながら作るものだけどね。魔法を使って一瞬で作っちゃったら、味なんてわからないよ……」

 ポーリンは、じろりとコックカワサキをにらんだ。

 コックカワサキは、あわてて口をおさえた。

 ポーリンは、ばかにしたように言った。

「凡人(ぼんじん)の考えじゃな。わらわほどの大魔女になると、味見などしなくても、最高のおかしを生み出せるのじゃ!」

「……!」

 コックカワサキは、くやしそうに、だまりこんだ。

 ポーリンは、余裕の笑みを浮かべて続けた。

「では、ここで、わらわの助手を紹介しよう。いでよ、ウェイターハンド!」

 もくもくと白いケムリが上がったかと思うと、その中から、ふしぎな生き物があらわれた。

 大きな、二つの手だ。白いてぶくろをはめたような手だけが、宙に浮いている。

「はじめまして、プププランドのみなさま。わたくし、ウェイターハンドと申します。どうぞ、よろしく」

 ウェイターハンドは、ていねいに指をまげた。おじぎのつもりらしい。

 住民たちは、おどろきの声を上げた。

「手のおばけ……!?」

「口がないのに、しゃべってる!」

 さわぐ住民たちを見て、ポーリンは、うっすらとほほえんだ。

「こわがらなくても良い。ウェイターハンドは、わらわが魔法で作り出した、使い魔(つかいま)。つまり、わらわの命令にしたがう、忠実な助手なのじゃ。グルメフェスの進行役として、みなの手助けをさせるために用意したのじゃ」

「……え!? 助手まで、魔法で作れるなんて!」

「さすがは大魔女だな!」

 住民たちは目をまるくし、ポーリンとウェイターハンドに向けて、盛大(せいだい)な拍手(はくしゅ)を送った。

 ポーリンは、住民たちに向き直って、おごそかに告げた。

「それでは、ここに、グルメフェスの開催(かいさい)を宣言する。みなの者、えんりょなく、大魔女ポーリンの極上(ごくじょう)のおかしを味わうがよい!」

「わーい!」

 カービィは、さっそく両手を大きく広げて、息をすいこもうとした。

 気づいたバンダナワドルディが、カービィに飛びついて止めた。

「ダメだよ、カービィ! すいこみは、なし!」

「あ、そうだった」

 一気におかしをすいこもうとしていたカービィは、手を下ろした。

「ちゃんと、フォークを使って食べるよ。えーと……」


 そのとき、カービィは、テーブルのはしっこにフォークが置いてあるのを見つけた。

「これを使えばいいんだね。いただきまーす!」

 カービィは、フォークでケーキをすくい取り、口に運んだ。

 とたんに、カービィは目をうるませてさけんだ。

「うわああああ! おいしい~!」

 ふわふわのスポンジ生地(きじ)に、とろけるようにあまいクリームがからまり、おおつぶイチゴの甘ずっぱさが口いっぱいに広がっていく。

 フォークが止まらなくなるほどの、絶品(ぜっぴん)の味わいだった。

 カービィは、むちゅうでケーキを食べ終え、ひとり言を言った。

「あっというまに、なくなっちゃった! もっともっと、大きなケーキならよかったのに!」

 その瞬間(しゅんかん)――。

 カービィが手にしているフォークが、きょうれつな光をはなった。

「わわわわ!?」

 あまりのまぶしさに、カービィは思わず目を閉じた。

 ぽぉぉぉぉん……と、ふしぎな音が聞こえた。

 光が消えた。カービィは、目をあけた。

「ああ、びっくりしたぁ! なんだったんだろう、今の? さあ、次は、チョコレートケーキにしようっと!」

 気を取り直してケーキを食べようとしたカービィだが、いつのまにか、フォークが消えていることに気づいた。

「あれ? フォークがない。どこへ行っちゃったんだろ……えええ!?」

 あたりを見回したカービィは、おどろきのあまり、ひっくり返りそうになった。

 周囲のようすが、一変(いっぺん)していた。

 目の前にあるのは、真っ白なカベだった。なぜか、ほわほわとあまい香りをただよわせている。

「こ……これは!? うわあああ!」

 カービィは、夢中でカベに飛びつき、かじりついた。

「ケーキだ! おっきなケーキだ~!」

 そう。カベのように見えたのは、巨大なショートケーキだった。

 それだけではない。足もとには、巨大なクッキーが、敷石(しきいし)のようにしきつめられている。

 まわりには、カービィのからだよりも大きなマカロンやシュークリームが、ごろごろと転がっている。

 その巨大なおかしの間を、デデデ大王が走り回っていた。

「なんだ!? ここはどこだ!? ワドルディ! おーい、ワドルディはどこだ!?」

 デデデ大王はカービィに気づいて、かけよってきた。

「カービィ! なんなんだ、ここは!? おまえ、なにを食ってるんだ?」

「んんん! んもももんんん!」

 カービィは、口をもぐもぐさせた。

「んももじゃ、わからん! なんだ、これは? もしや……ケーキか!?」

 デデデ大王は、カービィとならんで巨大ショートケーキにかぶりつき、目をかがやかせた。

「うまぁぁぁい! なんだ、これは――!?」

 大王の大声を聞きつけて、他の住民たちとメタナイトもやって来た。

「カービィ、デデデ大王! なにをのんきに食ってるんだよ!?」

「なにが起きたッスか!? ここ、どこッスか!?」

「わたし、たった今まで、広場でおかしを食べてたのよ。なのに、どうなってるの!?」

 カービィは、ようやくショートケーキを飲みこんで、笑顔で言った。

「みんなも、食べてごらんよ。これ、おっきなケーキだよ!」

 バーニンレオが、おこった顔で言った。

「ケーキだって? そんなはず、ないだろう。ただのカベじゃねえか」

 そう言いながら、カベに手をついたバーニンレオは、びっくりした。

「え!? これ、ほんとに、クリームだ!」

 チリーやバウンシーたちも、おっかなびっくり、巨大ケーキやマカロンにかじりついて、歓声(かんせい)を上げた。

「うわあ、ほんとだ! これ、ぜんぶおかしだ!」

「まわりじゅう、おかしだらけだよ! おいしい~!」

 みんながむちゅうになっている中、ひとりだけ冷静なのは、メタナイトだった。

 彼は注意深くあたりを観察し、ケーキのクリームをひと口だけ味わって、つぶやいた。

「なんということだ……信じがたいが……うむ……」

 彼は、みんなに呼びかけた。

「みな、聞いてくれ。たいへんな事態が起きているぞ」

 カービィが言った。

「メタナイトも食べなよ。おいしいよ~!」

「それどころではないのだ。ここは、魔女が作ったおかしの中だ」

 デデデ大王が、むしゃむしゃとケーキをほおばりながら言った。

「そうか、なるほど! ポーリンが魔法を使って、おかしを巨大化させたのだな。オレ様が、もっと大きなケーキが食いたいと願ったから、さっそく、かなえてくれたというわけか。まったく、すごい魔女だわい!」

 メタナイトは頭を振った。

「いや、そうではない。おかしが巨大化したなら、広場にいた全員がまわりにいるはずだ。だが、見たところ、ここにいるのは八人だけだ」

 メタナイトが言うとおり、広場にはおおぜいの住民が集まっていたが、今ここにいるのは八人だった。

 カービィ、デデデ大王、メタナイト、バーニンレオ、チリー、バウンシー、ナックルジョー、コックカワサキだ。

 デデデ大王が、きょうみなさそうに言った。

「ああ? だから、なんだというのだ?」

「おかしが巨大化したのではない。われわれが小型化したのだ」

 おかしにかじりついていたみんなは、おどろいてメタナイトを見た。

 メタナイトは、ゆだんなくあたりに注意を向けながら、続けた。

「魔女が作った、山もりおかしのテーブルがあっただろう。われわれ八人は小さくされて、あの中に閉じこめられたのだ」

 そのとき、パタパタと手をたたく音がひびいた。

 ウェイターハンドだ。彼は、八人の頭上に静かに浮かび、自分の出番を待っていたのだ。

 ウェイターハンドは、白いてぶくろをはめた手を打ち合わせながら、ゆうがに言った。

「ご明察(めいさつ)でございます。さすがは銀河に名だたる騎士、メタナイト様」

 メタナイトは身がまえながら、ウェイターハンドに向き直った。

「君は、大魔女ポーリンの助手だったな。これは、ポーリンのたくらみなのか?」

「いえいえ、そうではございません。ポーリンさんではなく、わがマスターの、おはからいでございます」

「マスター? 君のマスターは、ポーリンなのでは……?」

「ちがいます。わがマスターは、こちらの……ドリームフォーク様!

 ウェイターハンドは、両手をひらひらさせた。

 カービィたちは、そちらを見た。

 ウェイターハンドが示す先に、大きなフォークが転がっていた。

 カービィたちは、フォークにかけよった。

 とてつもなく大きなフォークだった。フォークというより、畑をたがやす農具のようだ。

「うわあ、大きなフォーク!」

「こんなの、持てないよ。よっぽどの巨人じゃなくちゃ」

 カービィが、フォークをじっくりながめて言った。

「これ、ぼくが使ったフォークににてる! 大きさはぜんぜんちがうけど……」

 メタナイトが言った。

「いや、これは、カービィが使ったフォークそのものだろう。われわれが小さくなったために、フォークが巨大化したように見えるのだ」

 ウェイターハンドが言った。

「またまた、ご明察(めいさつ)でございます。ドリームフォーク様は、すばらしい魔力をもつ万能のフォーク様。みなさまを、おのぞみどおりに、すてきなおかしの世界にしょうたいしてくださったのです!」

 カービィたちは、顔を見合わせた。

 メタナイトが、警戒(けいかい)しながら言った。

「のぞみどおり、だと?」

「ええ、そうですとも。みなさまは、こころの中で『もっともっと、たくさんのおかしを食べたいな。おかしがもっと大きくなればいいのにな』と思ってらっしゃいましたよね」

「うん、思ったよ!」

 カービィが言った。

 デデデ大王も、声を張り上げた。

「当然だわい。このくらいのおかし、オレ様にかかれば、あっというまになくなってしまう。もっともっと、おかしが大きくなればいい……と思ったぞ!」

 みんなも、口々に言った。

「オレもだぜ。カービィやデデデ大王が、食べつくしちまうに決まってるからな。もっと大きなおかしがほしいって思った!」

「わたしも。おかしがもっと大きかったらいいのになあって、こころの中で思ってたわ!」

 ウェイターハンドが、楽しげに言った。

「おかしを大きくすることは、会場の広さに限界がありますから、不可能なのです。そこでドリームフォーク様は、みなさまを小さくすることで、お願いをかなえたというわけなのです」

 メタナイトは、ウェイターハンドを見上げた。

「ふざけたマネを。ただちに、みなを元にもどせ!」

「えー、やだよ!」

 大声でさけんだのは、カービィだった。

 メタナイトは、あっけにとられて、カービィを見た。

「カービィ、なにを言う……」

「ぼく、まだまだ、もどりたくない! もっともっと、食べたいよー!」

 すかさず、デデデ大王も言った。

「さんせいだ! せっかく小さくなれたのに、もとにもどるなんて、もったいないわい」

 すると、他のみんなも口々に叫んだ。

「そうだよな! もとにもどるのは、おなかいっぱいになってからでいいぜ!」

「このサイズのほうが、たくさん食べられるもんね!」

「さんせいッス! オレも、まだもどりたくないッス!」

 メタナイトは、大きなため息をついた。

「君たちときたら……」

 そこへ、また、パタパタと手をたたく音がひびいた。ウェイターハンドだ。

「すばらしい! さすがはプププランドのみなさま、よく、わかってらっしゃる! みなさまに、こころゆくまでおいしいおかしを楽しんでいただくことが、わたくしの願いです。さあ、それではいよいよ、選ばれし八人の中から、最強のグルメ王を決定しようではありませんか!」

 カービィは、きょとんとしてたずねた。

「ぐるめおー? って、なに?」

「グルメ界の頂点(ちょうてん)でございます。グルメフェスとは、銀河最強のグルメ王を決める、最高の舞台(ぶたい)なのでございまーす!」

 ウェイターハンドは両手をにぎりしめ、たかだかと突き上げた。
 

     


カービィたちが小さくなって、おかしの山の中に入りこんでしまった!?
そこで始まる、ウェイターハンド発案の『グルメフェス』。いったい、どんな方法で、グルメ王を決めるというのでしょうか。
いっぽう、そのころ、広場にのこったバンダナワドルディたちは……?
次回「大魔女の正体」をおたのしみに!



『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』れんさい第3回(12月2日更新予定)に続く


作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
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サイズ
新書判
ISBN
9784046321824

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作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

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