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【スペシャルれんさい】『星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』第7回


◆第7回
カービィとメタナイトは、レーズンルインズのさらに奥……ついに、ローアのパーツを持つ、遺跡(いせき)のオヤブンのもとへ!
やけつく熱気のむこうでまっている、強敵の正体とは……?

 

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 遺跡のオヤブン

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 進むにつれて、次第に、熱気が立ちこめ始めた。

 吸いこむだけで全身が焼けつきそうな、熱い空気が前方から押し寄せてくる。

 カービィは足を止め、ふうっと息をついて言った。

「なんで、こんなにあついの? オヤブンのワナかな?」

「いや、もともと、このような地形なのだろう」

 メタナイトも、息苦しげに言った。

「地の底で発生した熱が、ふき出しているのだ。見たまえ」

 メタナイトが示した先には、真っ赤に灼(や)けた岩があった。

 カービィは、ぐったりした声で言った。

「あんなところ、通れないよ。歩いたら、足をやけどしちゃう!」

「岩の上を飛んで行くのも危険だな。熱風にやられて、気を失う可能性がある」

「どうしよう……」

 カービィが、考えこんだときだった。

 とつぜん、二人の前に、巨大な影が飛び降りてきた。

 着地と同時に、遺跡(いせき)がふるえた。

 現れたのは、水色のドラゴンだった。

 遺跡(いせき)の入口で出会ったウォーターガルボによく似ている。しかし、サイズがケタ違いだった。たぷたぷと丸いおなかは、コックカワサキの特製肉まんを何千個もつめこめそうなほど大きい。

「何者だ、おまえら! ことわりもなく入りこむとは、無礼者(ぶれいもの)めが!」

 大型のドラゴンは、カッと口を開けた。

「あぶない!」

 メタナイトとカービィは、あわてて飛び下がった。

 ドラゴンの口からはなたれたのは、水のかたまり、ウォーター弾(だん)だった。

 水とはいえ、高速ではなたれたウォーター弾の威力はすさまじい。直撃された石の床がくだけ、破片(はへん)が飛び散った。

「こ、こいつが、遺跡(いせき)のオヤブン……?」

 たじろいだカービィに、メタナイトがさけんだ。

「下がっていろ、カービィ!」

 すばやく剣を抜き、水色の大型ドラゴンに立ち向かって行く。

 ドラゴンは目を光らせ、ウォーター弾(だん)をまき散らした。

「帰れ帰れ! この先には行かせないぜ!」

 メタナイトは、力強くふみこんで、ドラゴンに斬(き)りつけた。

 剣先が、ドラゴンのかたいからだに傷をつけた。

「ガァァァァ――!」

 ドラゴンは咆哮(ほうこう)し、床をけった。

 巨体からは想像つかないほどの、大ジャンプ!

 あわや、ふみつぶされそうになった瞬間(しゅんかん)――メタナイトは剣をかまえて横ヘ飛んだ。

 目標を見失ったドラゴンに、息をもつかせぬ三連切りをたたきこむ!

「ンンンギャァァァァ……!」

 勝負はついた。水色のドラゴンはよろめき、倒れ、弱々しい息をついた。

 カービィは、歓声(かんせい)を上げてメタナイトに駆け寄った。

「やったぁ! すごいなあ、メタナイト! あっという間に、ミスター・ダウターをやっつけちゃった!」

「……ミスター・ダウターだと?」

 大型のドラゴンは、うっすらと目をあけて、カービィを見た。

「おまえら、バカなカンちがいをしているようだな」

「え? カンちがい?」

「オレはウォーターガルボロスだ。ミスター・ダウター様は、この奥にいらっしゃる」

「……えー!? キミがオヤブンじゃなかったの!?」

 カービィはがっかりしたが、メタナイトはすかさずさけんだ。

「よし。カービィ、こいつを吸いこむんだ!」

「え?」

「ウォーターの能力持ちだ。吸いこめば、コピー能力が手に入るだろう」

「あ、そうか!」

 カービィの目が輝いた。

 ウォーターガルボロスは、うすら笑いを浮かべて言った。

「吸いこむだと? オレを? 何を寝ぼけたことを言ってるんだ。出直してこい……」

「ちからを貸してね。それー!」

 カービィは元気いっぱい、息を吸いこんだ。

「ぐぬぉ!?」

 クールにふるまっていたウォーターガルボロスは、あせって目を見開き、あらがおうとした。

「どわわ!? や、やめろ、何をする、わああ!」

 からだが大きいだけあって、いつものようにかんたんには吸いこめない。

 しかし、カービィは全力ですいこみを続けた。

「や、や、やめろって――!」

 ウォーターガルボロスは、ずるずると床をはって、カービィの口の中へ。

 たちまち、カービィの姿が変化した。

 頭に、金色のかざりがついた水のぼうし。カービィがぴょんとはねると、足元に冷たい水しぶきが上がった。

「ウォーターのコピー能力だよ! これで、戦える!」

 カービィは、いさましくさけんだ。

 メタナイトが言った。

「役に立つコピー能力が手に入ったな。その力があれば、灼(や)けた岩の上を楽に進めるぞ」

「そうだね! 今度こそ、遺跡(いせき)のオヤブンと戦うぞ!」

 カービィは、張り切って片手を突き上げた。

 足元から、勢いよく水がふき出した。

「行くよー! なみのり!

 水流に乗って、飛ぶように進んで行く。

 赤く灼(や)けていた岩は、カービィの水流を受けると、ジュッと蒸気(じょうき)を上げて冷えてしまった。

 立ちこめていた熱気も、急速に失われていく。カービィは、すっかり元気を取り戻して、さけんだ。

「すずしくなったよ! ちからが、わいてきた!」

「助かった」

 メタナイトも、熱気から逃れて、体力を回復した様子。

 二人はスピードを上げて、遺跡(いせき)の最奥に向かった。

 敵の襲撃(しゅうげき)は絶(た)え、遺跡(いせき)は静まり返っていた。

 すいすいと水流に乗ってすべっていたカービィは、視界のはじに、キラッと光るものをとらえた。

「ん? なんだろう、あれ」

 あざやかなターンを決めて、動きを止める。

 追いついたメタナイトがたずねた。

「どうした、カービィ?」

「なにか、光るものが見えたんだ。あれは、ひょっとして……」

 カービィは、その場所を調べてみた。

 目当てのものは、すぐに見つかった。カービィは、それをつまみ上げて、歓声(かんせい)を上げた。

「やっぱり! 見つけたよ、マホロアの歯車だ!」

「エナジースフィアか」

 メタナイトは、カービィから歯車を受け取って、確かめた。

「これが落ちているということは、やはりローアのパーツが近くにあるのだな」

「あそこにも落ちてる! あ、あっちにも!」

 カービィとメタナイトは、歯車をひろい集めながら、奥へ進んでいった。

 二人は、細長い広間に出た。歯車を探していたカービィは、広間の真ん中に、きみょうなものが落ちているのを見つけて駆け寄った。

「なんだろう、あれ……? え……? わあああああ!」

 カービィは、びっくりして、ひっくり返りそうになった。

「あ、あたまだー! だれかのあたまが落ちてる!」

 それは、布でできた丸いかたまりだった。確かに、ターバンを巻いた頭のようにも見える。

 メタナイトは剣を抜き、すばやく周囲(しゅうい)をうかがった。

「気をつけろ、カービィ……!」
 
――と、そのとき。

 ターバンのすぐ上に、きみょうな物が出現した。

 手だ。

 白い手袋をはめた二つの手が、空中にぽっかりと現れた。

「え……? 手だけ……?」

 目をみはったカービィたちの前で、二つの手がパンパンと打ち鳴らされた。

 手は、落ちている頭を拾い上げると、そのねむりを覚ますように、交互にポカポカとたたいた。

 ターバンの下に、黒いけむりがもくもくとわき起こる。

 ――すると、たちまち、けむりの中から水色の巨人が現れた!

「えええええ――!?」

 まるで、手品のようだ。カービィもメタナイトも、あぜんとした。

 水色の巨人は、真っ黒な目をくりっと見開くと、カービィたちを見下ろした。

「――なんですか、あんたたちは? 私の聖域(せいいき)を、荒らしに来たんですか?」

 なんとなくねむそうな、まのびした声だった。

 メタナイトが言った。

「ミスター・ダウターか?」

「いかにも。この遺跡(いせき)の支配者、ミスター・ダウター様ですよ」

「私たちは、争う気はない。ただ、ローアのウイングを探しに来たのだ」

「ローア? ウイング?」

「数日前、空から船が落ちてきただろう。その船のパーツが、このあたりに……」

「――あんたたち」

 ふいに、声音が変わった。

 眠気(ねむけ)が吹き飛んだように、怒りに満ちた声で、ミスター・ダウターは言った。

「私の宝、神聖(しんせい)なるつばさをうばいに来たんですね?」

「そのつばさは、君の物ではない。正当な持ちぬしに、返してもらいたい」

「おだまりなさい!」

 ミスター・ダウターは両手を広げた。

 その手の間に、白くてまるいものが三つ、現れた。

 どくろだ。

 ぶきみなどくろを、お手玉のようにもてあそびながら、ミスター・ダウターは言った。

「あのつばさは、天が私に与えてくれた恵み。私をもっともっと強くしてくれる、魔法のつばさなのです。だれにも、渡しませんよ!」

「ならば仕方あるまい。力づくでも返してもらうぞ!」

 メタナイトは、闘志(とうし)をみなぎらせてさけんだ。

 ミスター・ダウターは、三つのどくろを、立て続けに投げつけてきた。

 カービィは、あわててよけた。

「わわわ! やったなー! ウェーブショット!」

 ミスター・ダウターに向けて、激しい水流を放つ。

「こざかしい!」

 ミスター・ダウターは軽々とかわして、高く飛び上がった。

 大きなからだを高速回転させて、急降下!

 カービィとメタナイトは、飛びのいてかわした。

 着地したミスター・ダウターは、ターバンを外し、器のようにささげ持った。

 ターバンから、赤いヘビが次々に湧き出してくる。

「ふふふ……お行きなさい、ヘビちゃんたち!」

「わわわわ!?」

 はいずるヘビにめんくらっている間に、ミスター・ダウターはふたたび大ジャンプ。カービィとメタナイトを、押しつぶしにかかる。

 大きなからだに似合わず、ちょこまかと細かいゆさぶりをかけてくる。手品のような小ワザで相手を翻弄(ほんろう)し、すきをついて、大ワザを放ってくる気だ。

 相手のペースに巻きこまれたら、勝ち目はない。まずは、細かい攻撃を止めなければ。

「――メタナイト!」

 カービィは、メタナイトを見た。

 メタナイトは、カービィの考えを察(さっ)したように、無言でうなずいた。

 一瞬で、作戦は決まった。

ついに、カービィ&メタナイトVSミスター・ダウターのバトルがスタート!
強敵ミスター・ダウターに反撃するための、カービィとメタナイトの作戦とは!?
そして、気になるバトルの結末は……!!??
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書籍情報

あくびが出るほど平和な、プププランドの昼下がり。
ショートケーキを持って仲良くピクニックをしようとしていたカービィ、デデデ大王、バンダナワドルディそしてメタナイトの目の前で、晴れた青い空を切り裂いて、突如、巨大な船が落ちてきた。
ふしぎな光につつまれた、その船の名は――ローア。
すでに滅びた超古代文明ハルカンドラが生み出した、奇跡の船。
カービィたちは、船の持ち主だという旅人マホロアに助けを求められ、墜落とともに失われてしまった、船のパーツを探すことになった。
遺跡や海の底に雪の中…そして異空間をかけめぐる、大冒険が始まる!
【解説:熊崎信也「星のカービィ」シリーズ ゼネラルディレクター】


星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師

  • 作 高瀬美恵 絵 苅野タウ 絵 ぽと
  • 【定価】1,320円(本体1,200円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】B6判
  • 【ISBN】9784041116197

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