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ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ ディスカバリー 絶島の夢をうちくだけ!編』第2回 ナゾのうず、ふたたび


大人気ゲーム『星のカービィ ディスカバリー』が、角川つばさ文庫から小説になって登場! 
新世界を駆けぬけたカービィたちの、次なる『絶島』での大冒険を、大ボリュームでためし読みれんさいしていきます!(全5回)
※このお話は、『新世界へ走り出せ!』編のつづきです。ぜひ、『新世界へ走り出せ!編』を読んでから読み進めてください。

◆第2回

はなればなれになっていたエフィリンと無事に再会して、新世界にもどってくることができたカービィたち。
新世界のワドルディの町で、カービィとバンダナワドルディをまっていたのは、もちろん、『あの人たち』です!

 

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

 

ナゾのうず、ふたたび

 

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

 

 ワドルディの町は、ますます、にぎやかになっていた。

 

 ぶき屋もカフェもりっぱになり、町かどには、バンドが演奏するためのステージまでできあがっている。

 

「わあ、おかえりなさい、バンダナせんぱい! カービィさん!」

 

「もどってきてくれて、ありがとうございます!」

 

 おおぜいのワドルディたちが飛び出してきて、カービィたちを出むかえた。

 

 その中には、ラボ・ディスカバールの回し車でこき使われていたワドルディたちの姿もあった。みんな、元気そうな笑顔だ。

 

 バンダナワドルディは、感激した。

 

「みんな、助かったんだね……!」

 

「はい! 大王様のおかげです!」

 

「大王様が、ぼくらを救い出してくださったんです!」

 

 ワドルディたちは、口々に言った。

 

 バンダナワドルディは広場を見回し、デデデ大王を見つけて、全速力で駆けよった。

 

「大王様ー! お久しぶりです! お元気そうで……!」

 

 すると、デデデ大王はふんぞり返って、バンダナワドルディの言葉をさえぎった。

 

「フン、元気に決まっとる。オレ様をだれだと思ってるんだ。それより、きさま、もどってくるのがおそすぎるわい。待ちくたびれたぞ!」

 

「もうしわけありません!」

 

 バンダナワドルディは頭を下げながら、ニコニコした。久しぶりに大王にどなられて、うれしくてしかたがない。

 

 カービィも、ぴょんぴょん飛びはねながら言った。

 

「ぼくのことは!? 待ちくたびれた!? ねえ、待ちくたびれた!?」

 

「フン! おまえのことなんか、これっぽっちも待っとらんわ!」

 

 デデデ大王は、ツーンとそっぽを向いた。

 

 エフィリンが、すまなそうに言った。

 

「ほんとは、ボクがもっと早く、ふたりをむかえにプププランドに行けばよかったんだけど……ボク、ケガをしていて、動けなかったんだ。ごめんね」

 

「エフィリンがあやまることないよ!」

 

 カービィが言った。

 

 バンダナワドルディも、うなずいた。

 

「そうだよ。エフィリンのおかげで、プププランドは助かったんだから。ケガは、もういいの?」

 

「うん! キャロラインが手当てをしてくれたから、すっかりなおったよ!」

 

「……え?」

 

 思いがけない名前を聞いて、カービィとバンダナワドルディは、びっくりした。

 

「キャロラインって、あのキャロライン? ビースト軍団の幹部(かんぶ)の?」

 

「キャロラインが手当てをしてくれたって……どういうこと?」

 

「それはね……」

 

 エフィリンは町を見回し、大きな声でさけんだ。

 

「おーい、キャロライン! こっちにおいでよ!」

 

 すると、広場の向こう側にいたキャロラインが、走ってやってきた。

 

 カービィとバンダナワドルディは、キャロラインとのはげしい戦いを思い出して、思わず声を上げた。

 

「キャロラインが……!」

 

「どうして、ここに……!?」

 

 エフィリンが言った。

 

「ふたりとも、だいじょうぶだよ。キャロラインは、もう敵じゃないんだ」

 

「……どういうこと?」

 

「キャロラインは、ほんとは、すごくやさしいんだよ。ワドルディたちをさらったりしたのは、レオンガルフの命令にしたがっただけなんだって」

 

「そうなの……?」

 

 カービィとバンダナワドルディは、キャロラインを見上げた。

 

 キャロラインは、ふたりに向かって、深く頭を下げた。

 

 エフィリンが言った。

 

「キャロラインは、気を失ったボクを見つけて、助けてくれたんだ。そして、ボクのケガが良くなると、この町まで送ってくれたんだよ。ところが、そのときちょうど、ナゾのうずがふたたびあらわれて、町は大さわぎになっていたんだ」

 

 エフィリンは振り返り、空を指さした。

 

 町はずれのてんぼう台の上に、ナゾのうずがあった。プププランドをのみこもうとしたときのような大きなうずではなく、エフィリンが作れるのと同じくらいの小さなうずだ。

 

 エフィリンは言った。

 

「みんなが、あのうずを見上げてわいわい言ってると、とつぜん、キャロラインが駆け出したんだ。てんぼう台に上って、あのうずを見上げてね、うずの向こう側にレオンガルフの気配を感じるっていうんだ」

 

「……え?」

 

「ラボ・ディスカバールの戦いのあと、レオンガルフはゆくえ不明になってしまったんだって。その彼が、どういうわけか、あのうずの向こうにいるらしいんだよ」

 

 キャロラインがうなずいて、うずを見上げた。

 

 言葉は話さなくても、レオンガルフを心配する気持ちが伝わってくる。

 

 そこへ、メタナイトが近づいてきた。

 

「よくもどってきてくれたな、カービィ、ワドルディ」

 

 カービィはさけんだ。

 

「あ、メタナイト! ねえ、どうなってるの? フェクト・エフィリスは、ぼくらが倒したのに、どうしてまたナゾのうずができちゃったの? それに、向こう側にレオンガルフがいるってどういうこと?」

 

 質問だらけのカービィを、メタナイトは片手を上げてさえぎった。

 

「順を追って話そう。まず、レオンガルフについてだが――もともと、彼はレオンガルフという名ではなかった。レオン、と呼ばれていたらしい」

 

 カービィは、きょとんとした。

 

「レオン? どうして、レオンがレオンガルフになっちゃったの?」

 

「きっかけは、ラボ・ディスカバールだ。そのころ、アニマルたちはラボ・ディスカバールをおそれており、近づこうとしなかった」

 

「どうして?」

 

「彼らはカンがするどい。理由はわからないものの、なんとなく、こわい場所だと思っていたそうだ」

 

 バンダナワドルディが言った。

 

ID-F86(アイディーエフハチロク)の気配を、感じ取っていたんですね……」

 

「うむ。だが、レオンはゆうかんだった。仲間たちをこわがらせているものの正体を確かめようとして、ひとりでラボ・ディスカバールに探検に出かけた。だが、もどって来たとき、まるで別人のようになっていたそうだ」

 

「別人……?」

 

「それまでは、やさしくて明るいリーダーだったのに、とつぜん、えらそうな態度を取るようになったそうだ。そして、自分をレオンガルフと呼ぶよう、みなに命じた。キャロラインという名も、そのときつけられたらしい。それまで、彼女はキャロルと呼ばれていたそうだ」

 

「キャロル……? ほんとは、キャロルっていうの?」

 

 カービィがたずねると、キャロラインは悲しそうにうなずいた。

 

 メタナイトが続けた。

「レオンガルフは、『あのお方を完全体にもどすことが、われわれの使命』と言い出したそうだ。『そうすれば、あのお方が、われわれを夢の大地へ連れて行ってくださる』と」

 

 バンダナワドルディが言った。

 

「あのお方って、ID-F86のことですよね。レオンガルフは、ID-F86にあやつられてしまったんですね」

 

 エフィリンがうなずいた。

 

「うん! ID-F86には、二つの大きな力があるんだ。空間転移(くうかんてんい)と洗脳(せんのう)だよ。レオンガルフはすっかり洗脳されて、ID-F86の手先にされてしまったんだ」

 

 バンダナワドルディは考えこんだ。

 

「レオンガルフはID-F86のために、エフィリンをつかまえようとしたんだね。でも計画は失敗して、ID-F86は消えたはず……なのに、うずの向こうにレオンガルフの気配がするっていうことは……」

 

 メタナイトが言った。

 

「ID-F86ことフェクト・エフィリスは、まだ消滅(しょうめつ)していない。なんらかの方法で、うずの向こうにのがれたのだ。その際(さい)に、レオンガルフを引きずりこんだと考えられる」

 

 メタナイトは、カービィとバンダナワドルディを見た。

 

「ふたたび、大きな災厄(さいやく)がせまりつつある。このままにはしておけない。そこで、エフィリンに、君たちをむかえに行ってもらったというわけなのだ」

 

 キャロラインが、なにかをうったえるように、真剣な目でカービィを見た。

 

 エフィリンが言った。

 

「これまで、ボクらにしたことをあやまりたいって。そして、力になってもらえないかって言ってる。レオンを助けてほしい……って」

 

 キャロラインは胸の前で手を組み、いのるように目を閉じた。

 

 カービィはさけんだ。

 

「わかった! フェクト・エフィリスが復活しちゃったら、たいへんだもんね。ぼくらがうずの向こうに行って、フェクト・エフィリスを倒して、レオンを助けるよ! 行こう、ワドルディ、エフィリン!」

 

 カービィは駆け出そうとしたが、そこへ、ゴーグルをつけたワドルディが声をかけた。

 

「待ってくださーい! カービィさん!」

 

「あ、ぶき屋くん!」

 

 カービィのために、コピー能力のぼうしを作ってくれる、器用(きよう)なぶき屋ワドルディだ。

 

 ぶき屋ワドルディは、声をはずませて言った。

 

「すっぴんでは、あぶないです! どうか、ぼくの作ったぼうしを使ってください。実は、新しいせっけい図を発見しまして……」

 

「ほんと? じゃあ、新しいコピー能力のぼうしができたの?」

 

 ぶき屋ワドルディは、とくいげにうなずいた。

 

「ただの新作じゃないんです。これまでに作ったコピー能力のぼうしを、進化させることに成功したんです!」

 

「……しんか? しんかって?」

 

「とにかく、見てください!」

 

 ぶき屋ワドルディは、はりきって、歩き出した。

 

 カービィたちは彼に続いて、ぶき屋に向かった。

 

 

     

カービィとバンダナワドルディがプププランドに帰っている間に、ワドルディの町ではいろんなことがあったみたい。
それに、ぶき屋ワドルディの言う『コピー能力進化』って、いったいなに!? くわしくは、次回をおたのしみに~!


『星のカービィ ディスカバリー 絶島の夢をうちくだけ!編』れんさい第3回(9月23日更新予定)に続く


作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046321817

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