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ものがたり

最新刊『絶体絶命ゲーム14』先行連載 第1回 檻の中の春馬と未奈

【スリルの頂点を極める最強シリーズが、新たなステージへ!】

この小説、危険すぎ!? どこにあるとも知れない【奈落】という場所に連れてこられた、春馬と未奈。ここにいるのは「絶体絶命ゲームに裏切られた人たち」……? 大人気シリーズ最新刊!(毎週火・金曜日更新・全3回)

【このお話は…】
すべてのはじまりは、秀介からだった。
秀介のもとに届いた『絶体絶命ゲーム』の招待状に、春馬が代理で参加したのが最初だった。
命がけでたいへんな思いもしたけれど、そこで未奈とも出会ったんだ…。

前回のゲームで、最下位になるとナゾの施設『奈落』へと送られると知りながら、春馬はわざと負けた。
それは、『奈落』を映した映像の中に、秀介のすがたを見たから。

秀介――無事でいてくれ。
いま、あらたなゲームが幕をあける……!



1    檻の中の春馬と未奈

 その日、私立渋神中学では入学式がおこなわれていた。しかし、中学2年生になった武藤春馬と滝沢未奈は、学校にいなかった。
 いま、2人がいるのは、千葉県にある、成田国際空港のZラウンジだ。
「深井アイさまは、すぐにこられるそうです。奥の個室でお待ちください」
 清楚な女性スタッフに言われて、春馬と未奈は奥の個室に入った。
 ふかふかとしたじゅうたんの個室は、モダンな黒色のテーブルと革張りのソファーがおかれ、窓からは滑走路が見える。
 客は、春馬と未奈の2人だけだ。
「なにか、作ろうか?」
 声をかけられて、春馬が振りむいた。
 カウンターの中に、不気味なドクロの仮面をつけた男がいる。
「えっ!」
 不気味な仮面に驚いた春馬に、仮面の男が聞きなおす。
「なにか、飲むものを出そうか?」
「あっ、えっと……」
 春馬が答えにこまっていると、となりの未奈が元気な声で言う。
「それなら、おすすめを2つ」
「わかった。とっておきを2つ作るから、座って待っていて」
 仮面の男に言われて、春馬と未奈はソファーに並んで座った。
「……ここが待ち合わせ場所ということは、行き先は海外なのかな?」
 未奈が聞くと、春馬は深刻そうな顔をむける。
「やっぱり、未奈はこないほうがいい。今からでも、アイに頼んで……」
「いやよ」
 未奈にきっぱり言われて、春馬は閉口する。
「前にも言ったでしょう。『奈落』へは、春馬といっしょにいく。それは、もう決めたことよ」
「そうだけど。成田空港に呼びだされているんだよ。連れて行かれる先が海外だとしたら、簡単には帰ってこられない」
「覚悟してるわ。春馬も、秀介に会うまでは帰らないつもりでしょう」
「……まぁ、そうだけど」
 春馬は、頭をかきながら言った。

 ——1カ月ほど前。
 春馬と未奈は学年対抗の『絶体絶命ゲーム』に参加した。
 ゲームの最後で、春馬は渋神中の2年生、風祭ミッシェルと決闘した。
 春馬がミッシェルを、ウォーター銃で撃っていたら、『奈落』いきはまぬがれたが……。
「どうして、引き金を引かなかったの?」
 ゲームが終わったあと、未奈は春馬に聞いた。
「ごめん。ぼくのせいで最下位になって……」
「そうじゃなくて……、あたしの質問に答えて」
 未奈がきびしい顔で言うと、春馬はしぶしぶ理由を話した。
 ゲームの前に見せられた『奈落』の映像の中に、ずっと行方がわからないままの親友の上山秀介が映っていたのだ。
 ミッシェルと決闘したとき、春馬の脳裏に『奈落』にいる秀介の姿がよぎった。
 それで、ウォーター銃の引き金を引けなかったのだ。
「なるほど、そういうことだったのね」
「ぼくが、未奈と出会えたのは秀介に代わって、『絶体絶命ゲーム』に参加したからだ。秀介がいなかったら、未奈と知りあえなかった」
「秀介は、あたしと春馬を出会わせてくれた、キューピッドなのね」
「……今、ぼくは幸せだ。でも、自分だけがこんなに幸せでいいのかと思うんだ。親友の秀介が、どういう生活をしているのか心配なんだ」
「それなら、まぁ、しかたないわね。ゲームで負けたのはくやしいけど、ゆるしてあげる」
 未奈は、まぶしい笑顔で言った。
 春馬は1人で『奈落』にいくつもりだったが、未奈がいっしょにいくと言いだした。
 彼女の決意は固く、説得するのは難しい。
 それに、正直、未奈がいてくれたら、これほど心強いことはない。
 春馬は、未奈といっしょに最悪の地『奈落』へいくことになった。

 Zラウンジで待っていた春馬と未奈の前に、仮面の男がグラスを持ってくる。
「甘さはひかえめで、栄養は十分のミックス・ジュースだ。これから、長旅だろう」
 仮面の男は意味深に言うと、カウンターにもどっていく。
「これを飲んだら、眠たくなるかもしれないな」
 春馬が、警戒して言った。
「睡眠薬が入れられてそうだけど……。でも、美味しそうよ」
 ジュースからただよう甘いフルーツの香りをかぎながら、未奈が言った。
「アイさまからです」
 仮面の男がやってきて、タブレットを春馬にわたした。
「なにかな?」
 タブレットが起動して、ディスプレイに深井アイが映る。
「春馬と未奈、おはよう。直接話をするために、そこに出向くつもりだったんだけど、ちょっと無理になったの。それで、オンラインで1つだけ言わせて」
 アイは深呼吸して言う。
「……生きて帰ってきて」
 アイのやさしい言葉に、春馬と未奈は顔を見合わせる。
「生きて帰ってきてって……。『奈落』って、そんなに危険なところなの?」
 未奈が質問するが、ディスプレイのアイの映像はブラックアウトする。
「肝心なことは、教えてくれないわけか」
 春馬が、投げやりに言った。
 2人がいかされる『奈落』について、ネットなどで調べたが大した情報はなかった。
「……まぁ、いいわ。いけば、わかるわよ」
 未奈はあっけらかんとした口調で言うと、ミックス・ジュースを口にする。
「うわぁ、このジュースって、最高に美味しい」
「それじゃ、ぼくも……」
 春馬もミックス・ジュースを飲んだ。
 仮面の男が言うように、甘さはひかえめだが、フルーツの味が濃くて美味しい。
 ジュースを飲んだあと、急に睡魔におそわれた。

   ゴ—————、ゴ—————、ゴ—————!
 激しい風音と吹きつける強風で、春馬は目を覚ました。
「な、な、な、なんだ、これ!?」
 春馬と未奈はゴーグルをつけられて、1辺2メートルほどの鉄格子の檻に入れられている。
「……な、なにがおきているの?」
 未奈も、目を覚ました。
 春馬は、2人がゴーグルをつけていることに気がつく。
「どうして、ゴーグルをつけているんだ?」
 春馬が、まわりを見る。
 2人が入れられている檻は、なにかの乗り物の貨物室におかれている。
「春馬、あ、あ、あ、あれって、どういうこと!」
 未奈が、声をふるわせて指さした。
 貨物室の搬入口がゆっくりと開いて、青い空と白い雲が見えてくる。
「そうか。ここは、貨物用の飛行機の中だ……」
 春馬が、うんざりしたように言った。
「それはわかるけど、どうして、搬入口が開いたの?」
 未奈に聞かれて、春馬は最悪な事態を想像する。
「もしかして、ぼくたちがゴーグルをつけられているのは……」
「ゴーグルって……」
 未奈は、ようやくゴーグルをつけられていることに気がつく。
「これって、どういうことよ!」
 風音に負けないように、未奈は大声で言う。
「空の上でゴーグルをつけているということは、おそらく……。でも、そうだとしたらパラシュートがあるはずだけど……」
 春馬と未奈の体には、パラシュートはついていない。
 2人の入った檻が、ゆっくり動きだす。
「これって、空から落とされるということ!?」
 未奈が、体をふるわせる。
「鉄格子にしがみついて!」
 春馬が大声で言うと、未奈は鉄格子にしがみつく。
 2人の入った檻は床をすべって、大空に投げ出された。
「キャァァァァ———!」
 未奈が叫ぶ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
 檻の中でもみくちゃになる春馬だが、なんとか鉄格子につかまる。
 どこからか、ピーッと大きな機械音が聞こえてくる。
「今の音はなんだ?」
 春馬が視線をめぐらすと、鉄格子にディスプレイが設置されている。
「なにかな?」
 落下の圧力に耐えながら、春馬はディスプレイに目をやる。

   今、あなたたちは絶体絶命です。
   でも、心配はいりません。
   □に暗証番号を指で書くと、パラシュートが開きます。
   □-□。
   不正解のときは、パラシュートは消滅します。
   1分以内に正解しなければ、手遅れです。
   暗証番号のヒントは3つあり、20秒ごとに1つずつ、この画面に表示されます。
  
   最初のヒントは、『白い犬』。
   01:00……00:59……00:58……00:57……

「こ、こんな状況で、ゲームなんて……! しかも、このヒントはなんだよ!」
 春馬は叫ぶ。
 高所恐怖症の未奈は、鉄格子にしがみついてパニックになっている。
「この問題は、ぼくが正解を出さないと」
 春馬は、自分に言いきかせた。
 □-□に入る番号はなんだろう?
 ヒントの『白い犬』は、どういう意味だろう?
 これだけでは、暗証番号はわからない。
 考えている内に、カウントダウンが『00:40』になった。
 ディスプレイに、2つ目のヒントが映る。
   『米』
 このヒントでも、まだわからない。
 落下する檻の中で、春馬は必死に気持ちを落ちつける。
 問題文を読みなおすと、奇妙なことに気がつく。
 一般的に暗証番号は4けただが、どうして2けたなのか?
 それに暗証番号なら□□となるはずが□-□となっている。
 真ん中の『-』はなんだろう?
 春馬は、ちらりと未奈に視線をむけた。
 彼女は鉄格子につかまり、ぶるぶる震えている。
「……た、頼んだわよ。春馬」
 春馬の視線に気がついた未奈が、せいいっぱいの声で言った。
 高所恐怖症の未奈にとって、この状況は最悪だ。
 泣き叫びたいはずなのに、じっと耐えている。
 未奈が恐怖に耐えてくれているから、春馬は冷静に考えることができる。
 そうか、これは!
 春馬はある数字が思いうかんだが、すぐには答えずに残り1つのヒントを待つことにした。
 不正解だとパラシュートは消滅だ。
 さらに20秒がたって、カウントダウンが『00:20』になった。
 ディスプレイに最後のヒントが映る。
   『32』
 3つのヒントは、『白い犬』『米』『32』。
 暗証番号は□-□。
 まちがいない、あの数字だ。
 でも、本当にそれでいいのだろうか?
 不正解なら、命がなくなる。
 いや、なにもしなくても結果は同じだ。
   ……00:16……00:15……00:14……
「やるしかない!」
 春馬がディスプレイに指をのばしたとき、檻が回転した。
「うわぁ!」
 バランスを崩した春馬は横にふっ飛んで、鉄格子に背中をぶつけた。
   ガツン!
「痛っ……!」
 体中に痛みが走り、動けない。
 いやだ。こんなところでは終われない!
 春馬が顔をあげると、ディスプレイのカウントダウンが見えた。
   ……00:09……00:08……00:07……00:06……
「大丈夫、まだ時間はある!」
 春馬は必死に手をのばして、ディスプレイの□に指で暗証番号を書く。
   8-7。
 次の瞬間、檻の天井に設置された、パラシュートが開いた。
   ガン!
 檻の落下スピードが落ちて、中にいた春馬と未奈の体が天井にぶつかった。
「痛いけど、助かった……」
 春馬がつぶやいた。
「パ、パ、パラシュートが……開いたの?」
 未奈が震える声で聞いた。
「もう大丈夫だよ。未奈」
「……春馬、ありがとう」
 未奈が、消えいりそうな声で言った。
 2人の入った檻は、速度を落としてゆっくりと落ちていく。

 


2    最悪の地へ

   ドサッ!
 春馬と未奈の入った檻は、強い日差しが照りつける砂浜に着地した。
 ゆるやかな波が寄せては返している。
 のどかな風景だ。
「無事に地上に降りられたけど、檻からは出られないんだな」
 春馬が、ゴーグルをはずして言った。
「……ごめん。あたしは、まだなにも考えられない」
 未奈が、疲れた顔で言った。
「そうか、それもそうだな。それと、これは、もういらないと思うよ」
 春馬は、未奈のゴーグルをはずしてやる。
「ありがとう」
「もう、なるようにしかならないな」
 春馬が開きなおったように言うと、未奈が笑顔になって聞く。
「ねぇ、あの暗証番号の解説をして」
 高所恐怖症の未奈は、落下中はなにも考えられなかったようだ。
 それでも、ディスプレイに映っていた問題と、それを解く春馬の活躍はしっかりと見ていた。
「あれなら、冷静になるとそれほど難しくないんだ。暗証番号は□-□となっていただろう。真ん中に『-』がはいっているので、スポーツなどの点数じゃないかと推測したんだ」
「1つ目のヒントは『白い犬』だったわね。もしかしてだけど、白い犬は『尾も白い』で『おもしろい』とか?」
 未奈が、半信半疑で聞いた。
「うん、そうだ。つまり、あるスポーツのおもしろい点数ということだ」
「次のヒントは『米』ね。これは、米国。アメリカという意味かな?」
「それも正解だ。『スポーツの点数』、『おもしろい』、『アメリカ』で、ある点数が思いうかんだんだけど、ミスは許されないから、3つ目のヒントまで待ったんだ」
「最後のヒントは『32』よね」
 未奈は、まだわからないようだ。
「『32』は、アメリカ第32代の大統領を示しているんだ」
「それなら、あたしにもわかるわ。フランクリン・デラノ・ルーズベルトね」
「それで、なにか思いあたることはない?」
「……ルーズベルト大統領は、たしか、野球が好きだったのよね」
「よく知ってるね」
「テレビドラマにもなった『ルーズヴェルト・ゲーム』という小説を読んだことがあるの……。そうか、ルーズベルト・ゲームね」
 未奈が、大きな声で言った。
「うん、それだよ。野球好きだったルーズベルトは、新聞記者に送った手紙に、『一番おもしろいゲームのスコアは、8対7だ』と書いたんだ」
「そうか。なるほどね……」
 春馬と未奈が話をしていると、ドクロの仮面をつけた男たちが数人やってくる。
「ヘルプ・ミー」
 春馬が話しかけるが、男たちはなにも答えない。
 そして、檻に設置されていたパラシュートを手際よくはずした。
「あの……、日本語はわかりますか?」
 未奈が声をかけても、だれも答えてくれない。
 男たちは、2人の入った檻を持ちあげると運んでいく。
「ぼくたちを、どこに運ぶんですか?」
 春馬が聞くが、男たちは無視だ。
「運んでもらえるのなら、ゆっくり休みましょう」
 未奈は能天気に言うと、ごろりと横になった。
 すぐに寝息が聞こえてくる。
「……ぼくも、眠たくなってきたな」
 春馬も、檻の中で横になった。

 どれくらいたっただろう?
 ぐらーりぐらーりと体がゆれて、春馬は目を覚ました。
 となりを見ると、未奈が先におきていた。
 2人は、まだ檻の中だ。
「……ここは、どこ?」
 春馬が聞くと、未奈がため息まじりに答える。
「船の中みたいよ」
「飛行機の次は、船か……」
「しかも、荷物あつかいよ」
 未奈に言われて、春馬がまわりを見る。
 たくさんの木箱などの荷物がおかれている。
「……クジラのおなかの中じゃないだけ、まだいいか」
 春馬が、冗談半分に言った。
 そのとき、ドアのむこうから聞いたことのない言葉が聞こえてくる。
「どこの国の言葉かな?」
 未奈に聞かれるが、春馬にもわからない。
 ドンと音がしてドアが開いた。
 春馬と未奈が目をむけると、ドクロの仮面の太った男がやってくる。
 その男は聞いたことのない言葉をつぶやきながら、春馬と未奈にスプレー缶をむける。
 いやな予感がした。
 太った男はにやりと笑うと、スプレーを噴射した。
 春馬と未奈は、また眠りにおちた。

   ガタガタガタ……
「うわぁ!」
 上下に激しくゆさぶられて、春馬は目を覚ました。
「今度は、なんなんだ!」
 春馬が体をおこす。
「このゆれは、なに?」
 となりで寝ていた未奈も、目を覚ました。
 2人のはいった檻は、2頭の馬が引っぱる馬車の荷台に載せられている。
 荷台の前にはフードをかぶった御者の大男がいて、2頭の馬をあやつっている。
「飛行機、船の次は、馬車だよ」
 春馬はそう言って、まわりの景色を見る。
 うっそうとした森の中を、馬車は走っている。
「ねぇ、雪よ?」
 未奈が、空を見あげて言った。
 4月だというのに、雪が降ってきた。
 いったい、ここはどこなんだ?
 馬車は、森の中の細いでこぼこ道を走りつづける。
「目的地に着いたみたいだ」
 前方に、石造りの要塞のような大きな建物が見えてくる。
 4階建てのビルくらいの高さがあり、隅に円柱状の塔が建っている。
 まわりは深い堀になっているようだ。
 馬車が堀の前にくると、木製の、粗末なはね橋が下りてくる。
「これって、古い刑務所かなにかかな?」
 未奈が、不安げに聞いた。
「いや、おそらく城だ」
 春馬の答えに、未奈が不満そうに聞きかえす。
「お城……って、ディズニーランドにあるシンデレラ城みたいなもの?」
「あれは、おとぎの国の城だ。これは、中世にヨーロッパで建てられた古城じゃないかな」
「それじゃ、ここはヨーロッパということ?」
「いや、それは、断定できないよ」
 馬車ははね橋をわたり、門の前でとまった。
 御者の大男が振りむくと、顔にドクロの仮面をつけている。
「あの、ここが『奈落』ですか?」
 春馬が声をかけた。
 御者の大男は、なにもこたえないまま、荷台から春馬と未奈の入った檻を降ろす。
 そして、檻の中になにかを投げいれてきた。
「なにかな?」
 未奈がそれを拾う。
 ——鍵だ。
 御者の男は馬車をUターンさせると、すごいいきおいで帰っていく。
「……どういうこと?」
 未奈が首をかしげる。
「その鍵で、この檻が開けられるんだよ」
 春馬は鉄格子から手を出して、鍵穴をさがす。
「ここに鍵穴がある!」
「まかせて」
 未奈が鉄格子から手を出して、鍵穴に鍵を差しこんで回す。
 カシャと音がして、鉄格子のドアが開いた。
「やったわ。これでやっと、出られるわね」
 2人は、あたりを警戒しながら檻から出る。
   ウオォォォォ……
 森から、獣の遠吠えが聞こえてくる。
 木々のうしろから、数匹のオオカミがあらわれる。
「未奈、急ごう!」
 春馬は未奈の手をとると、建物へ駆けていく。

 

飛行機→船→馬車を経由して、はるばる連れてこられた『奈落』。
檻から出られたのはいいけれど、うしろには獣が迫っている!?
春馬と未奈は乗りきれるのか!?
(次回更新は12月8日[金]、楽しみにしていてね!)



『絶体絶命ゲーム14』は 12月13日発売予定!


作:藤 ダリオ 絵:さいね

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322555

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