好評発売中のゲーム『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』の小説版が、2026年3月11日、角川つばさ文庫『星のカービィ ディスカバリー 流星のスターリーワールド編』となって、ついに登場!
平和になった新世界に、またまた大事件!? 角川つばさ文庫から発売中の『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』『星のカービィ ディスカバリー 絶島の夢をうちくだけ!編』に続く、カービィの新しい冒険が始まるよ!!
◆第1回
ナゾのうずにのみこまれ、たどりついた新世界でエフィリンと出会い、大バトルのすえに新世界のピンチを救ったカービィたち。
平和になった新世界に、またまた大事件が起ころうとしていて……!?
新世界での新しい冒険が始まります!
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プロローグ
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まっくらで、冷たい、はるかな宇宙の果て。
闇の中でただひとり、ウトウトと眠っていた侵略種が、ふと目をあけた。
どこか別の次元、別の宇宙で、かすかな波動が生じたのを感じ取ったのだ。
何が起きたのか、彼は、すぐさま理解した。
「……やつめ。しくじったのか」
彼の弟、一族の中でも年若いフェクト・エフィリスが、たくらみに失敗し、とらえられたのだ。
フェクト・エフィリスはカプセルに閉じこめられ、身動きもできなくなっている。怒りと絶望の波動を、全宇宙にまき散らしている。
そうと知っても、彼は何も感じなかった。
ただ、いよいよ旅立ちの時だと思っただけだった。
一族の者が失敗したなら、自分が行かなければならない。
ねらった星は、かならず滅ぼす。それが、彼ら侵略種の本能だから。
それに、もう一つ、行こうと思う理由があった。
フェクト・エフィリスが向かった星には、歌がある。遠い昔からひびき続けている、たくさんの歌が。
歌は、ふしぎなものだ。ただの音なのに、なぜか、気にかかる。
彼は旅立った。闇の底から、歌に満ちた星へ。
とちゅうで、何かがまとわりついてきた。
ふしぎな音を発する、精霊たちだった。
「うっとうしい」
無視しようとした。けれど、精霊たちは、思いのほか、しつこかった。
いつのまにか、精霊たちは彼の体にびっしり取りついて、結晶化していた。
侵略種の存在に気づき、食い止めようとしているのだ。結晶の力を使って。
「封印しようというのか? この、われを?」
ちっぽけな精霊たちのたくらみなど、彼は、気にもとめなかった。
なぜなら、彼には、わかっていたから。
いずれ、自分がこの精霊どもを食らい、ますます力を得ることを。
彼ら侵略種には、その能力がある。
彼の旅は続いた。
侵略。
その、ただ一つの目的に向かって。
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うれしい再会
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プププランドは、きょうもポカポカ、いい天気。
こんな日は、絶好のおやつ日和だ。コックカワサキの店の前に、「新作クッキー、本日みんなにプレゼント!」という、のぼりが立っている。
そして、店の前には、長蛇の列。
「うほぉぉ、楽しみだぜ、新作クッキー!」
「コックカワサキのお店は、次々に新作メニューを出してくれるから、うれしいよね」
「どんなクッキーなんだろうな? 腹が鳴るぜ~!」
みんな興奮して、ワイワイガヤガヤ。
店から出てきたコックカワサキは、集まったお客たちを見回して、笑顔で言った。
「みんな、来てくれてありがとう。今日の新作クッキーは、ナッツをたっぷり使って、特製はちみつを練りこんだ自信作なんだ。食べたら、感想を聞かせてね」
わあっと、歓声が上がった。
ひときわ大きな声で叫んだのは、カービィ。
「早く、早く食べたいよー! 待ちきれないよー!」
デデデ大王も、舌なめずりをして言った。
「激務に追われる偉大なる支配者たるオレ様が、夜明け前から、こうやって並んでやってるんだぞ。ありがたく思え、コックカワサキ!」
バンダナワドルディも、にこにこして言った。
「お城で待ってるなかまたちにも、持って行ってあげたいんだ。たっぷり、ほしいな」
コックカワサキは、笑顔でうなずいた。
「もちろん、いいよ。ありがとうね、みんな。メタナイトさんまで来てくれて、うれしいよ」
デデデ大王のかげに、ひっそりとかくれるように立っていたメタナイトは、静かに言った。
「私は別に、クッキーのためにプププランドに来たわけではない。たまたま、立ち寄ってみただけだ」
「ふーん。とにかく、ありがとう。それじゃ、今から、新作クッキーをくばるよ」
コックカワサキが、クッキーを詰めこんだ紙袋を手にしたとき。
大きな声がひびいた。
「大王さまー! バンダナせんぱーい! おひさしぶりです!」
「カービィ! 会いたかったー!」
みんな、おどろいて、声のした方向を見た。
息を切らせて走ってくるのは、ワドルディだった。ふわふわと宙を飛んでくるのは、エフィリンだ。
カービィが声を上げた。
「わわわ!? エフィリン!? それに……」
バンダナワドルディが叫んだ。
「君は、ドルディーズの……ギターくんだね!?」
駆けつけてきたワドルディは、顔を赤くして、うなずいた。
「そうです、せんぱい。ぼく、ギターワドルディです!」
デデデ大王が、目をパチパチさせて言った。
「ドルディーズだと? きさま、新世界の音楽が気に入ったと言って、あっちに残ったはずではないか。いったい、どうしたのだ?」
「はい! それが……」
ギターワドルディは、両手を大きく振って、呼吸をととのえた。
「ぼく、とても大事な用事があって、久しぶりに、こちらに戻ってきたんです」
ギターワドルディの言葉を聞いて、デデデ大王は顔をしかめた。
「用事だと? まさか、また、やっかいな事件が起きたんじゃないだろうな? オレ様は、めんどうくさいことにかかわるのは、ごめんだぞ」
「そうじゃありません、大王様。ぼくの用事は……これです!」
ギターワドルディは、一台のラジオを取り出した。
「ラジオ……?」
「はい。ぼくらドルディーズは、このラジオから流れてくるすてきな音楽に感動して、新世界に残ろうって決めたんです。ぼくらにとって、すごくたいせつなラジオなんですけど……こわれちゃったんです。たたいても、振り回しても、直らないんです」
エフィリンが付け加えた。
「きっと、どうぐ屋くんなら、直せると思うんだ。だから、修理のお願いに来たんだよ」
「フン! なんだ。そんなことか」
デデデ大王は、肩をすくめた。
「どうぐ屋なら、ラジオの修理ぐらい、朝メシ前だろう。クッキーを食ってる間に、直せるわい。さあ、城に帰るぞ」
「ありがとうございます、大王様!」
ギターワドルディは、ぺこりと頭を下げた。
エフィリンが、大きな耳をパタパタさせながら言った。
「プププランドに来た目的は、ラジオの修理だけど……それが終わったら、せっかくだから、みんな、新世界に遊びに来ない?」
カービィが、きょとんとして言った。
「遊びに?」
「うん! ワドルディたちが、デデデ大王やバンダナくんやカービィに、会いたがってるから。もちろん、レオンやキャロルたちもね」
カービィは、うれしくなって、飛び上がった。
「うわあ! ぼくも、会いたいよ! みんな、元気なの?」
「うん! カービィたちが帰っちゃって、さびしかったけど、みんなでがんばって、こわれた家を直したり、花だんのお花のお世話をしたりしてるんだよ。遊びに来てくれたら、うれしいな」
「わあい、行く行く! 行くよー!」
カービィは、大よろこび。
デデデ大王も、ニヤリとして言った。
「ワドルディどもは、オレ様がいないと、さびしくてたまらんのだな。激務に追われる偉大なる支配者たるオレ様だが、部下の願いなら、しかたない。行ってやってもいいぞ」
バンダナワドルディも、目をキラキラさせた。
「ぼくも、みんなに会いたいよ。久しぶりだもんね。楽しみだなあ」
と、そのとき。
カービィが、気づいて言った。
「……あれ? メタナイト? なんで帰るの?」
メタナイトは、新作クッキーの大袋をかかえて、静かに立ち去ろうとしていた。
彼は、振り向きもせずに言った。
「私には、かかわりのないことだ。これにて、失礼する」
「えー!? だめだよー! メタナイトも、いっしょに行こうよ!」
「ごめんこうむる」
すたすたと歩き出したメタナイトに、エフィリンが声をかけた。
「メタナイトさんが新世界に来てくれたら、みんな、よろこぶよ。来てほしいな」
「ことわる」
「……そっか……メタナイトさんが作ったコロシアムを、また、盛り上げてほしかったんだけど……」
メタナイトはピタッと足を止め、振り返った。
エフィリンは、耳をしょんぼりさせて、言った。
「あのコロシアム、カオス・エフィリスとの戦いでこわれちゃったけど、みんなで建て直したんだ。だけど、それっきり……さびれちゃってて……」
「……何?」
「新世界は平和だからね。だれも、バトルに興味がないんだ。今では、コロシアムは、ガルルフィたちの遊び場になってるよ」
「聞き捨てならん」
メタナイトは、真剣な声で言った。
「そういう事情なら、私も行こう。あのコロシアムは、大事な場所だ。放置しておくわけにはいかん」
ギターワドルディが、声をはずませて言った。
「やったぁ、みんなで新世界旅行ですね! でも、まずは、ラジオの修理ですよ! お城に行きましょう」
「うん! デデデ城で、おやつタイムだー!」
カービィが、まっさきに駆け出した。
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ラジオを受け取ったどうぐ屋ワドルディは、笑顔で言った。
「ああ、このラジオだね。大丈夫。すぐに直せるよ。ちょっと待っててね」
どうぐ屋ワドルディは、さっそく、部屋の片すみでラジオを分解し始めた。
バンダナワドルディが、ギターワドルディにたずねた。
「あっちに残ったみんなのこと、気にかかっていたんだよ。つりぼりくんや、タマコロくん……みんな、元気にしてるんだね?」
「はい、もちろん! あ……ひとりだけ、そのぉ……行方不明の子がいるんですけど」
ギターワドルディは、冗談っぽく言って、笑おうとした。
だが、たちまちデデデ大王が、血相を変えてどなった。
「行方不明だと――!? 何があったんだ!?」
「あ、いいえ、大王様……」
「ばかもの! それを早く言わんか! ラジオなんかより、よほど重大だろうが! こうしちゃおれん……」
「あ、あ、ちがうんです、大王様!」
今にも飛び出して行きそうなデデデ大王を、ギターワドルディは、あわてて止めた。
エフィリンが、おかしそうに笑いながら言った。
「行方不明なんて言うからだよ、ギターくん。そうじゃないんだ。天もんくんは、旅に出てるだけだよ」
「天もんくん……? そんなヤツ、いたか?」
首をかしげたデデデ大王に、エフィリンが説明した。
「星や宇宙に興味があるワドルディなんだ。今は、新世界のあちこちの遺跡に残された、星に関する伝説を調べるために旅をしてるんだよ。まるで天もん学者みたいだから、ぼくら、そう呼ぶことにしたんだ」
ギターワドルディが続けた。
「天もんくんは、しょっちゅう移動してるので、どこにいるのかわからないんです。でも、元気そうです。ときどき、旅先から手紙をくれます。クロッカーのゆうびん屋さんが、届けてくれるんです」
「な……なんだ。そういうことか」
デデデ大王はホッと息をつき、照れかくしのように、ギターワドルディをどなりつけた。
「だったら、最初からそう説明しろ! まったく、人騒がせなヤツだわい」
「ごめんなさい、ごめんなさい、大王様」
ギターワドルディは、ひらあやまり。
バンダナワドルディが、とりなすように言った。
「旅ができるぐらい、新世界が平和になったっていうことですよね。本当によかった!」
エフィリンが、耳をパタパタさせて言った。
「そうなんだ。前だったら、ちょっと町を出るのもこわかったもんね。みんなのおかげで、安心して旅もできるようになったんだよ」
そこへ、どうぐ屋ワドルディの声がひびいた。
「できたー! 修理完了!」
「え? もう?」
ギターワドルディが、おどろいて振り向いた。
どうぐ屋ワドルディは得意そうに、ラジオを差し出した。
「かんたんな修理だったよ。これで、電波を受信できるはずだ」
「わあ、さすが! ありがとう、どうぐ屋くん!」
「と言っても、このあたりにはラジオ局がないから、確かめられないけどね。今は何も聞こえないけど、新世界に戻れば、電波が入るよ」
「そうだね。プププランドにも、ラジオ局があるといいのに……」
ギターワドルディは、受け取ったラジオのスイッチを入れ、何気なくダイヤルを回してみた。
ラジオから聞こえてくるのは、「ガー、ガー、ガガガ……」という雑音だけだった……が。
「……あれ? 何か、聞こえるよ?」
ギターワドルディは目を見開いて、ラジオに頭をくっつけた。
雑音にまじって、とぎれとぎれに、音楽が聞こえてくる。
ギターワドルディは、おどろいて叫んだ。
「これは……ぼくらがいつもラジオで聞いてる曲だ! 『TWINKLING STAR SHOWERS(トゥインクリング スター シャワーズ)』だよ!」
「え?」
カービィたちはおどろいて、ラジオに聞き入った。
聞こえてくるのは、のびやかな歌声と美しいメロディだった。
ギターワドルディは、うれしそうに言った。
「いい曲でしょ? 歌詞は、新世界語だから、ぼくらにはわからなかったけど、こないだ天もんくんが帰ってきたときに、教えてもらったんだよ。流れ星とか、未来のことを歌った、とてもロマンチックな歌なんだって!」
バンダナワドルディが、ふしぎそうに言った。
「ってことは、この曲は、新世界から流れてきてるんだよね? 新世界の電波が、ここまで届くのかな?」
エフィリンが、ハッとして言った。
「プププランドに来るために、ボクが二つの世界をつなげたからかも! それで、新世界のラジオ番組が聞こえてくるんじゃない?」
メタナイトが、じっと考えこみながら言った。
「だとしても、ここと新世界は、そもそも別の宇宙に存在しているのだ。なのに電波を受信できるということは……電波を発信している装置も、このラジオも、おそるべき技術によって作られているということ……か?」
ラジオの雑音がだんだんひどくなり、まもなく、音楽はまったく聞こえなくなってしまった。
カービィが言った。
「よく聞こえなかったけど、いい曲だったね。ぼく、ウキウキしちゃった!」
ギターワドルディが、声をはずませた。
「でしょう? すごく、いい曲なんです。ぼくら、この曲をいっしょうけんめい練習して、演奏できるようになったんですよ! 新世界には、他にも、すてきな音楽がたくさんあるんです!」
「わあ、聞きたい、聞きたい! 早く行こうよ!」
カービィは元気よく飛びはねた。
エフィリンが言った。
「それじゃ、みんな、ボクについてきて。はぐれないようにね!」
言うが早いか、エフィリンは耳をパタパタさせて、大きな窓から空へと飛び出した。
エフィリンとギターくんが持ってきたラジオと、ラジオから流れてきたすてきな曲がきっかけで、ひさしぶりに新世界に行くことになったカービィたち。新世界に残ったワドルディやアニマルたちは、どうしているでしょうか。
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