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【先行ためし読み!】『ふたごチャレンジ!』12巻 第1回 走れ、未来にむかっ……て!?


挑戦したいんだ。自分の好きなことを「好き」って言うために。言いつづけるために。
いつもチャレンジしつづけるふたごのあかねとかえで。今回は、めっちゃ楽しい林間学校編!
なんたって、緑田小のみんな――鈴華ちゃんや凜ちゃんやさわや莉々乃ちゃん、藤司や吉良くんや真壁のほかに
あざみ小の子たち――そう、太陽もいっしょに行くんだから‼
いつもとはちがう経験がいっぱい、いつもなら見られない表情もいっぱい‼ トキメキもい――――っぱい‼‼なスペシャルな1冊。
先取りでためし読み、どうぞ‼ 読むときっと元気になっちゃうよ。(公開期限:2026年11月30日(月)23:59まで)





 

1 走れ、未来にむかっ……て!?

「よしっ、犯行現場はもうすぐだっ!」

 真っ先にパトカーから降りて、地面をふみしめた、うち――双葉(ふたば)あかね。


 ダッ!

 と駆けだすうちのあとを、


「あかね、待ってよっ」

 うちとおんなじ顔のふたごのきょうだい、かえでが、あわてて追いかける。


「あかねちゃん、あいかわらず速いねっ」

「私たちも急がなきゃ!」

 クラスメイトの凜ちゃん、鈴華ちゃんも、さらにつづく。


 現場であるアクセサリーショップにつくと、お店の前で、おろおろしている女の人を見つけた。

「通報してくださった方ですかっ?」

「はい。この店の店主です。きてくれてありがとうございます、警察官さん」

 店主さんは、ほっとした顔をして、うなずく。

 うちらが身につけている制服を見て、すぐにわかったみたい。

「ちょっと店を離れたスキに、売り物のアクセサリーをいくつか盗まれてしまったようで……」


「お店を離れたのは、いつごろでしたか?」

 鈴華ちゃんが、店主さんにキビキビとたずねる。

 店主さんは、記憶をたどるように視線を上にむけながら、

「たしか、15時から、16時の間です。ご近所さんと店の外で話しこんでいて、きっとその間に……」


「えっと、犯人に心当たりは?」と、かえで。

「いえ、それがまったく……」

 店主さんは、力なく首を横にふる。


「だいじょうぶっ、犯人と、盗まれたアクセサリーは、わたしたちが見つけますっ」

 はげますように言う凜ちゃんの言葉に、

「おねがいします、警察官さん……!」

 店主さんは、けん命な表情でそう訴える。


 うちら4人は、目を見合わせてから、

「「「「まかせてくださいっ」」」」

 と、声をそろえた。



「それじゃあ、私と凜ちゃんは、防犯カメラの映像を確認してくるわ」

「了解! じゃあ、うちとかえでは、ききこみをするね!」

 うなずきあうと、2人は、店主さんといっしょに、お店の中へ入っていく。


「っし、お店の近所の人から、話をきこー!」

「うんっ。だれかいるといいけど……」

 お店を離れて、うちは右を、かえでは左をきょろきょろ。

 あっ、あの人、こっちにむかって歩いてくる。

 ききこみのチャンスだっ。

「「すみません、警察ですがっ!」」

 うちとかえでが、同時に声をかけると。

「おお!? ははっ、息ピッタリだねえ」

 おどろいたように、くすっと笑われて、なんだかこそばゆい。

 クラスメイトは、うちらのシンクロに、すっかりなれてるから、ひさしぶりな反応だ。


「あの、このあたりで、怪しい人は見かけませんでしたか?」

「うーん……そうだねえ」

「それか、最近、いつもとは、ちがったことがあったとか」

「ああ、そういえば……1週間前くらいから、このあたりで、黒い怪しげな車が停まっているのを何度か見たなあ」


「「!」」


 おおっ、これは大事な目撃証言なんじゃない?

 そのあとも、何人かに、ききこみしていくと。

 ご近所さんには、店主さんが井戸端会議でちょくちょくお店を離れるってこと、よく知られているみたいだった。

 きっと、しばらく、お店の様子を観察して、忍びこみやすい時間を把握したんだろう。


 うちらが、お店にもどって、中に入ると、

「あかねちゃん、かえでちゃん! お店の防犯カメラの映像を見てみたんだけどねっ」

 鈴華ちゃんに手招きされて、うちとかえでがそばへいくと。


「これ見て。推定犯行時刻に、黒い車に乗りこんで、走り去っていく人が映ってたの……!」

 凜ちゃんが、一時停止した映像を指さして言う。

「わ、ホントだ! うちらのききこみでもね、1週間前くらいから黒い怪しげな車を見かけてたって情報があったよ!」

「その車に乗っていった人が、犯人かもしれないね……!」


 うちとかえでの言葉に、鈴華ちゃんはうなずいて、

「店主さん、この車や人に、見覚えはありますか?」

 と、店主さんにきいてみる。

「うーん……よく見ると……前に働いてもらっていたバイトさんに似ているかも……?」


「「「「!」」」」

 じゃあ、その人が犯人……っ!?

 ううん。それだけで、犯人だって決めつけるわけにはいかないよね。

 でも、ここからどう捜査をすすめればいいのか……。

 しばらく考えこんだ、うちらだったけど。

 うちら、警察が調べられる情報は、もっとたくさんあったんだ!

 犯行現場に残された指紋や、足跡、髪の毛などね。

 鑑識さんの力を借りて、じりじりと犯人の正体をつかんでいく。

 証拠がすべてそろって、ついに――


「13時25分、不法侵入および窃盗の疑いで、あなたを逮捕するっ!」

 うちは、高らかに宣言して、手錠を犯人の腕にかける――



「はーい終了です! 警察官の体験、おつかれさまでした~!」

 スタッフさんのやわらかい声に、ふーっとうちらの体の力が抜ける。


「チーム緑田小のみなさんは、犯人逮捕まで、たどりつきましたね! おみごとでしたっ」

「そうそう、クリアするの、けっこうむずかしいんだよ。おめでとう!」

 スタッフさんたちにほめられて、うちらは「やったねっ」と、ハイタッチ。


 ――え? いったい、なにごとかって?

 ふふふ。うちら4人は、【きっずえんす】っていう、職業体験施設に遊びにきてるんだ!


「はー、警察官体験、楽しかったあ!」

 うちが、うーんと伸びをしながら言うと、凜ちゃんは胸をなでおろして、

「ねっ。犯人をつかまえられるか、ドキドキしたなあ」

 鈴華ちゃんとかえでも、うなずいて、

「ええ、制限時間もあったしね」

「捜査が止まっちゃったとき、『鑑識さんにききにいこうっ』って気づいたかえで、ナイスだったよねー!」

 そう、かえでのひらめきのおかげで、みごと、犯人逮捕にたどりついたんだ!


「えへへ。でも、こんなにいろいろな経験が一度にできる場所があるなんて、知らなかったよ。凜ちゃん、誘ってくれてありがとうね」

 かえでがお礼を言うと、凜ちゃんは、はにかみながらにこっとして、

「こちらこそ、みんなといっしょにこられて、すごくうれしいっ。みんな、今日体験した中で、どれが一番楽しかった?」

「うちは、さっきの『警察官』かな!」

「ぼくは『編集者』かなあ」

「私は『パイロット』かしら」

「わあ、みんなバラバラだっ。でも、なんかしっくりくるかも」

 凜ちゃんが、興味深そうに、うちらの顔を見まわす。

「うち、ちっちゃいころの夢が『ヒーロー』だったんだよね。戦隊ものが大好きでさ。警察官って、町の安心安全を守るヒーローみたいじゃないっ?」

「そうね、戦隊ヒーローみたいな超パワーはないけど、みんなを守るっていうのは同じよね」

「わかるなあ。わたしの夢は『魔法少女』だったよ~」

 と、凜ちゃん。

「ぼ、ぼくも……」

 かえでもちょっとはずかしそうに言う。

「私の夢は『幼稚園の先生』だったわ。とっても大好きな先生がいてね」

 鈴華ちゃんが、なつかしそうに話したあと、

「……今は、とくに決まってないんだけどね」

 とつづける。


「今の、将来の夢……かあ」

 自分の口が、するっと動いて、言葉になった。


 ――――将来の夢。

 学校の自己紹介カードとかにも、よく欄があるけど。

 そういうときは、それこそ「警察官」って書いたり、その場のノリで「動画配信者」って書いたりしたこともある。

 でも、本当に真剣に考えてみたことは、これまでなかったかも。


「うーん…………うちの昔の夢を、そのまま現実にするなら、『ヒーローショーのスーツアクター』とか、なのかなあ?」

「スーツアクター!! ……って、ヒーロー役で、ショーをする人のこと?」

 目を見ひらいて言う鈴華ちゃんに、うちはうなずく。

「そう! ちっちゃいころ、よくつれていってもらったんだよねー。すっごくカッコいいの!」

「そうかあ、まさに戦隊ヒーローになりきれるお仕事だもんね。その発想はなかったなあ」

「じゃあ、『声優』さんとかもアリなんじゃない?」

 ひらめいたように言うかえでに、うちは目を丸くする。

「声優!? そうかあ、ヒーローの声をやるのかあ。うちは、そっちの発想がなかったなあ!」

「でも、あかねちゃん運動神経バツグンだし、スーツアクターのほうがピッタリじゃない?」

「たしかにっ」

「カッコよく怪人をたおすヒーローのあかねちゃん、見てみたいーっ」

 と、3人は、わいわい話してる。


 そうだなあ……うちは。

「……まだ、なんとなくだけど。うち、だれかを助けられるような仕事がしたいなあって」

「ステキね。助けるっていったら……『警察官』とか、『お医者さん』とか、『消防士』とか?」

 鈴華ちゃんが、考えながら、いくつかのお仕事を挙げる。

「うちも、前はそう思ってた。でも、緑田小に転校してから、『助ける』とか『救う』にも、いろんな形があるって気づいたんだ」

 うちの言葉に、かえでがハッとした顔になる。

「それって、たとえば――保健室の、辻堂先生とか……」

「そう!!」

 かえでの言葉に、うちは大きくうなずく。

 うちらの「ありのまま」を大事にしてくれる辻堂先生には、すっごく助けられてる。

 先生は「緑田小のヒーロー」だって、言えるんじゃないかな?

「ほかにもさ、うちとかえでを『うちららしい』姿にしてくれる、美容師さんや服屋さんとかにも、助けられてるよね」

 うちの言葉をきいて、凜ちゃんも、

「あっ、この間、みんなでサイクリングに出かけたときに、雨宿りさせてくれた、喫茶店のご夫婦も?」

 と、きいてくれる。

「そうそう! みんなでこまっているときに、やさしくむかえ入れてくれて、すっごく助かったもん!」

 またあの喫茶店にいって、お礼が言いたいなあ(くわしくは『おもしろい話、集めました。C』を読んでね!)。


 そう、そんなふうに、いろんな人に出会ったおかげで、うちは気づけたんだ。

 相手によりそいたい気持ちがあれば、どんなお仕事に就いたって、救えるだれかがいるって。

 あとは、うちが、どんなふうに、どんな人に、よりそいたいのか、なのかな……?


「カッコいいスーツアクターにはあこがれるけど。う~~ん、うちの夢は、まだわかんないやっ。かえでは?」

「えっ! ぼくは…………ううん、ぼくもまだわからないや」

「そういえば、凜ちゃんの将来の夢は、たしか――」

 と、鈴華ちゃんが言いかけたとき、凜ちゃんが、スマホの画面を見て、声を上げた。

「ねえっ、今なら、すぐに消防士の体験ができるみたいだよっ」

「わっ、うちやってみたい!」

「私も!」

 鈴華ちゃんも、うちにつづいて声をあげる。対して、

「ぼくは、ちょっと疲れたから、お休みしてようかな」

「わたしも、今回は休憩したいな」

 と、かえでと凜ちゃん。

 そうだよね。お昼ごはんの時間以外、ずーっといろんな職業を体験してたもん。

「それじゃあ、ここから別行動しましょう。こっちの体験が終わったら、連絡するわね!」

 手をふりあって、うちらは分かれた。


第2回につづく(8月24日公開予定)




書誌情報


作: 七都 にい 絵: しめ子

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324092

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