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【期間限定】『地獄たんてい織田信長』スペシャルれんさい 第9回 校長先生の大事なお話


◆第9回
大注目の超ハイテンションコメディ『地獄たんてい織田信長』1巻のスペシャルれんさい中!!
校長室に呼ばれた情也と果報。信長たちとどんなつながりが・・・?
もう読んでいるひとも、もう一度読んでみたり、お気に入りのシーンをおともだちに紹介したりして、みんなで楽しもう!

2022年2月28日までの期間限定公開です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

九 校長先生の大事なお話

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 あっという間にお昼休み。

 

 ぼくたちは給食を食べ終わると、遊びのさそいを断りながら校長室にむかったけど……。

 

「ねえ」

 

 廊下をあるきつつ、ぼくはとなりをあるく果報に声をかけた。

 

「かくにんなんだけど、校長室によばれたのって、ぼくと果報だけだよね?」

 

 問いかけると、彼女はコクンとうなずく。

 

 それを見て、ぼくは自分たちのうしろをチラッとふりかえった。

 

 見まちがいだと思いたかったけど、そこにやっぱりいる。

 

 ふつうに、堂々と、信長と秀吉が当たり前だろって感じでついてきているのだ。

 

 昼休みで廊下(ろうか)はこんでいたけど、二人がいるおかげでぼくらの前は道が開かれていく。

 

 まるでモーゼが海を割る、あの神話みたい。

 

「……なんであの二人、『当然』って顔して、いっしょにきてるんだろう。注目の的になって、落ちつかないんだけど」

 

「んー」

 

 果報は小首をかしげてから、ニコッと笑った。

 

「ま、いいじゃない。気にしすぎだよ。肖像画とサルがあるいてきてるだけじゃん」

 

「……果報は少し気にした方がいいよ」

 

 

 

***

 

 

 

 果報のおおらかさにつっこんでいると、やがてぼくらは校長室へと到着する。

 

「失礼します」

 

 コンコンと二回ノックしてからはいった校長室は、そう広くない。

 

 教室の半分くらいの面積で、壁側には本や資料がぎっしり。

 

 円間校長の体が大きいからよけいにせまく感じてしまう。

 

「あの、すいません、校長先生。うしろの二人もついてきちゃって……」

 

 ぼくが背後を指してあやまると、

 

「ああ、いいんだ。まあ、こっちにおいで」

 

 黒いデスクのむこうの校長はほほえんで、こちらにむかって手まねきした。

 

 おうじてデスクの前までいくと、また当たり前についてくる肖像画とサル。

 

 本当にこの二人、なにしにきたんだろう?

 

「えっとね、横山さんと川島さん。怪人Xの件はごくろうだったね。お礼をいうよ」

 

「いえいえ。そんな、校長先生にお礼をいわれることじゃ……」

 

 ちょっと照れながら『もっといって』と思っていると、

 

「それがね、これは、わたしからお礼をいわなきゃいけないんだ」

 

 校長先生は真面目な表情になった。ぼくは「え?」って顔になってしまう。

 

「校長先生から……? どうしてなんですか?」

 

「今日よんだのは、それなんだよね。なぜなら怪人たちをとらえ地獄に送りかえすようにと、うしろの二人に依頼したのはわたしなんだよ」

 

「あ、校長先生だったんだ」

 

 それで校長先生から「ありがとう」か。納得がいった。

 

 納得がいったけど……。

 

「え、ちょっと待って」

 

 ぼくは思いだす。たしか信長と秀吉はいっていた。

 

 自分たちは閻魔大王の依頼で、怪人を追っていると。

 

 と、いうことは……。

 

 ぼくはある恐ろしい可能性に気がつき、おそるおそる、うしろにいる二人を見た。

 

 するとそこにいる肖像画はくちびるをゆがませ、

 

「やっと気がついたか。うつけ者め」

 

 と、すごいドヤ顔らしき表情でいった。

 

「え、待ってよ、信長さん。じゃあこの校長先生が、あの、閻魔大王?」

 

「そういうことじゃ」

 

 信長はこともなげに口にした。

 

「ウソでしょ……?」

 

 ぼくはかくにんするように、校長に目をやった。

 

 すると彼はあいかわらず大真面目な顔で、ゆっくりと首を前にしてうなずく。

 

「そんな……」

 

 ショックをうけるぼく。

 

「そんな……」

 

 果報はペンと手帳をとりだして、サインをねだろうとする。こんなときまでブレない。

 

「動揺してしまうのは、わかる。ちょっと理由を説明させてくれないか」

 

 円間校長はそういって、重そうにその口を開いた。

 

 それをまとめると、つまりこういうことだ。

 

 意外にも、閻魔さまは地獄が好きではないらしい。

 

 罰なので仕方がないとはいえ、魂に苦痛をあたえなければいけないからだ。

 

 だから閻魔さまは地獄にくる魂を、少しでもへらしたい。

 

 そこで彼は現世に学校を開いたのだ。

 

 ここできちんとした教育をすれば、人間の悪いこころを正しくできるかもしれない。

 

 なら現世も平和になるし、地獄にくる魂もちょっとはへるはずだ、と。

 

 

 

「だけどね」

 

 ここで校長先生は「ふう」と、息をついた。

 

「やはり地獄は地獄。責め苦をイヤがる魂がいる。それが脱走した三つの魂だよ」

 

「責め苦をイヤがる? まあ当たり前ですけど、脱走ってどういう……」

 

「うん。わたしの便利がいいようにね、地獄と現世をつなぐトンネルを緑地公園につくったんだけどね。バレてしまったんだよね」

 

「そんなとこにつくるから」

 

 だから怪人の目撃証言が、あのあたりに集中してたのか。

 

「後悔してるよ。だから地獄の魂が逃げちゃって……」

 

「そこからはワシが話そう」

 

 ここでうしろから、信長が会話にはいってきた。

 

「理屈はかんたんだ。閻魔は地獄では無敵の存在。しかしこの世のバランスをくずさぬよう、現世では自ら魔力をふうじておる。脱獄した魂たちは現世で、そのスキをねらっておるのだ」

 

「じゃあ、魂が地獄から脱走したのは校長先生を倒すため?」

 

「そうだ。だからこそワシらは学校に潜入(せんにゅう)した。閻魔を守るためにの」

 

「な、なるほど……」

 

 正気を失っているからだと思っていた……。

 

「あやつらはおそらく、閻魔を倒して地獄を天国にでもするつもりだろう。しかし罰(ばつ)をうけ自分を改(あらた)める場所がないと、悪さを働いた魂はだらくを続ける。ワシらはそれを見すごすわけにはいかんのだ」

 

 信長は腕をくんでいった。

 

 ぼくも真剣に聞きたいけど、肖像画な見た目のせいで緊張感がまるでない。

 

 でも、校長先生の言葉だったら、本当なんだろう。

 

 いきなりあらわれた肖像画といつもおだやかな校長先生じゃ、話の信用度がちがう。

 

「まあ、そういうわけでね」

 

 校長先生はデスクをトントンと指で弾いた。

 

「昨日のことは信長さんに聞いてるんだよ。二人とも、地獄探偵の助手になったんだって?」

 

「いや、なったというか、そういうのはびみょうな感じで……」

 

 ぼくは目をそらしてごまかした。

 

 本心では『ちがう』といいたいけど、それをいったらなにをされるかわからない。

 

「信長さんはめったに助手をやとわないからねえ。名誉なことだよ」

 

「はあ……」

 

 サルが助手をしているのに?

 

「それにニュースサイトの二人が助手なら、心強いねえ。鬼に金棒だよ。なんたって表彰された記者さんだ。いろいろと情報を集められるだろう」

 

「うむ。今川義元を発見できたのも、ワシらが情也たちをつけまわしていたからだしのう。こやつらなら怪人の正体に迫るだろうとにらんでおった」

 

 信長が悪そうな顔をしていった。

 

 あのときタイミングよくあらわれたのは、最初からつけられていたからか。

 

「ま、横山さんに川島さん。せっかくの機会だし、がんばってよ、二人とも」

 

「そんな」

 

「なんとかなるって。あ、あとこのことはほかの人にはいわないでね。ははは」

 

 校長先生は無責任なことをいった。

 

 だけどここで助手なんて正式にまかされたら、たまらない。

 

 冗談だと思っていたのに、現実になってしまう。

 

 こっちがしたいのは、あくまで報道なのだ。

 

「いや、なんとかなるっていっても、ちょっと待って、校長先生。ぼくらは……」

 

 と、いいかけたところで、

 

「まかせてください!」

 

 と、自分の胸をドンとたたいたのは果報。

 

「な、な、な、なにいってんの果報。こんなの引きうけたら……」

 

「だっておもしろそうじゃん!」

 

 果報はこっちをむいて、目をキラキラさせた。

 

 ああ、これは好奇心が暴走しているときの目だ。

 

 ぼくがやらないっていったら、たぶん一人でもやる。

 

 そういう性格なんだ、果報は。

 

 そしてぼくは、それを放置できるほど冷たくできてない……。

 

「わかったよ、わかりました。でも、あくまで記者としての共同捜査だからね」

 

「これできまりじゃな」

 

 秀吉はスルスルとぼくの体をのぼってきて、耳元でそういった。

 

 このおサルと自分が同じ立場になったというのが、信じられなかった。



正式に地獄探偵の助手に任命された情也たち! 怪人Xは見つけられるのか・・・・・・!?
第10回につづくよ!(1月16日 午前7時 公開予定)

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