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【期間限定】『地獄たんてい織田信長』スペシャルれんさい 第7回 転校生は肖像画!?


◆第7回
大注目の超ハイテンションコメディ『地獄たんてい織田信長』1巻のスペシャルれんさい中!!
ぼくらの教室に転校してきたのは織田信長と豊臣秀吉! なんてこった!
もう読んでいるひとも、もう一度読んでみたり、お気に入りのシーンをおともだちに紹介したりして、みんなで楽しもう!

2022年2月28日までの期間限定公開です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

七 転校生は肖像画!?

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 いきなりあらわれた信長と秀吉。

 

 いったい教室でなにが起こったんだろう。

 

 そしてなにが起ころうとしているのか。

 

 それらをどう考えても、頭の中がまとまらない。

 

 口が半開きで、ぼうぜんとしたまま着席すると、

 

「なんなんだよ、情也、あれ。見るからにふつうじゃないけど」

 

 クラスメイトたちが、みんなでぼくのまわりにわっと輪をつくる。

 

「いやあ、なにかといわれても……。逆にこっちが聞きたいっていうか」

 

「わかってないことないだろ。情也、あいさつされてたじゃん」

 

「昨日たまたまあって、変に気にいられたんだよ。誰かなんて知らないし。なれなれしいから、こっちは迷惑してんの」

 

 ぼくは反論するようにこたえた。

 

 仲間だと思われたくないし、じっさいにあの二人についてくわしく知らない。

 

 たとえ知っていても、まだ話していい段階ではないと思う。

 

 だって彼らの話を完全に信じたわけじゃないけど、捜査協力者であるのは本当だ。

 

 なら真実が明らかになるまで、都合の悪いことはだまっておかなきゃ。

 

「でも、情也」

 

 しかし説明ナシでは、クラスメイトは引き下がらない。

 

「見たらわかるだろ? 絶対にあの二人、あやしいって。のこる二人の怪人Xって、あれじゃないの?」

 

「そうだよ。尾行とかしてみたら? 協力する」

 

 みんなが口々に声にする。

 

 その意見はもっともで、でもこっちにも都合があるし……。と、考えていたら、

 

「席につけよー」

 

 助けにはいるように、担任の宮本(みやもと)先生があらわれた。

 

 するとクモの子をちらすようにみんな自分の席にすわるけど、やっぱり注目はあの二人。

 

 全員がチラチラ気にしていて、クラスメイトの不安な気持ちがありありとわかった。

 

「えー、では、みんな気がついてると思うけど、転校生を紹介する」

 

 宮本先生は手まねきして、信長と秀吉を黒板の前にたたせた。

 

 転校生ってことは、やっぱりあの二人はクラスメイトになるんだ。

 

 いっしょに授業うけたり、遊んだり……。

 

 イメージすると、ありえない光景に思わずめまいがしてしまう。

 

 イヤすぎる同級生だ……。

 

「まず織田信長クン」

 

 先生は肖像画に手をやり、平たんな声で彼を紹介。

 

 つぎにサルを手でしめすと、

 

「そして豊臣秀吉クンだ」

 

 うつろな目で、そう口にした。

 

 あの目は絶対に、先生自身も意味わかってないんだ。そりゃそうか。

 

「はじめてお目にかかるな、みなのしゅう」

 

 信長はみんなの前で、コホンとせきばらいをする。

 

「いま紹介にあずかった織田信長だ。少しふけて見られるが、みなと同じく小学六年生である。よろしくたのむ」

 

「同じく豊臣秀吉じゃ。ワシも見た目のとおり小学六年生。よろしくたのむぞい」

 

 肖像画とサルがあいさつすると、教室には長い沈黙がおとずれた。

 

 ぜったいにみんな、「ウソつけ!」と、こころの中でつっこんでいる。

 

 でも声にはだせない。だってなにされるかわからないもん。

 

 ぼくも、みんなも、先生でさえも、この人たちをどうすればいいのかわかっていない。

 

 これはもう『怪奇現象実録ファイル』とかのテレビ番組に送っていいレベルだと思う。

 

「えっとね」

 

 先生は頭をかいて、声をだした。

 

「まあ、ちゅうとはんぱな時期の転入だけどね。なんていうか、校長先生のすいせんではいってきた人たちです。仲良くしてくださいね。じゃあ教室のうしろの……、横山のとなりが二つ空いてるな。二人とも、そこにすわって」

 

 先生はやっかいばらいをするように、信長と秀吉を自分のとなりから追いはらう。

 

 彼らはぼくのとなりにすわると、こっちを見てニヤリと笑った。

 

 本当にお願いだから、肖像画と動物の顔でニヤリとしないで。

 

 

 

 それからも、クラスの注目を集めたのは信長と秀吉だった。

 

 ただ、もちろん人気者というあつかわれ方ではない。たとえていうなら、

 

『話のつうじる宇宙人が、自分たちの日常にまぎれこんでしまった』

 

 って感じの、興味と好奇心と恐怖と不安がまざった視線だ。

 

 大スクープを報じたのに、ぼくらなんてなんの話題にもなってない。

 

 ま、いいけどね……。みんなの関心を集めるために報道やってるわけじゃないし……。

 

 うう……。目から汗が……。

 

「ねえねえねえ! 情也!」

 

 休み時間。二人のせいでピリついた空気の教室。

 

 ぼくが机でしょんぼりしていると、なぜか生き生きとした果報が声をかけてきた。

 

「どうしたの、果報。もしかしてこれは夢なの?」

 

「遠い目をしてなにいってんの、ほら、あれ見てよ」

 

 果報はぼくのとなりを、視線でしめした。

 

「信長さんの席? でもいまは秀吉さんがすわってるね」

 

「信長さんはトイレにいったみたい」

 

 肖像画でもトイレにいくんだ。たぶんトイレはパニックになってると思う。

 

「で、果報。それがどうしたの?」

 

「わからない? あれは、あのね……」

 

 果報が説明しようとしたとき、ちょうど信長が教室にもどってきた。

 

 すかさずピンと空気がはりつめる六年五組。

 

 すると秀吉がさっととびおりてひざまずき、イスへ手をのべて信長をうながした。

 

「どうぞ、信長さま。イスを温めておきました」

 

 信長は「うむ」と一言で返事をしてそこへどっかりすわるけど……。

 

「どうしたの、果報。あれがなにかあるの?」

 

 ぼくは両手をにぎって感動の涙を流している果報へ質問する。

 

「なにって、わからないの? あれがっ?」

 

「うん。さっぱり」

 

 果報は「あちゃー」といって、自分の顔を手の平でおおった。

 

 そんな、「だからコイツは」みたいなリアクションされても……。

 

「あのねえ、情也。これは有名な話だよ」

 

 果報がとなりをチラチラ見ながら、小声で話した。

 

「秀吉さんは戦国時代、冬に信長さんのぞうりをふところで温めていて、よく気がつくやつだって目をかけられていたんだよ。いまのもきっと、そういうことだよ!」

 

 果報は『歴史を目撃した!』って感じでめっちゃよろこんでる。

 

 でも大昔から立場がそのままとか、逆に悲しくない?

 

 

 

 しかし果報の興奮は、体育の授業になっても続いていた。

 

 今日の体育はサッカー。

 

 クラスのみんなは更衣室で体操服に着がえ、グラウンドに集合していた。

 

 もちろん信長と秀吉も着がえたんだけど、肖像画とサルの体操服はいわかんハンパない。

 

 特に信長の半ズボン姿は異様なマヌケさがただよう。

 

 そんな彼らを、クラスメイトはみんなチラチラながめている。

 

 ふだんはワイワイもりあがる競技なのに、今日はみんなよそよそしい。

 

 うーん。こんなのをグラウンドにだして、だいじょうぶなんだろうか……。

 

 そんなことを思っていると、「情也よ」と、半ズボンの肖像画が話しかけてきた。

 

「なに? 見学でいいか聞いてこようか?」

 

「うつけ者め。やるにきまっておるだろうが」

 

 きまっておるといわれても。

 

「じゃあ、なにさ」

 

「うむ。サッカーとはなんだ」

 

「そこから? 知らないのに、やるにきまってたの?」

 

 ぼくはため息をついて、サッカーのルールについて説明する。

 

「──というわけで、相手のゴールにボールをけりこんだら一点。ぼくと信長さんたちは出席番号で別チームになるから、今回は敵同士だね」

 

 信長は「なるほど」と、その顔を悪そうにゆがませた。

 

「ようするに合戦じゃな」

 

 

 

 ピーッ!

 

 試合開始のホイッスルが、フィールドにひびきわたる。

 

 戦国武将のぶっそうな考え方にはついていけない。

 

 けど、現代に生きる子供としてサッカーでは負けられないのだ。

 

 まあ、信長はキーパーだし、そう変なことにはならないでしょ。

 

 ぼくは「よし」とフィールドの中ばんでパスをうけると、相手のゴールをにらむ。

 

 そしてドリブルしようと足をふみだすけど……。

 

 誰かが「とあっ!」と、ぼくの足元にスライディング!

 

「しまった!」

 

 不意をつかれ、ぼくはボールをうばわれてしまう。

 

 しかし気配を殺したこの見事なスライディング、いったい誰が……。

 

「ふははははは! 情也よ! 戦であれば油断は命とりぞ!」

 

「の、信長さんーーーっ?」

 

「将が自ら攻めるのも戦のだいご味よ!」

 

「いや、キーパーがこんなとこでなにやってんの!」

 

 状況に混乱していると、「情也!」と、フィールドの外からぼくをよぶ声。

 

 見るとあっちで果報が目を輝かせている。

 

「どうしたの、果報!」

 

「信長さんは大将なのに、いろんな戦で先陣切って戦うので有名だったんだ! だから一番うしろで、じっとしていられなかったんだと思う!」

 

「キ、キーパーの意味がわかってないいいい!」

 

 と、つっこんでばかりもいられない。

 

 信長はドリブルして攻め上がっちゃったし、とられたボールをとりかえさないと!

 

「そのままいかせないよ!」

 

「フン! ワシを追撃できると思うてか! サルよ!」

 

 信長がよぶと、

 

「おまかせください!」

 

 秀吉がどこからともなくあらわれ、ぼくの追うコースのジャマをしてきた。

 

「ちょっと、秀吉さん、ジャマッ!」

 

 右からいけば体をいれられ、左から回ればシッポをいれられる。

 

 たくみな妨害(ぼうがい)で、秀吉はぼくを信長に近づけさせない。

 

「くっ! なんだこれ! なんでこんなに妨害が上手いのっ?」

 

「これはきっと、金ヶ崎(かねがさき)の退(の)き口(くち)だよ!」

 

 耳元で声がしてふりむくと、そこにいたのはなんと果報!

 

「なにやってんだよ、果報! 女子はつぎのゲームだろ!」

 

「そんなこといってる場合じゃないよ!」

 

 いってる場合だと思うけど、テンションの高まった果報は止められない。

 

「あのね、情也! 信長さんが金ヶ崎の戦いで逃げたとき、秀吉さんは敵から追撃をうける危険な最後尾を担当したんだ。それが成功して信長さんが無事にかえったことが、金ヶ崎の退き口ってよばれるようになったんだよ! これはきっとその応用技だよ!」

 

「いや、これ戦じゃなくてサッカーだし」

 

 目をキラキラさせる果報につっこむけど、たぶんぼくの話は聞いてない。

 

「ゴールじゃあ!」

 

 やがて信長がボールをけりこむと、ゴールネットがゆれる。

 

 そしてハイタッチしてよろこぶ、半ズボンの肖像画とサル。

 

 クラスのみんなはただ遠くから、その様子を見守っていた。



キーパーなのに、攻める織田信長! ・・・・・・いがいとなじんで・・・る?
第8回につづくよ!(1月14日 午前7時 公開予定)

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