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【期間限定】『地獄たんてい織田信長』スペシャルれんさい 第4回 思わぬ助け


◆第4回
大注目の超ハイテンションコメディ『地獄たんてい織田信長』1巻のスペシャルれんさい中!!
ニヤリと笑う今川義元! 絶体絶命のピンチにあらわれたのは!?
もう読んでいるひとも、もう一度読んでみたり、お気に入りのシーンをおともだちに紹介したりして、みんなで楽しもう!

2022年2月28日までの期間限定公開です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

四 思わぬ助け

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 平和な緑地(りょくち)公園のかたすみで、変な肖像画に追いつめられたぼくたち。

 

「さあ、念仏はとなえおわったでおじゃるかな」

 

 おひょひょひょひょ……。と笑いながら、今川義元(いまがわ よしもと)はこちらににじりよる。

 

 魔法のじゅうたんみたいに変な板に乗って、姿はますますこの世のものとは思えない。

 

「あの板は倉庫にあったのかな。きっと輿(こし)のつもりだね」

 

「こ、輿ってなんだよ、果報」

 

 敵にかこまれ、ぼくは左右の様子をうかがいながら聞きかえす。

 

「えっと、輿はお神輿(みこし)みたいに、人間が持った上に乗るものだよ。戦国時代は将軍家から許可をもらった人でないと乗れなかったんだ」

 

「……なるほど」

 

 目撃情報に、顔が白いお神輿に乗った男ってのがあった。

 

 お神輿はきっと、あのぷかぷかうかぶ変な板だったのだろう。

 

 怪人X、正体はもう今川義元できまりか。怪人というより奇人だったのは想定外だ。

 

 ただつきとめたまではいいけど、ここからどう逃げたらいい?

 

 このままじゃこの得体の知れない肖像画に、なにをされるかわからない。

 

 せめて果報だけでも……。と、そう思ったときだった。

 

 

 

「スキありじゃあ!」

 

 

 

 ズドドド!

 

 木々の間から声がひびき、けむりを上げて誰かがあらわれた!

 

 やった、助けだ!

 

 警察? それともとおりかかった人かな?

 

 ぼくは、助かった! って気持ちで、声の方に視線をうつす。すると……。

 

「ぽぎゃああああ!」

 

 と、またも情けなく腰を抜かし、その場にへたりこんでしまった。

 

 だってそこにあらわれたのは、肖像画第二号! カブトをかぶってヨロイを着こんだ肖像画の男だったから!

 

「ふ、ふえちゃってどうすんの!」

 

「ううん、情也、見て!」

 

 果報が真剣な口調で大声をだした。

 

「ど、どうしたの、果報。あれになにか」

 

「うん! あれは……! あれは、まちがいない! 織田信長(おだ のぶなが)の肖像画だよ!

 

「そんなこと聞いてないいいい!」

 

 やっぱりふえてるんじゃないか!

 

「でも、よく見てよ!」

 

 果報は前を指さす。

 

 そんなヒマないよ、逃げようよといいたかったけど……、見るとたしかに様子が変だ。

 

 だって赤い刀をふり上げる織田信長がむかう先は、ぼくたちじゃない。

 

 なぜかこっちには目もくれず、一気に今川義元に突撃していった!

 

「へ死きり長谷部(はせべ)、くらうがいいわ!」

 

 ヨロイカブトの織田信長が赤い刀をふりおろすと、

 

「あぶねっ!」

 

 今川義元は逃げるように板から飛び下り、それを盾に攻撃をうけとめる!

 

 あと口調もふつうだ。やっぱさっきまでは無理してたのかも。

 

「くくく……! 義元よ。我が刀をうけとめるとはたいしたもの。しかし攻撃にかまけ、本隊を手薄にするクセはなおっておらぬな」

 

 ぐいぐい刀をおしこむ織田信長。いや、あれは刀というより、炎……。

 

 はげしい出力のバーナーみたいに、柄から燃えるような刀身をたてている。

 

 燃えさかるようにゆれる、まっ赤な炎そのものの刀だ!

 

「くうう、こしゃくな! 信長め、またもまろのゆく手をじゃまするか!」

 

 今川義元は盾にした板を、体を使ってひっしにおしかえしていた。

 

 だけど信長は手をゆるめず、炎の刀にぐぐぐ~っと力をかけているし……。

 

 あれってなんか……。敵対している? 仲間割れ?

 

「やっぱり! あれは桶狭間(おけはざま)の戦いの再来だよ!」

 

 果報がひときわ大きな声をだした。

 

「え、桶狭間? って、織田信長が奇襲(きしゅう)で勝ったやつ?」

 

「そう! あのときも今川義元は、本隊にあまり兵力をさかなかったんだ。そこを織田信長に奇襲されて、負けちゃったの!」

 

 ってことはこれ、そのときの戦術をあの織田信長がふたたび使ったのか。

 

 肖像画同士の戦いだからか、どうしてもゆるーく見えちゃうけど……。

 

 果報が興奮する理由も、ちょっとだけわかる気がする。ほんのちょっと。

 

 でもあっちが争ってるならチャンスだぞ! 敵の敵は味方!

 

 戦う? 逃げる? そんなの、きまってる。

 

 本体がおそわれているせいか、道具たちの動きはストップしているし……。

 

 いまならやれる!

 

 これは、スクープだ!

 

「いくぞ!」

 

 ぼくは合図をさけび、目の前のサッカーボールをけりつけた。

 

 ねらいすましたそれは今川義元にぶつかり、

 

「あわっ」

 

 と、板を持つ手の力が弱まる。炎の刀はまたぐいっと今川義元に迫った。

 

 このスキは逃せない。

 

「果報!」

 

「がってん!」

 

 彼女は昭和な返事をすると、ポケットからザリガニをとりだした!

 

 さっき釣ってたやつか! どこにそんなもんいれてるんだ!

 

 ってつっこむ間もなく、果報はそれを今川義元に投げつけた!

 

「い、いたっ! いたいでおじゃる!」

 

 アメリカザリガニが命中し、顔面にはりつけた今川義元。

 

 さすがにたまらず盾にしていた板を刀ごと弾き、ザリガニを顔から引きはがした。

 

 だけど、そこで勝負ありだ。

 

「でかしたぞ、小僧ども!」

 

 織田信長の肖像画は炎の刀を大きくふりかぶり、上段にかまえた。

 

「あ……」

 

「地獄にかえるがよい、今川義元!」

 

 そのまま刀をふり下ろす織田信長。今川義元はとっさに板をひろうけど、もうおそい。

 

 バキイッ!

 

 織田信長がふり下ろした炎の刀は板ごとくだき、今川義元の顔面をぶったたいた!

 

 刀はその肖像画な顔にめりこみ、今川義元はその場にくずれおちる。

 

 肖像画だからなんの迫力もないけど……。

 

「やりすぎだー!」

 

 たぶん切るというよりたたく道具だと思うけど、それにしたって!

 

「心配ない。見ていろ」

 

「見ていろっていっても……」

 

 おかしな人とはいえ、ケガはマズい。さすがに病院につれていって……。

 

「え?」

 

 ぼくは今川義元にうつした目を点にした。

 

 なぜならさっきまで戦っていたその今川義元の肖像画は、しだいに形をくずし……。

 

 そう、本当にスライムみたいに形がくずれて、どろどろに溶けていく。

 

 そのまま完全な液体になると、最後はじゅわっと蒸発して霧になってしまったのだ。

 

「ウソでしょ……?」

 

 さっきから理解ふのうなことばっかりだ。

 

 怪人Xの正体。動く肖像画。その正体の戦国武将たち。負けて消えてしまった今川義元。さらには織田信長にサインをねだろうとしている果報……。

 

 なにもかもが謎だらけだ。

 

 こんなデタラメでおかしくて意味不明な状況、ニュースにだってできやしない。

 

 いったい、なにがどうなってるんだ?



助けてくれたのは織田信長!? 味方・・・か!?
第5回につづくよ!(1月11日 午前7時 公開予定)

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  • 【定価】 726円(本体660円+税)
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  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046320834

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