スペシャルれんさい『スイッチ!(1)イケメン地獄はもうカンベン!』 【41】2年ぶりの再会

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【41】2年ぶりの再会
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ここは黒猫館402号室。
私は女子になったレンさんに手を引かれ、外へと連れだされた。
「本当にレンさんがレンさんなんですか……」
私は、不躾なほどあからさまな視線で、女子に変身してしまったレンさんをつま先から頭のてっぺんまで眺(なが)める。
「本当だ。私の運命の人──!」
「こっちはすぐにわかったっていうのに。『運命の人』なんて言うなら、男のすがただって少しは気づけよ……」
あきれたようにつぶやくレンさんに向かい、私はむきになって答える。
「気持ち悪い殿方と、天女のようなレンさんが同一人物だなんて、だれも思うはずないじゃないですか! わわっ」
レンさんにうしろから抱きしめられて、私は顔を赤くする。
「──まつりが来るの──ずっと待ってた」
「遅くなってすみません」
くるりと身体をひねり向きあうと、レンさんは不満げに唇をとがらせる。
「ようやく会えたと思ったら、とんでもなく変態な女になってるし」
「変態って! レンさんだって口が悪くて性格最悪になってたじゃないですか! あ。私ったら、ごめんなさい。嫌いにならないでください」
女の子のレンさんがキレイすぎて、私は顔を赤くして口を閉じる。
「──ずっと。レンさんにずっと会いたかったです」
レンさんはため息をつくと、ぎゅっと私の身体を抱きしめる。
「はー……。複雑だよな。こっちのすがただと、そんなかわいい顔で俺のこと見るんだ」
レンさんは機嫌が悪そうに私の頬をつねる。
「いたっ。……レンさんだって。レンさんだって。女の子のときは私のことオマエじゃなくって『まつり』って呼ぶんですね」
私の言葉にレンさんの顔がボッと赤くなる。
その顔を見た私もなんだか猛烈に恥ずかしくなってしまい、下を向いた。
「なんで赤くなってるんだよ」
「……これはレンさんのがうつったんです」
恥ずかしくて下を向いたままそう言うと、レンさんが私の身体を強く抱きしめる。
「──まつり」
「はい」
私は甘い香りがするレンさんの腕の中に、身体をあずけたまま答える。
「──まつり。俺の側にいろ。いいな」
「え……っと。それは、どっちのレンさんのことでしょうか」
レンさんの腕の中から顔をあげると、レンさんの瞳と私の瞳がぶつかりあう。
「どっちでもいいだろ。まつりはただ『はい』って言えばいいんだよ」
「いいえっ。ここは大事なところなので、かんたんにお返事するわけには……うわっ」
手首にキスをされ、私は悲鳴をあげる。
「こっちのすがたのときは、さわってもいいんだろ」
「──はいっ。……ではなくって。半分は男のレンさんなわけで……ちょっと……うわっ」
「貴様! まつりから離れろ!」
「おおおお………お、お兄ちゃん!? どうしてここにっ!?」
「──ようやく見つけた。まつり! 帰るぞ!」
「ふざけるな。放せ!」
強制送還。
いきなりあらわれた兄に手を引かれ、私は黒猫館をあとにするのだった。
6月1日(木)からヨメルバで毎週月・木曜日公開予定!!

【書籍情報】
スイッチ!(1) イケメン地獄はもうカンベン!
- 【定価】748円(本体680円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】新書判
- 【ISBN】9784046317674