スペシャルれんさい『スイッチ!(1)イケメン地獄はもうカンベン!』 【39】約束とお願い

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【39】約束とお願い
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ここは黒猫館402号室。
ステージを終え、みんなで寮にもどってきたところだ。
「あらためましてみなさん。優勝おめでとうございます」
「ポチ子のおかげだよ! ありがとう」
「いえっ。みなさんの実力なので。本当にすごいです!」
「いいや。3人いっしょでなんて、まつりちゃんが言わなかったら絶対にやらなかったよ。ほーんとレン君がグループで活動するなんて──ビックリだしね」
「──気の迷いだ」
「──あ。レンさん。腕に傷が……」
そうか。私を助けてくれたときについた傷だ。
「その節は守ってくださってありがとうございました」
「まさか平手を食らわされると思わなかったけどな。責任もって手当てしろ」
「なめときゃ治るんじゃないですか?」
「じゃあオマエがなめろよ」
「責任もって救急箱のお薬を使って消毒させていただきます!」
「……ぶっ。あはははは」
レンさんが声をあげて笑う。
そんなレンさんにつづき、翼さんと和月さんも笑いだした。
私は3人の顔をゆっくり見つめる。
あれから色々あったけれど、これで私の役目はおしまい。
私はきちっと居住まいを正すと、3人に向かって頭をさげた。
「長い間お世話になりました。みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈りしております」
「おいおいおい。1ミリも心のこもっていないあいさつだな」
「優勝したらさ。一個言うことを聞いてくれるんじゃなかったっけ」
「そんな約束しましたっけ?」
「いまわざと忘れたフリしただろ!」
私はピューピューと口笛をふく。
「俺たちからの願いごとは、まつりちゃんがデビュー後もマネージャーをつづけてくれること。これは『ドリームシップ』の社長でもあるジョニーさんや校長先生の希望でもあるんだ」
和月さんの言葉に私は仰天して荷物をおとす。
「あははは。最後の冗談にしてはおもしろかったです」
「いやいや。冗談じゃないから」
「………もうしわけありませんが、お断りします」
「……ポチ子」
「最初にもうしあげましたが、四ツ葉学園で再会の約束をした子がいるんです。その子をささえると誓(ちか)ったこの身。もう1秒たりともほかの方に使うことはできません」
「そのさ。ささえると誓った相手なんだけど──」
イヤな予感を察知したレンさんが逃げようとすると、翼さんがレンさんに大量のコショウをふりかける。
「ハクシュン!」
バサバサッとコショウは砂埃のように舞い、レンさんのクシャミがひびきわたる。
「レンさん。大丈夫ですか?」
「翼。和月、ふざけんなあああああああああああああああっ!」
はなをすすりながらあらわれたのは、ずっと会いたかったあの子。
「うえ……うええええええええええええええええええっ!?」
私の絶叫が黒猫館中にひびきわたるのだった。

【書籍情報】
スイッチ!(1) イケメン地獄はもうカンベン!
- 【定価】748円(本体680円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】新書判
- 【ISBN】9784046317674