<①~③巻トクベツ無料公開!>『サキヨミ!』第8回 迫りくる運命

人の “不幸な未来”が見える「サキヨミ」の力を持つ私・如月美羽。同じ部活のミステリアスなイケメン・瀧島君と二人で、協力して未来を変えることに――!?
※2023年12月15日までの期間限定公開です。
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距離を取りつつシュウと夏葉ちゃんを追いながら、私は瀧島君にサキヨミの内容を話した。
「よりによって、顔に傷とは……」
「夏葉ちゃん、モデルの仕事が楽しいって言ってた。長く続けたいって。だから、絶対に止めなきゃ……!」
「見晴台の金網、か。たしかに危険だ。『愛の南京錠』って儀式は世界中で行われてるんだけど、実際に錠の重みによる事故が過去に起きてるんだよ」
「公園の人に言えば、対処してくれるかな……!?」
「念のため連絡してみるけど、すぐに動いてくれる保証はない。それにほら」
瀧島君はそう言って空を見上げた。重たい灰色の雲が、空をおおいはじめている。
「いつ雨が降り出してもおかしくない。あの二人は、どうやらまっすぐ見晴台に向かっているようだし、時間がない」
「でも、シュウやメガネの子のサキヨミでは、雨なんて降ってなかったのに……天気まで変わっちゃったの?」
「違う。変わったのは、運命だ」
「え……」
どくん、と胸が鳴る。
「おそらく、ミミふわの介入によって、彼らが見晴台に到着する時間が本来よりおくれたんだ。金網が倒れるタイミングも、まずいことに夏葉ちゃんが錠をかけるときと重なってしまったんだろう」
つまり、それって……ミミふわのせいで、夏葉ちゃんの運命が変わってしまった……ってこと?
(そんな……!)
ユキちゃんのことを思いだす。これじゃ、あのときと同じじゃない!
私がよけいなことをしたからだ。そのせいで、シュウは助けられても、別の人を危険にさらすことになっちゃったんだ……!
グッと唇をかみしめて、うなだれる。
「如月さんのせいじゃないよ」
私の動揺を感じ取ったのか、瀧島君が静かに言った。私は弱々しく首をふる。
「違う。私のせいだよ。私がみんなの運命をぐちゃぐちゃに引っかきまわして、新しい災難を作っちゃったんだよ」
「これが如月さんのせいだと言うなら、そもそもこの作戦を考えた僕のせいにもなる。何がいけなかったのか、だれのせいかなんて考えていても意味がない。今何ができるかを考えるんだ」
「そんなこと言ったって、私は瀧島君みたいに冷静にはなれないよ! 瀧島君は私とは違うじゃない。失敗したことなんかなくて、つらい思いをしたこともないんでしょ? だからそんなふうに落ちついていられるんだよ!」
言ってから、はっとする。ひどいことを言っちゃった。こんなこと、言うつもりなかったのに。
瀧島君は、何も答えなかった。ただじっと、ダテメガネの奥の目を見開いて、私を見つめていた。その瞳が、少しだけゆれ動いているように見えた。
(瀧島君、悲しんでる……?)
「……ごめん、瀧島君。何も知らないのに、勝手なこと言って……」
「いや、こっちこそごめん。如月さんが不安なのは、わかっているつもりだった。人の顔を見る怖さを、一生懸命乗りこえたってことも。ミミふわなんてものを押しつけて、無神経過ぎたかもしれない。本当に、ごめん」
そう言うと、瀧島君は目を伏せた。
違う。そんなことない。だって全部、ミミふわの……瀧島君のおかげだ。
「謝ることないよ。私ひとりじゃ、絶対何もできなかった。『ミミふわ』になることで人の顔が見られるようになったのは、瀧島君のおかげだよ。こんなこと言っちゃだめかもだけど、私、『ミミふわ』になってるとき、楽しいって思えたの。自分の力が役に立つんだって、人を助けられるんだって、初めて思えた。瀧島君が、私に教えてくれたんだよ」
「如月さん……」
瀧島君の目が、ふたたび私をとらえた。その視線の優しさに、ドキッとする。
同じ秘密を持っている人の目。運命を分け合ってくれる人の目。
――もっと、この目を見ていたい。
そのとき、瀧島君のスマホが鳴った。ポケットから取りだすと、その画面に見入る。
「……叶井先輩からだ。メガネの子は無事に写真を撮って、見晴台を離れたらしい」
「よかった……!」
あの子がスマホを落とさなかったのなら、シュウのサキヨミがあのまま実現する可能性は消えたってことだ。
でも、まだ安心するわけにはいかない。夏葉ちゃんが危険だし、その他にもどんなことが起こるか、わからないんだから。
「叶井先輩たちには、そのまま見晴台の見張りを頼もう。金網の危険についても知らせるけど、雨が降り出すまではたぶん安全だろう」
はるか前方を進むシュウと夏葉ちゃんの背中を見る。二人のすぐ先に、見晴台に向かう階段が見えた。
「見晴台に行こう。どの金網が倒れるのか、如月さんが見ればわかるかもしれない。そこにだれも近づかせなければいい。どのみち雨が降って、あの二人以外いなくなるんだろう。これは好都合だ。あの二人だけを守ればいい」
「じゃ、走ろう! このままじゃあの二人に先を越されちゃう」
「いや、先回りできる。こっちだ」
そう言うと瀧島君は通路から横に延びる小さな遊歩道へと足をふみいれた。
「これが近道なの?」
「この公園のことは、昨日十分予習したからね」
そう言って、ダテメガネの奥の目を優しげに細めた。
「よし、行こう! 見晴台に!」
私は「ミミふわ」らしく元気にさけぶと、遊歩道を走りはじめた。
見晴台に到着して金網を見た私は、息をのんだ。二十メートルほどならべられた金網には、端から端までびっしりと南京錠がつけられている。
サキヨミで見た金網を必死に思いだしてみる。けれど、特に目立った特徴はなかった。どの金網が倒れてもおかしくないように思える。
「ごめん、瀧島君。どの金網なのかまでは……わからない」
私の弱々しい言葉に、瀧島君は静かにうなずいた。
「いいんだ。この中のどれか、ということがわかっているんだから、それで十分だよ」
そのとき、鼻先が小さくぬれる感覚があった。
(もう、雨……!)
初めは小雨かと思ったけれど、すぐに勢いが増し、本降りになった。
見晴台にいた人たちは、逃げるように近くの売店やレストランに入っていく。
「あ、ミミふわちゃん!」
親しげな明るい声。見ると、売店の軒先でだれかが手をふっていた。レイラ先輩だ! 叶井先輩に、夕実ちゃんもいる。
「ターゲットは、まだ近くにいます」
叶井先輩が、売店の中をあごで示した。そこには傘を買うメガネの子の姿があった。
「ありがとう、助かりました。みなさん、もう帰っていただいて大丈夫ですよ」
瀧島君が低い声で言う。
「でも、まだミミふわさんの任務は終わってないんですよね?」
小声の夕実ちゃんが、私と瀧島君を交互に見た。
「あたしたち、最後まで見守ります」
「プロジェクトに関わった人間として、見とどけさせてください」
真剣な表情のレイラ先輩に続き、叶井先輩が力強い声で言った。
みんなの言葉に、胸がじんわりとあたたかくなる。
「みなさん、ありがとうございます。でも、これから何が起きても、無茶なことはしないでくださいね」
そう言ったとき、瀧島君がそっと私の肩に触れた。
「来た」
その視線の先に、階段を上りきった夏葉ちゃんとシュウの姿があった。二人は、まっすぐに金網へと近づいていく。
(……行かせない!)
私は二人と金網の間に飛びだし、大きく両手を広げた。
「ここは、通しません」
「また、あなたなの?」
あからさまに苦い顔をする夏葉ちゃん。
「聞いて! お願いだから、金網に近づかないでください。あなたが危ない目にあってしまいます」
「それも占い?」
「これは本気のお願いです。金網があなたの顔を傷つけることになる。モデルを続けるために、絶対にそれ以上近づかないでください」
「やっぱりな。こいつがモデルだって知った上での視聴数稼ぎなんだろ」
シュウだった。私はあわてて大きく首をふる。
「配信はもう終わってます」
「じゃあなんで、いまだにそんなカッコしておれたちにつきまとうんだ?」
「夏葉ちゃんを……あなた方を、守りたいからです」
「意味わかんねえ」
シュウがはきすてる間に、夏葉ちゃんが金網に向かって歩きはじめた。
「待って、止まって!」
「お願いだから、ジャマしないで!」
そう言ってキッと私をにらんだ夏葉ちゃんの目は、言葉を失ってしまうほど力強かった。
「私は今日、どうしてもこれをやらなきゃいけないの」
その手には、金色に光る南京錠。
「だから、そこをどいて」
「どうして今日なんですか? 今日じゃなくたって、いつでもできるじゃないですか」
あせるあまりに、語気が強くなる。すると夏葉ちゃんはぐっと唇をかみしめ、うつむいた。
「……今日しか、ないの。今日が、最後なの。だから、今やらないと……だめなの」
夏葉ちゃんの言葉を受けて、シュウが付けくわえた。
「こいつ、来週引っ越すんだよ。こうやって二人で会えるのは、今日が最後だ」
「えっ……!」
――知らなかった。私は思わず夏葉ちゃんを見つめる。
(……そっか。だから、こんなに必死に……)
雨足がさらに強くなってきた。サキヨミで見た光景がよみがえる。もう時間がない。
「大事な時間をジャマしてしまって、ごめんなさい。でも、どうしてもその南京錠をつけさせるわけにはいかないんです」
「ほっといてくれないか。関係ないだろ、おまえ」
「関係あります。私は彼女の運命だけでなく、モデルを続けたいという思いも知っています。それを知っている以上、どうしても引き下がるわけにはいかないんです」
「でも、私だって、絶対にやりとげるって決めたんです。だから、あなたの言うことは聞けない」
そう言うと、夏葉ちゃんはその大きな目を私に向けた。
「どうして、南京錠なんだ」
瀧島君だった。静かに私の背後から歩み出て、夏葉ちゃんに近づく。
「そもそもこれは、恋人同士のためのものだろう。君たちは、付き合っていないと言ったはずだ」
「付き合ってなきゃ、やっちゃいけないの?」
「そうは言っていない。君がこの南京錠にこだわる理由を知りたいんだ」
「それこそ、あんたたちに関係ないだろう」
シュウが、はきすてるように言う。
「でも、教えてほしい。私の話を聞いてもなお、南京錠をかけたいと思う理由を」
そう言った私の顔を、じっと見つめる夏葉ちゃん。
少ししてから、その口がゆっくりと開いた。
「ここは……シュウ君との、思い出の場所なの」
「……思い出?」
口を結んだシュウのとなりで、夏葉ちゃんがうなずく。
そうして、ぽつりぽつりと語りだした。
モデルの仕事を始めたのは、五年生の頃。
最初は応援してくれていた友達も、モデルとして人気が出るにつれ、だんだんと離れていき、悪口やいいかげんなウワサを流すようになった。「夏葉ちゃん」と呼んでくれていたのに、「高梨(たかなし)さん」としか呼んでくれなくなった。
そんなときに、校外学習で訪れたこの公園で、夏葉は活動班の子たちにウソをつかれて置いていかれてしまった。ひとりで途方に暮れていたとき、助けてくれたのがシュウだった。
「シュウ君は、私を同じ班に入れてくれた。他の子たちはウワサを信じてたのか、最後までよそよそしかったけど、シュウ君だけは違った。夏葉って下の名前で呼んでくれたし、ネットの悪口とかウワサじゃなくて、ちゃんと目の前にいる私のことを見てくれた」
それが、本当にうれしかった。夏葉ちゃんはそう言った。
「見晴台を通りかかったとき、この南京錠がおもしろいなって思ったの。今はまだ仕事が楽しくて恋愛とか考えられないけど、いつかやりたいなって。そうしたらシュウ君が、やりたいならやるかって言ってくれて。シュウ君、そのときはまだ、これが恋人のためのものだって知らなかったの」
そうしてくすりと笑う。
「でもそのときは時間がなかったから、いつかいっしょにやろうねって、約束だけしたの」
「……今日は、その約束を果たしにきたんだ」
シュウがぶっきらぼうに言う。
「シュウ君は、私の一番大事な友達。恋人同士じゃなくて、大事な友達として南京錠をかけて、ここに思い出を残したいの。だから、お願い。やらせてください」
夏葉ちゃんの表情は、真剣そのものだった。私はその顔を前に、何も言えなくなってしまう。
夏葉ちゃんの、シュウとの思い出。約束。強い気持ち。
それらを無視して、その行動を曲げることなんかできない。
(どうしよう……どうすればいいの?)
そのとき、夏葉ちゃんがふっと息をついた。
「でも、こうやってジャマが入るってことは……やっぱり、やらないほうがいいのかも」
その弱々しい言葉に、シュウがぎょっと目を見開いた。
「夏葉? 何を……」
「私、カン違いしてた。シュウ君の優しさに、ずっと甘えてた。今日だってムリやり付き合わせて、ほんと迷惑だったよね」
「だれもそんなこと言ってねえだろ! いいかげんその思いこみ、やめろよ」
「思いこみじゃないよ、事実だもん。私、リアルでもネットでもきらわれてる。その私がシュウ君の友達になんて、最初からなれるわけなかったんだよ……!」
「そんなことない!」
とつぜん発せられた私の大声に、夏葉ちゃんがびくりとふるえた。
「……そんなふうに、思っちゃだめだよ。思ってることって、ほんとじゃなくても、ほんとになっちゃうんだから」
――そう。「友達になれるわけない」なんて、何かができるわけないなんて、思っちゃだめなんだ。
私もそうだった。いくらサキヨミをしたところで、私に人を助けられるわけがない。そう思いこんでたんだ。
その思いこみは、長い間、私を作ってきた。私にとっての、「ほんと」になっていた。
でも、そうじゃない。そうじゃないんだ。できないって思いこむのは、自分の可能性に壁を作るのと同じ。
できないのは、やらないから。
やらない言い訳を作って、それに縛られてちゃだめなんだ。
大事なのは、何をしたいのか、という自分の気持ち。
私は、サキヨミでだれかの運命を変えて、助けたい。助けたいから、ミミふわになった。
自分が本当に望んでいること。やりたいこと。それを叶えたいという気持ちが、新たな運命を――自分が心の底から願う未来を、作っていくんだ。
「夏葉ちゃんは、シュウ君と友達になりたいんだよね。だったら、その気持ちを大事にして」
「大事にしたって、その気持ちが叶うとは限らないじゃない」
「違う」
シュウだった。はっと顔を上げた夏葉ちゃんの視線を避けるように、静かに顔をそむける。
「……おれは、夏葉のことを友達だと思ってる」
「え……」
「そりゃ、女子だし、モデルだし、からかってきたり、イヤなこと言ってくるやつとかもいたけど……おれは夏葉を、尊敬してた。ていうか、今もしてる。ちゃんと勉強してて成績もよくて、でも仕事もがんばってて、すげえなって」
「シュウ君……!」
夏葉ちゃんの大きな瞳が、うるんだ。
「だからこれからも応援したいし、ずっと友達でいたい。その南京錠をかけたいって気持ちは、おれも同じだ」
シュウはそう言うと、夏葉ちゃんの手からそっと南京錠を取った。
「だから、やろう。これで何もしないで帰ったら、絶対に後悔するぞ」
――後悔。
その言葉を聞いたとき、私の頭の中に、なつかしい顔が浮かんだ。
ユキちゃんの、最後の笑顔だ。
最後まで謝れなかったことには、後悔しかない。
そのせいで、大事にしたいはずの思い出が、つらく苦いものになってしまったんだ。
(二人で分け合ったプラ板のお守りだって、しまいこんだままだし……)
そのとき、私はハッとした。
大事にしたい、思い出……。
――そうだ。分け合えばいいんだ!
「待ってくれ。どうしてもやると言うのなら、せめて僕が金網を押さえて……」
「夏葉ちゃん!」
あわてて飛びだそうとした瀧島君を押さえ、私は夏葉ちゃんに近づいた。ツインテールの毛先から、雨がしたたる。
「大事にしたい思い出なら、ここに残していくんじゃなくて、それぞれで分け合う、というのはどうですか?」
「……分け合う?」
夏葉ちゃんがけげんそうに首をかしげる。
「はい! そうすれば手元に残していつでも思いだせるし、また会う日のことを楽しみに思い浮かべることもできるし、ここに置いていってしまうより、ずっといいと思いませんか?」
「でも、分け合うって、いったいどうやって……」
夏葉ちゃんはそう言いながら、あ、とポケットに手を入れた。取りだしたのは、金色の鍵。
「見えました! あなたたち二人がその鍵と錠を持ちよって、ここで再会する場面が!」

そう言って、びしっと指をつきつける。夏葉ちゃんははっと私の顔を見て、それから手元に視線を落とした。シュウも静かに南京錠を見つめる。
「……夏葉、どうする? こいつ、うさんくさいけど……決めるのは、夏葉だ」
「シュウ君……私……」
「そ、その人の占い、本物ですよ!」
急に後ろから高い声がした。おどろいてふりかえると、そこに立っていたのはあのメガネの女の子だった。
「ここに来て写真を撮るとき、金網に近づきすぎてることに気づいて、すぐに離れたんです。そのとき、スマホを落としそうになって……その人の占いを思いだしたおかげで、私のスマホ、無事だったんです!」
「そうだよ! ミミふわちゃんは本物だよ!」
レイラ先輩の声だった。気づけばメガネの子の後ろには、美術部の三人が立っている。
「SNSも、ミミふわの占いに対するお礼や賞賛のコメントであふれています」
そう言ってスマホをかかげる叶井先輩に続き、夕実ちゃんが声を上げた。
「ここの南京錠、定期的に撤去(てっきょ)されてるって聞きました! なくなっちゃうくらいなら、持っていたほうがいいと思います!」
(みんな……!)
すでに雨でびしょぬれの顔に、熱い雫がじんわりと加わる。
メガネの女の子、美術部のみんな、瀧島君、そしてミミふわが見守る中、夏葉ちゃんはふっと笑顔になった。そして、ゆっくりとシュウに向きなおる。
「シュウ君。また会う日まで、それ、持っていてくれる?」
言いながら、金色の鍵をぎゅっとにぎりしめた。
「わかった。必ずまた、ここで会おう」
向き合った二人は、おたがいの顔をじっと見つめた。
その瞳にはかすかなさびしさがにじんでいたけれど、口元には満足げな笑みが浮かんでいた。
「……成功、だな」
となりの瀧島君が言った。
「南京錠は金網にかけられず、シュウ君の手の中だ」
「それじゃあ……」
「ああ」
瀧島君はぬれたマスクをそろりと下げると、安心したようにほほえんだ。
「運命は、変えられた」