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みんなのイチオシ! “怪盗レッドのナンバー1人気の巻” 前後編を全文ためし読み! 第7回


2022年3~5月におこなわれた 「キミの好きな巻はどれ!? 怪盗レッド総選挙」で、見事に第1位にかがやいた15巻!

桜子とマサキがタキオンと死闘をくりひろげる一方、
アスカは、ケイなしのまま、「怪盗レッドとして」タキオンの悪事を阻むため、UFパークへと向かう!
いっしょに戦ってくれるのは――あの怪盗ファンタジスタ!?
最高潮に盛りあがる、15巻ラストです!

ぜひ読んでみんなの「イチオシ」の理由を、たしかめてね!



7月13日(水)~8月3日(水)は、『怪盗レッド15 最高のパートナーを信じろ☆の巻』が毎週更新!

写真

15  ようこそ、UFパークへ!

 わたしは、UFパークに行くために、駅にむかって走りながら、アイツに電話をかける。
 だって、このままわたし1人でUFパークについたとしても、広いパーク内から、爆弾を探しだせるとは思えないんだよね。
 だから、わたしはアイツに協力をたのむことにして、電車に乗る前に連絡したんだけど……。
『――さっそくのお誘いとは、うれしいかぎりだね』
 スマホのむこう側からきこえてきたのは、かるい調子の声。
 織戸恭也こと、怪盗ファンタジスタ。
 敵にしたらやっかいだけど、味方になってくれるのなら、たよりになる。
 って、判断したんだけど……まちがっていたかも。
 さっそく、後悔が頭をよぎる。
「重大事よ。すぐにきて」
 わたしは、真剣な声色で言う。
『つれないな。……わかったよ。こちらも、そろそろ連絡がくるかと思っていたところだ』
「え? それってどういう……」
 気になることを言う恭也に、わたしはきこうとしたけど、その前に恭也がさらに言ってくる。
『だが、こちらも、先にすませておかなきゃならない用事があってね』
「用事っ? こっちのほうがたいへんなことに……!」
『言わなくても、わかってる。だが、こちらも重要な用事なんだ』
 恭也は、さっきまでのかるい調子が消えて、真剣なのが、声色だけでもわかる。
 わたしは、ひとつ息を吸ってから、言った。
「それなら、待ちあわせ場所は……」
『UFパークだな』
 !?
 わたしの言葉を、恭也に先回りして言われて、おどろく。
 なんで知って……!?
『あとで会おう』
 きこうと思った瞬間、ブツンと電話が切れる。
 いったい、なにを知ってるわけ、恭也!
 恭也の重要な用事って、なに?
 それに、UFパークの爆弾テロについても、知っているみたいだった。
 やっぱり、恭也がかかわっている?
 ううん……そう考えるのは、まだ早いよね。
 ケイなら、そんなかんたんに結論は出さないはず。
 まずは、爆弾テロの阻止。
 それを第一に考えて、動かなくちゃ!
 UFパークへむかう電車に乗りこむと、わたしはスマホで、駅からの最短ルートを検索する。
 いつもなら、ケイが指示してくれていたこと。
 今なら、そのすごさと、ありがたみが、よくわかるよ!
 それに冷静になって考えてみたら、ケイは敵にさらわれたわけじゃない。
 自分から出ていった。
 だからこそ、理由があるんだと思う。……たぶん。
 それでも今、こんなときでも連絡がない。それは、連絡しなくても、わたしにどうにかできると、思っているから。
 きっとそう!
 なやんでたって前に進めない。プラスに考えることにしたんだから!
 電車をおりて、わたしは改札を出ると、走りだす。
 スマホで調べると、駅前からシャトルバスが出ているらしい。
「でも、あと15分? 待ってられない!」
 走ったほうが早い!
 全身から、力を一瞬だけぬいて、リラックスする。
 その次の瞬間、地面をけって、全速力で走りだす。
 スマホの地図を見つつ、わたしは通りを歩く人の間を、ぬうように走りぬける。
 びっくりして、ふり返っている人もいるけど、今は気にしてられない。
「あった! ここだ」
 わたしは、UFパークの正面入り口の前にたどりつく。
 平日ということもあって、チケットを買う列には、10人ぐらいしかならんでない。
 いざとなったら、パーク内に忍びこむことも考えてたけど、その必要はなさそう。
 チケットを買う間に、実咲たちに電話をかけようと、スマホをタップする。
「……まだダメだ」
 実咲たちに、電話が通じない。
 実咲1人なら、充電切れかもしれないけど、優月も水夏も通じないなんて……。
 いったい、どういうこと?
 UFパーク内がケータイの圏外だなんて、きいたことない。
 となると……出てくる前に美華子さんが言っていたことが、当たりなのかも。
『タキオンがUFパーク全体の情報を遮断している』って話。
 こんなことをするには、高い技術力が必要だし、タキオンなら、そういうこともできるはず……だよね?
 え~と、そうなると……本当に、爆弾テロが起きる可能性が、高い?
 ケイが考えそうなことを、なんとかわたしの頭でも想像して、考えを組み立てていく。
 その間に列の順番がきて、チケットを買って、わたしはUFパークの中に入る。
 明るい音楽が流れていて、中の人が混乱してる様子はないみたい。
「ようこそ、UFパークへ!」
 もふもふの、シロクマをモチーフにした着ぐるみマスコットが、小さな子どもに風船をくばっている。
 入口でもらった、UFパークの案内図を広げる。
 UFパークの区画は、大きく分けて3つ。
 レストランやオリジナル商品のショップがならぶ区画、ジェットコースターや観覧車など乗物がそろう区画、季節の花畑が見られる大きな池のある公園区画の3つだ。
 かなり広くて、敷地面積20ヘクタールって書かれてる。
 ……ヘクタールって、どれくらい?
 スマホで調べてみると、1ヘクタール=10000平方メートルらしい。
 う~~んと、とりあえず、とんでもなく広いってこと!
 ええと、どうしよう?
 わたしは歩きながら、近くのゴミ箱やベンチのかげを、探してみる。
 爆弾がしかけられてたら……と思ったんだけど。
 あるのは、置き去りにされた空き缶とか、小さなゴミぐらい。
 爆弾らしきものは、見あたらない。
 こんな方法だと、いったい何日かかるか、わからないよ。
 それでも、ほかに方法が思いうかばないから、探すのをやめるわけにもいかない。
 本当は実咲たちも見つけて、逃げてって言いたいけど、実咲たちだけ逃がせれば解決ってわけじゃない。
 爆発するまえに、どうにかしなくちゃ。
 でも、どうやったら探しだせるの?
 ケイなら、すぐに方法を思いつくはずなのに。
 やっぱり、わたし1人じゃダメなのかも……?
 焦る気持ちが大きくなってくる。
 それでも、体は休めずに、ベンチの裏にまわっては、あやしいものがないか探す。
「ない……」
 あといくつ、このUFパークにベンチがあるんだろう? ゴミ箱は?
 それに、そういう場所にあると、決まったわけじゃない。
 探す方法を、考え直したほうがいいよね。
 でも、どんな方法なら、この広いテーマパーク内から爆弾を見つけられるんだろう?
 わたしはその場で立ち止まり、考える。
 テストのときより、頭を回転させてるような気がする。
 だけど、いいアイディアは、そうそううかばない。
「――あれ? アスカ!?」
 不意に、おどろいたような声がきこえてくる。
 ふり返ると、実咲、優月、水夏の3人が立っている。
 見つけた……!
 ほっとしたのも一瞬のことで、すぐに3人の不思議そうな顔に、気がつく。
 ま、まずい……。
「アスカ、あなた急用があったんじゃないの?」
 水夏が、けげんそうな顔で、わたしを見る。
「そう言ってたよね? どうしてここにいるの?」
 実咲も、不思議半分、心配半分な表情で、わたしを見てる。
「もしかして、用事が早く終わったから、おくれてきたの?」
 優月が、のんびりとした調子で、言う。
 それだ!
 と、とびつきたいところだけど、そう答えると、このあと実咲たちといっしょに、行動しないといけなくなる。
 そうしたら、爆弾探しができなくなっちゃう。
 え~と……どうしたらいいの……。
 うまい言いわけが思いつかない。
 ええい!
 一度、実咲たちと合流して、またすきを見て、抜けだすしかないか!
 ――その前に。
「ごめんごめん、飲み物買ってたら、おそくなったよ」
 片手をあげて、人受けのよさそうな笑みをうかべた恭也が、こっちにやってくる。
 帽子をかぶって、サングラスをしているのは変装?
 イケメンなのに、あやしさが満載なんだけど。
 しかも、このタイミング。ああ、こんなときに!
 わたしは、頭を抱えたくなる。……ん? 飲み物を買ってたら?
 恭也の言葉を思い返して、ふと考え直す。
 もしかして恭也、わたしがこまっているのに、気づいている?
 恭也は、わたしのとなりまでくると、かるく目くばせしてくる。
 実咲たちはといえば、恭也のことを見て、目を丸くしている。
「え~と、だれ?」
 素直な質問を、水夏がする。
「ぼくは、アスカの親戚なんだ。海外からこっちに遊びにきていて、今日は急に案内をお願いしたんだ」
 恭也が、スラスラと説明する。
 よくそんなウソが、口ごもることなく出てくるよね……。
 この場は助かるけどさ。
 とりあえず、ここは恭也の話にのっかるしかない!
「そ、そうなの。急に親戚に案内をたのまれちゃって。それが、このUFパークだったのは、本当に偶然だったんだけど」
 わたしは言いながら、実咲たちの反応を見る。
 実咲と優月は、豪華客船で恭也のことを見ているはずだけど、サングラスと帽子で、ごまかせているみたい。
 実咲たちにウソをつくのは、心苦しいけどね……。
 わたしは、ギュッと胸の前で、手をにぎる。
「そうだったんだ。それなら、いっしょにまわりませんか?」
 実咲が、恭也に提案する。
「合流してもいいんだけど、ぼくが行きたいところがあるんだ。そっちを見てまわってから、あとで合流ということにしないかい?」
 わたしより先に、恭也が答える。
 しかも、実咲の提案を断らずに、こっちが爆弾を探す時間もできる、ベストな答え。
「そういうことなら、アスカをお願いします」
「わかったよ。いちおう、連絡先を交換しておこうか。……ん? 圏外になってるね」
 実咲と話していた恭也が、スマホを見ながら言う。
「そうなんです。どうしてだか、園内どこでもつながらなくて……」
「しょうがないね。時間と場所を決めて、待ちあわせをしようか」
 恭也と実咲で、テキパキと話をすすめてる。
「あの~実咲。案内してるのは、わたしなんだけど」
「だって恭也さん、しっかりしてそうなんだもの」
 実咲が、クスクスと笑う。
「たしかに、大人のよゆうって感じがあるものね」
「アスカちゃんも、しっかりしてると思うよ」
 優月だけはフォローしてくれるけど、フォローだっていうのが、わかってつらい。
「それじゃあ、あとで観覧車でね」
 実咲たちと、いったん別れる。
 合流は、3時間後の午後3時に観覧車前、ということに決まった。
 実咲たちの背中が、人ごみに見えなくなってから、わたしはジロリと恭也を見る。
「いいタイミングで合流できて、よかったよ」
 恭也は、ひょうひょうとしてる。
「それにはお礼を言っておく。……ありがと。でも、あんなにウソがペラペラと出てくるのって、なれてるから?」
 わたしは、ジト目で恭也を見る。
 ウソがうまいっていうのは、これから協力する相手としては、どうなんだろう?
「おれは必要なウソをつくだけだよ。それより、今はやることがあるだろう」
 恭也の言葉に、わたしは表情を引きしめる。
「そうね。でも、その言い方だと、事情は知っているみたいね」
 すると、恭也はしれっとこたえた。
「……情報は入っているよ」
「じゃあ、なんで前もって止めなかったの!」
 思わず、声を荒らげる。
 もっと早く知っていたのなら、この爆弾テロを、止められたんじゃないの?
「事前に、止めるわけにはいかない事情が、あったんだよ。それに、事前に食い止めても、べつの場所で知らないタイミングで、同じ事件を起こすかもしれない。それじゃあ、意味がない。企み自体をつぶす必要があったんだ」
 恭也の言葉に、わたしは反論できない。
 相手は、タキオンだもんね。
「……わかった。でも、この園内には、こんなにたくさんのお客さんがいる。ここで爆弾が爆発したら、どうなるか……。絶対に阻止するから!」
 だけど、たった2人で、どうすれば爆弾を探しだせるのか……。
 さっきまで考えていたことを、恭也に素直に話す。
 わたしには、相手とかけひきして会話する、なんてムリ。
 それなら、最初から手のうちを明かして、相手の動きを見きわめるしかない。
 ……ケイがきいたら、「バカじゃないのか」とか言われそうだけどね。
「やや悲観的だが、冷静な判断だな。たしかに、このまま闇雲に探していても、爆弾が見つかるかどうかは、運まかせでしかないな」
「じゃあ、なにかべつの方法を……」
 わたしが言いかけたところに、恭也は言葉をつづける。
「――ただ、このまま手がかりがないとも、かぎらない」
「え? それってどういう……」
 わたしが、恭也にきこうとした瞬間――
   ドンッ!
 体に響くような、爆発音がきこえてくる。
「きゃああああっ!」
 つづけて、甲高い悲鳴。
 どこかで、爆弾が爆発した!?
 わたしは、恭也と視線をかわすと、爆発音がしたほうへむかって、走りだした。

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