連載

  1. ホーム
  2. 連載
  3. 小説
  4. みんなのイチオシ! “怪盗レッドのナンバー1人気の巻” 前後編を全文ためし読み!
  5. みんなのイチオシ! “怪盗レッドのナンバー1人気の巻” 前後編を全文ためし読み! 第1回

みんなのイチオシ! “怪盗レッドのナンバー1人気の巻” 前後編を全文ためし読み! 第1回

写真

6 過激な宣戦布告!

 ファルコンと、ニック。
 日本から撤退したはずの、犯罪組織タキオン。
 その幹部2人が、今目の前にいる。
 それが意味することは……?
『アスカ、逃げるぞ!』
 一瞬早く、ケイが指示してくる。
 そうだ!
 今は、この場をどうにかしないと。
 ファルコンとニック。
 それに、ニックのそばには、見たことのない、ノートパソコンをかかえた若い男と、すらりとした高身長で、立ちすがたからして身軽そうな、金髪の若い女が立っている。
 正面からぶつかって、勝てる見こみは少ない。
 なら、逃げるしかない。
 わたしは、すぐにドアの方向にふみだそうと、体勢を変える。
 だけど、それを見越したかのように、ファルコンがすばやく行く手をふさぐ。
 あの大きな体で、このスピード。
 いまいましいぐらいに、あいかわらずだ。
「すぐに帰ることはないだろう、怪盗レッド。せっかくきてくれたのだから」
 ニックは両手を広げて、歓迎するよ、と笑って言う。
 でも、目がぜんぜん笑ってない。
 わたしは、逃げるのはあきらめて、ニックにむき直る。
 すきを探すしかない。
「この取引自体が、あんたたちが仕組んだことだったのね」
「そうだ。取引の情報を流し、屋敷に本物の価値ある美術品を配置し、警備も雇った。ああ、屋敷の警備員たちは、ただの雇われだから、われわれとは直接は関係ないよ。まあ、まっとうな人間でもないがね」
 ニックは、楽しそうに語る。
 ケイの勘が、当たりだったってわけね……。
 この取引自体が、うまく仕組まれたウソ。
 しかも、この口ぶりだと……。
「それだけの仕掛けを、もしかして、わたしのために?」
「その通りだ。君たちのためだけに、用意した。この国に帰ってくるのに、まず一番にあいさつすべき相手だと思ったものでね」
「それはどうも」
 まったく、ありがたくないけどね!
 話しながら、ファルコンのすきをうかがうけど、ぜんぜん抜ける気がしない。
 右目が見えないなら、そちらが死角のはずなのに、完全にカバーされてる。
 そう思っていると、ニックのとなりにいた若い男が、不意にノートパソコンを開いた。
「ちっ。屋敷のシステムに、侵入してきやがった。こいつの仲間だな。ちょうどいい。歯ごたえのある相手が、ほしかったところだ」
 黒髪のアジア風の男は、舌打ちすると、ニヤリとこちらを見て笑う。
 ケイが、裏で動き出したんだ。だけど、それも読まれてる。
 あの若い男は、ケイと同じでパソコンの技術が優れてるタイプなの?
 それにしても、話し声をきいてみると、思ったより若いのかも。
 20歳か、それより下か……。
「対応はまかせた」
 ニックは若い男に言って、わたしにゆっくりと近づいてくる。
 それは不用意だよ!
 わたしは、すばやく催眠ガス入りの玉を、ニックにむけて放つ。
 だけど――
   キンッ!
 ニックに当たる前に、横からナイフが飛んできて、玉を壁にぬいつける。
 ウソッ……!
 飛んでる玉に、ナイフを当てたの……。
 ナイフを投げた相手を、見る。
 ずっとだまったままの、金髪の女の人。
 モデルのような体型で、口もとの半分を隠しているけど、その目は冷め切っていて、感情の色が見えない。
 それにしたって、ナイフを用意するのも、気づかせないほどの早業だった。
 とんでもない技術だ。
 まずい……。
 ニックとファルコンだけでも、強敵なのに、見たことのない2人も、専門的なスキルを持っているみたい。
 ニックはそれを見て、満足そうにうなずくと、立ちどまる。
「タキオンを、日本から一度引かせた。それに敬意をはらって、最初にきみたち、怪盗レッドに宣言する。感謝したまえ」
 ニックが、手ぶりを加えながら、ゆかいそうに話す。
「いったい、なにを伝えるっていうの!」
 わたしの言葉に、ニックはぴたりと動きをとめると、すっと目をほそめ、真剣な顔つきになる。
「――われわれタキオンは、日本へ再侵攻する。今度は油断は一切ない。日本を、そして世界を支配する!」
 ニックは、高らかに宣戦布告ともとれる、言葉を放つ。
「そ……そんなこと、させるわけないでしょ!」
 わたしは、ニックにむけて、かまえる。
 だけど、すかさず、ファルコンと金髪の女の人が、牽制を入れてきて動けない。
「とめられるものなら、とめてみせろ」
 ニックはそう言うと、わたしに背をむける。
 それでも、わたしは動けない。
 ファルコンと金髪の女の人の、プレッシャーがきつい。
『くっ、こっちはダメか! アスカ、今は脱出が優先だ!』
 ケイの声にも、あせりがまじっている。
 屋敷のシステムに入りこむのが、あんまりうまくいっていないのかも。
 逃げきれる?
 ファルコンや、この未知の相手を目の前に……。
 ムリだ。
 ファルコン1人なら、逃げるだけならどうにかなったかもしれない。
 でも、この人数を相手にしてなんて、方法が思いつかない。
 ……でも!
 それでも、やるしかないっ!
 わたしは、すばやくバッグから、催眠ガス入りと唐辛子入りの玉をとりだす。
 少しでも時間をかせげれば!
 わたしは、一気に、玉を全弾ばらまく。
   パンッ パンッ パンッ
 次々に部屋のあちこちで、玉がはじける。
 そのまま口もとをおおい、部屋のドアを開けて、ろう下に出る。
 全力全開で、ろう下を走る。
 足音なんて、気にしてる場合じゃない。
 このていどで、ファルコンたちの、足止めになるとは思えない。
 すぐに追ってくるはず…………あれ?
 うしろから迫る気配がない。
 いぶかしく思いつつも、警戒をゆるめずに、屋敷の外に出て、距離をとる。
 それでも、ファルコンたちは、屋敷から出てくる様子もなかった。
「……どうして……?」
 逃げきれたの?
 だけど、どうして逃げきれたのかわからない。
 あのていどで、足止めできる相手じゃないと思ってたのに。
『さっきの宣言通り、とめられるものなら、とめてみせろということらしいな。今日のところは、見逃されたんだ…………くそっ!』
 ケイが、くやしさのにじむ声で、つげる。
『なにかを感じていたのに……決断できなかった。うかうかと、はめられたんだ。……完全に、おれの負けだ!』
 ケイらしくない、乱暴な口調で言う。
 たぶん、わたし相手に言ってるというより、自分のことがゆるせないんだと思う。
 わたしだって、同じ気持ちだから。
 ニック、ファルコン。
 それに新しい見たことのない2人の実力者。
 あの犯罪組織タキオンが、もどってきたんだ。
 ――日本を支配するために。
 絶対に阻止しなくちゃ!
 そのためにも、今はくやしいけど、逃げなきゃいけない。
 ギュッとくちびるをかみしめ、わたしは屋敷からはなれていった。


第2回へつづく(6月29日午前10時 公開予定)

総選挙の結果発表と、みんなからのコメントはこちら!




最新刊!『怪盗レッド21 通りすがりの救世主☆の巻』は7月13日発売!!


怪盗レッド21 通りすがりの救世主☆の巻

  • 作:秋木 真 絵:しゅー
  • 【定価】770円(本体700円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046321718

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER

関連記事

関連書籍

怪盗レッド14 最強の敵からの挑戦状☆の巻

怪盗レッド14 最強の敵からの挑戦状☆の巻

  • 【定価】 770円(本体700円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046317759

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER
怪盗レッド15 最高のパートナーを信じろ☆の巻

怪盗レッド15 最高のパートナーを信じろ☆の巻

  • 【定価】 748円(本体680円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046317766

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER
怪盗レッド(1) 2代目怪盗、デビューする☆の巻

怪盗レッド(1) 2代目怪盗、デビューする☆の巻

  • 【定価】 704円(本体640円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046310705

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER