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怪盗レッド スペシャル 第5話 マサキの“なにごともない”休日[後編]

「明日から、おまえたちが怪盗レッドだ!」
春休みのある日、アスカとケイは父からそんな宣告をうける。
2人はねずみ小僧を先祖にもつ家系で、13才になると、怪盗にならなくてはいけないらしく...?

累計120万部突破の大人気シリーズの書き下ろし小説です!

このお話は、「怪盗レッド スペシャル 第4話」のつづきだよ。
まだ読んでない子は、こちらからどうぞ。
第4話 マサキの“なにごともない”休日[前編]

 

  1

 

 スーツ姿の人間が、たくさん行きかうビジネス街。おれは、その道を歩いていた。

 もちろん、変装はしている。

 ダークスーツ姿に、ブルーのネクタイをしめて、まわりからは、20代くらいの若手サラリーマンに見えるはずだ。 この手の変装なら、何度かしたことがあるから、ふるまい方もわかっている。

「……ここか」

 おれは、とあるビルの前で立ち止まる。

 目の前にあるのは、30階建ての、このあたりでは目立つ高さのビルだ。

 見上げると、窓ガラスに光が(はん)(しゃ)していて、まぶしさに目がくらむ。

 このビルには、複数の会社が、オフィスをかまえている。

 おれの目的地は、このビルの25階から、最上階である30階までをオフィスとして使っている会社だ。

 ビルの1階エントランスはスーツ姿の人の出入りが多く、 おれが入っていっても、とくにだれにも見とがめられない。

 エレベーターに乗り、高速で上っていく()(ゆう)(かん)を味わいながら、10秒ほどで25階にたどりつく。ここまでは、すんなりとくることができた。

 さて。ここからだ。

 エレベーターを降りると、すぐのところに会社の受付があり、女性が2人すわっている。

 ここで受付をしないと、目的のフロアに立ち入ることができない。

「すみません。(そう)()()(まき)(はら)さんと約束している、(うす)()コーポレーションの(えのき)()と申します」

 おれはいつもと(こわ)(いろ)を変えて、受付の女性に話しかける。

 当然、事前にこの会社の社員については、調べてある。

 総務部の槇原という人物は、本当に(ざい)(しょく)しているし、碓井コーポレーションは、本当にこの会社の取引相手だ。

「はい。碓井コーポレーションの榎田様ですね。少々お待ちください」

 受付の女性は、内線電話で連絡をとる。

 槇原には、当然ながら約束の覚えはないはずだが、取引相手を名乗る人間がやってきて「約束がある」と言われたら、()()にする会社など、そうそうない。

 電話を切ると、受付の女性は少しとまどった表情で、おれを見る。

「約束した覚えがない」と言われたのかもしれない。だが……。

「槇原は、すぐには手がはなせないので、中でお待ちいただけますか。こちらが(にゅう)(かん)(しょう)になります。お帰りのさいに、ご(へん)(きゃく)ください」

 受付の女性は、おれに、ケースに入ったカードキーをわたしてくる。

 最近のオフィスは、こういったカードキーでドアを開けるところが多い。

 この会社もそうで、カードキーを(わす)れると、社員ですら、トイレからオフィスにもどってこられないなんてことがおこる。

 セキュリティ上、必要なことかもしれないが、便利になったのか不便になったのか、()(みょう)なところだろう。

 セキュリティ面でも、こんなあやしい人間を、あっさり入れてしまっているのだから、(あな)がある。

 おれはさらにエレベーターで30階に移動し、オフィスのドアを、カードキーで開ける。

 ここには、総務部と(けい)()()、それに社長室がある。

 オフィスのドアを開けた瞬間に、中にいる社員から視線をむけられたが、すぐにその視線も()る。

 見知らぬ顔でも「カードキーを持って入っているなら、だれかの客なのだろう」と思いこむから、それ以上は関心をはらわないのだ。

 潜(  せん)(にゅう)する者には、楽で助かる。

 こういったオフィスは、最初のドアだけにセキュリティがあって、中にはセキュリティはないことが多い。

 いちいち、セキュリティチェックをしていたら、仕事にならないからだろう。

 おれは、まっすぐに奥にある社長室にむかう。堂々と歩いていくと、だれも止めない。

 社長室にも、めんどうな(かぎ)はついていなかった。

 ノックをしてから、ドアを開ける。中に社長はいない。

 社長は出かけていて、もどってくるまで、あと10分ほどかかることは調べてある。

 おれは、社長室を見まわす。

 かべには数百万円はする高級な絵画、(たな)には大ぶりの(つぼ)()(びん)などがならべてある。

 美術品収集の趣味があるようだ。

 防音もしっかりしている。これも都合がいい。

 さてと。

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