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怪盗レッド スペシャル 第2話 「2代目レッド」が 始まる前のこと

「明日から、おまえたちが怪盗レッドだ!」

春休みのある日、アスカとケイは父からそんな宣告をうける。

2人はねずみ小僧を先祖にもつ家系で、13才になると、怪盗にならなくてはいけないらしく...?

累計110万部突破の大人気シリーズ!『怪盗レッド』web限定小説第2話【「怪盗レッド」が始まる前のこと】

◆アスカside(サイド)

「「合格おめでとう!」」

コン

と、わたしと実咲(みさき)は、ジュースの入ったコップで、乾杯する。

 小学校の卒業式も終わって、3月も後半。

 春休み中のわたしと実咲は、わたしの家で、ちょっとしたお祝いをしているところ。

 

 (はる)(おか)学園中等部からの合格通知は、1カ月ぐらい前にもらっていた。

だけど、小学校の卒業式があったり、新入学の準備があったりで、ちゃんと合格祝いができてなかったんだ。

 それで、やっと今日、実咲とお祝いしてるっていうわけ。

 ……わたしの家のリビングでなんだけどね。

 

「でも、本当にアスカはがんばったよ。

勉強ぎらいのアスカが、夏休みごろから、ずっと受験勉強にとりくんでたんだから」

「がんばれたのは、実咲が勉強を教えてくれたおかげだけどね。

それに、春が丘学園の見学に行ったとき、『どうしても、この学校に通いたい!』って思ったんだ。

雰囲気(ふんいき)も気に入ったし、制服もかわいかったし」

「それ、わかるよ。

わたしも、春が丘学園を見に行ったとき、すぐに行きたいなって思ったから」

 実咲は、笑顔で言う。

 心から入学を喜んでるのは、表情を見ればわかる。

 でも、ちょっと気になってることがあるんだよね……。

「――ねえ、実咲」

「ん、なに?」

「実咲の学力なら、もっといい偏差値(へんさち)の学校にも行けたよね?

 わたしに付き合わなかったら、もっと行きたい学校も選べたんじゃ……」

「それはちがうよ、アスカ」

 実咲は、はっきりと首を横にふる。

「わたしは、春が丘学園が気に入ったし、中学も、アスカといっしょに通いたいとも思ったの。

それに、ギリギリ届くくらいの学力の学校に行けば、勉強は充実するかもしれないけれど、それ以外の時間がとれなそうでしょ。

わたし、勉強以外のことも、中学ではやってみたいと思ってたんだ。

だから、アスカはそんなこと考える必要は、まったくないよ」

 実咲の表情に、わたしはホッとする。

 受験勉強に付き合ってもらった半年間は、けっこうギリギリのレベルだったから、あまり深く考えていられなかったんだけど。

ぶじに合格したら、不安になっちゃったんだよね。

 でも、今の答えが、実咲の本心だって、わたしにはわかる。

 これでも、実咲との付き合いは長いし、ちょっとした表情の違いでもわかるんだ。

 だけど実咲が、入学したあとのことまで、考えて、学校を決めていたなんて、びっくりだよ。

「わたしは、まだそこまで、ちゃんと考えられないなぁ。

勉強ついていけるかなって不安はあるけど」

 わたしは、ぽつりとつぶやく。

「アスカは、自分は勉強が苦手だって思いこんでるけど、飲みこみは悪くないんだよ。

だけど、苦手意識が強すぎて、勉強にうまく集中できてないと思うんだ」

「そう言われても、苦手なものは苦手なんだよー」

「まあ、その気持ちもわかるけどね。

わたしだって、苦手なものを好きになれって言われても、すぐには無理だし」

「実咲みたいに、勉強が得意だと思えたらなぁ……」

 わたしは、がっくりと肩を落として、ジュースをちびちびと飲む。

「世の中には〝天才〟ってよばれるような、考えられないぐらい頭のいい人だっているんだから。

それにくらべたら、わたしだって、少し成績がいいっていうだけで、アスカと変わらないって」

 実咲はそう言って、なぐさめてくれる。

「――〝天才〟かぁ。

わたし、天才な人とは、なかよくなれなそうだなあ」

 だって、どんな話をしたらいいか、ぜんぜんわからないもん!

「アスカなら、そんなことないと思うけどね。

きっと、相手が天才だろうとだれだろうと、すぐになかよくなっちゃうよ」

 そうかなあ……。

でも、悩まなくたって、天才なんて、そうそうまわりに現れるわけないか。

 春が丘学園だって、それなりに偏差値が高い学校だけど、すっごいハイレベルってわけじゃないしね。

 それよりも、もう2週間で始まる、新生活が、楽しみでしかたがないよ!

「中学校生活、めいっぱい楽しもうね、実咲!」

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