連載

  1. ホーム
  2. 連載
  3. 小説
  4. 怪盗レッド スペシャル
  5. 怪盗レッド スペシャル 第8話 宝条有栖のちょっとした日常・上

怪盗レッド スペシャル 第8話 宝条有栖のちょっとした日常・上

中学生だけど、みんなにはヒミツで「正義の怪盗」をやってる、アスカとケイ。
そんな2人のかつやくを描いた「怪盗レッド」シリーズは、累計120万部を超える、つばさ文庫の超・人気シリーズです!

今回は、天才小学生画家・宝条有栖(ありす)ちゃんのお話!
有栖ちゃんが登場するのは、『怪盗レッド』13巻。すごく個性的な大人気キャラだから、まだ読んでいない子はぜひチェックしてみてね!



   *****

 

 真っ白な壁に、落ちついた赤色の屋根の建物。

 校舎としては、ずいぶんとおしゃれな作りで、まさに、「有名なお嬢様学校のシンボル」らしいわ。

 そして、この建物の美しさが、わたくし――(ほう)(じょう)有栖(ありす)が、()()に通うことに決めた、理由の1つでもある。

 この学校は、お金持ちのご(れい)(じょう)が多く通っていることで知られてる。生徒の親が政財界の著名人だったり、有名アスリートだったりするのは、よくあること。

 わたくしからすれば、「小学校」には違いないし、「お嬢様」といっても、ちょっとマナーがしっかりしているだけで、特別なことなんて、特に感じないのだけれど。

「おはよう! 有栖ちゃん。なにしてるの?」

 いつの間にか、わたくしの横に立っていた女の子が、話しかけてくる。

 髪をサイドテールに結って、くりくりとした目が、いつもチワワを思い出させる。

「校舎を見ているのよ。いつ見てもきれいだと思って」

「うん、この学校の校舎はきれいだよね。……ああ、でも前のさわぎは、大変だったけど」

「ああ……あのときね」

 わたくしは、顔をしかめる。

 夏休み明けに、急に校舎が、全面的に立ち入り禁止になったことがあったのだ。

 理由は、この校舎を設計した建築家にあったらしい。

 ――()(ざき)(しゅう)(すけ)

 それが、この校舎を設計した建築家の名前だ。

 もうずいぶん前に亡くなっているのだけど、彼が設計した建物の1つで、とつぜん爆発があったという。

 そのせいで、桧崎修介が設計した建築物すべてで、総点検がされることになったとか。

 まったく、バカバカしい話だわ。

 このすてきな校舎を設計した建築家が、ムダに自分の建物を爆破するわけがない。

 だからきっと、その爆発には、()()()()()()()()()のにちがいない。

 すべての建築物を点検するだなんて……ムダでしかないわ。

 (あん)(じょう)、なにも危険なところは見つからなかったらしいわ。

この校舎が小学生が使いやすいように考えつくされていて、桧崎修介の設計が、どれだけすばらしいものかということが、再確認されただけだったそうよ。

 まあ、そのことだけは悪くなかったと思うわ。

「ねえ、有栖ちゃん。そろそろ行かないと、授業に遅れちゃうよ」

 わたくしのそばに立つ女の子が、あせったように言う。

「まだ、大丈夫よ。西(さい)(おん)()さん」

 わたくしは、言いながらも、ゆっくりと校舎に向かう。

「のんびりしすぎだよ、有栖ちゃんは~」

 西園寺さんは、ほっとしたような顔で、わたくしの横にならんで歩き出した。

 

 

 教室がにぎやかなのは、お嬢様学校でも同じ。

 わたくしが教室に一歩足をふみ入れたとき、一瞬だけ教室が静まり返った気がしたけれど、気のせいね。

 そのまま窓ぎわの席につく。

 西園寺さんは、わたくしの席の前だ。

 どうしてかはわからないけれど、わたくしはこの西園寺さんに好かれている。

 よく話しかけられるし、教室移動もいっしょにすることが多い。

 逆にいえば、クラスの西園寺さん以外の子とは、必要なことしか会話した記憶がないわ。

 いつの間にか、そうなっていた。

「わたくしが『お嬢様』だから」というのは理由にはならない。だって、ここにいるのは全員、お嬢様だもの。

 考えられるとすれば、「わたくしが画家だから」という理由のようね。

 美術の世界で、わたくしの絵画は評価されているし、新聞、テレビ、雑誌、インターネット……いろいろなところで、取りあげられている。

 そのせいでみんな、わたくしに話しかけづらくなっている……というのが、西園寺さんからきいた話よ。

『わたしたちはたしかにお嬢様だけど、それはパパやママがすごいってだけでしょ。でも、有栖ちゃんは、有栖ちゃん自身がすごいじゃない。だからなんとなく、みんな気おくれしちゃうんだよ』

 いつだったか、西園寺さんがそう言っていたことがある。

 ちなみに西園寺さんは、気おくれしないのかときいたところ、

『わたし、そういうの気にしないから。わたくしが将来、有栖ちゃんを超えるすごい人になれるとは思えないし。だったら気おくれするだけムダでしょ』

 ……だそうだ。

 さっぱりしているのか、自己評価が低いだけなのか。

 ともかく、この学校でわたくしが「友達」と言えるのは、この西園寺るりさんだけということになる。

 まあ、わたくしにとっては、西園寺さんだけで3人分ぐらいのさわがしさを感じるから、ちょうどいいのだけれどね。

作家プロフィール

関連記事

関連書籍

怪盗レッド13 少年探偵との共同作戦☆の巻

怪盗レッド13 少年探偵との共同作戦☆の巻

  • 【定価】本体680円(税別)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046316691