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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第71回 先輩の決意


◆第71回

とつぜん、伊吹先輩に呼び出しされてしまたさくら。
伊吹先輩は、いったい何を伝えようとしているの……?

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♪先輩の決意

 

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

 放課後の、ひとけのないろうか。

 

 先を歩く先輩の背中に、ついて歩く。

 

「昨日のこと、感謝してる」

 

「……っ」

 

 背中を向けたまま、先輩の声が響いた。

 

 お説教じゃ、ないみたい。

 

 お礼を言うために、わざわざ、声をかけてくれたんだろうか。

 

「今まで、俺が金賞をとらせてやらないといけないって、どこか義務みたいに思ってた」

 

 ろうかの窓からさしこむ光が、先輩の髪を照らす。

 

「〝待つこと〟は、簡単じゃない。だから、みんなの成長や自主性が育つのを待つより、自分が引っ張ればいいと思ってた。でも、そうじゃないってようやく気がついた」

 

 キラキラ光っているのがあまりにもきれいで、みとれてしまう。

 

「みんなと、方向だけじゃなく、速度も合わせて、いっしょに歩いていきたい。その結果として、みんなで金賞をとりたいって、金賞の目指し方が変わったんだ。マーチングも、やってよかった」

 

 先輩は足を止めて、振り返る。

 

 そして、まっすぐに私を見た。

 

「そう思えたのは、吉川のおかげだ」

 

「え……」

 

「ありがとう」

 

 先輩が目を細めて優しく笑った。

 

 その瞳には、おどろいた顔の私が映っている。

 

 私は今、大好きな伊吹先輩のとなりにいて。

 

 先輩は、私だけを見つめてくれている。

 

「私こそ、春からずっと先輩に助けていただきました。だから、ほんの少しでもお役に立てたなら、すごくうれしいです」

 

 うれしさがあふれて、言葉が胸に詰まってしまう。

 

 やっとのことで伝えられた言葉は、足りないぐらいだ。

 

「ふっ」

 

 それなのに、先輩は私の顔をのぞきこむ。

 

 い、いじわるだ……!

 

「もう、サッカーをやる資格はないなんて、言わない」

 

「えっ」

 

「自分を責めるのは、もうやめだ」

 

 先輩は、にやりと笑った。

 

「球技大会、見とけよ」

 

 自信に満ちたその顔があまりにもかっこよくて、私はただ、うなずくことしかできなかった。

 

 

伊吹先輩の心を動かしたのは、さくらの言葉だった……!
次回、球技大会! 先輩の「見とけよ」の意味は? おたのしみに!!

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