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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第62回 大団円は事件の始まり


◆第62回

大満足で胸いっぱいの体育祭は、ついに終わり。
でも、その帰りぎわに、さくらが見てしまったものとは……?

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*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

♪大団円は事件の始まり

 

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

 私にとって、初めてのマーチングと体育祭。

 

 伊吹先輩といっしょに演奏する、最後のマーチングと体育祭。

 

 その全部が終わったいま、私は満足感でいっぱいだった。

 

 きっと、今日は、一生忘れられない日になるんだろうな。

 

 内藤さんや柴田さんといっしょに、教室に戻ろうとしていたら。

 

「一生のお願いだ! 今週の日曜日、練習試合に出てくれ!」

 

 大きな声が聞こえてきて、びくっとした。

 

 何人か、男子たちが集まって、誰かに話をしているみたい。

 

「何かしら?」

 

「集まってる人たち、みんなサッカー部の人だよ」

 

 気になって、3人で人だかりの中をのぞきこんだ。

 

 中心にいたのは……伊吹先輩!

 

『一生のお願い』をしている大柄(おおがら)な3年生に、伊吹先輩はふきげんそうに眉間(みけん)にしわをよせている。

 

「あの3年生……荒木田先輩じゃないかな。サッカー部部長の」

 

 内藤さんが教えてくれた。

 

「今日のリレーの走り、見事だった。伊吹、どうかサッカー部に力を貸してくれ」

 

 荒木田先輩は、サッカー部のユニフォームを伊吹先輩に突き出した。

 

「10番のユニフォームだ」

 

「……なんだよ、これ」

 

「お前に、エースストライカーとして試合に出てほしい」

 

 えっ???

 

 思わず、3人で顔を見合わせた。

 

 エースストライカーって、ゴールをどんどん決めちゃうような、チームのメインになる選手のことでしょ?

 

 伊吹先輩は、サッカー部の部員じゃないのに。

 

 どうして……?

 

「顧問(こもん)の鈴木先生がさ、ダメ元で練習試合を申しこんだら、まさかのオッケーで! せめて、1点だけでも取りたいんだ!」

 

 確かに伊吹先輩は、小学校時代すごく有名な選手だったみたいだけど……。

 

 中学生になってからは、サッカーはやってないはずなのに。

 

「……無理」

 

 伊吹先輩はそれだけ言うと、集まっていた人をかきわけて行ってしまった。

 

 遠ざかっていく伊吹先輩の背中に、荒木田先輩はとどめとばかりに話しかける。

 

「練習試合の相手は、あの南海中だぞ!!」

 

「……」

 

 立ち去ろうとしていた、伊吹先輩の足が止まった。

 

 荒木田先輩を振り返った伊吹先輩は、ものすごく嫌そうな顔で言った。

 

「断る。こっちは全国大会の練習で忙しいんだよ」

 

「ふつうなら、うちみたいな弱小サッカー部が、試合できるような相手じゃない。1試合だけでいいから! お前が必要なんだよ! 伊吹、小学生の時に、サッカーがすごく上手かったって……」

 

「イヤだ」

 

 さえぎるように言うと、伊吹先輩はもう振り返らずに行ってしまった。

 

 

ぐうぜん目にしてしまった、伊吹先輩のすがた。
サッカーから遠ざかっている今の伊吹先輩は、荒木田先輩のさそいをことわっていたけれど……? 次回もおたのしみに!

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