連載

  1. ホーム
  2. 連載
  3. 小説
  4. 【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい!
  5. 【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第55回 追試はチャンス!?

【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第55回 追試はチャンス!?


◆第55回

全国大会に向けて、がんばる決意をあらたにしたさくら。
でも、さくらの前に、大きな敵が立ちはだかる。敵の名前は――「数学」!?

第1巻(1回~16回)を読みなおす(もくじへ)
第2巻(17回~44回)を読みなおす(もくじへ)
第3巻(45回~)を読みなおす(もくじへ)

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

♪追試はチャンス!?

 

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

 うちのクラスの数学担当は、クラス担任で、サッカー部の顧問(こもん)もしている鈴木先生。

 

 今日の授業では、実力テストの数学の答案用紙が返ってくる。

 

 どうしよう。私、点数が悪い自信があるんだ……。

 

「次、吉川~」

 

「は、はい」

 

 手渡された答案用紙を見た瞬間、あまりの点数の低さに倒れそうになった。

 

「やっちまったな、吉川。追試だ」

 

「……はい」

 

「追試は明日の放課後だからな。今日一日、めいっぱいがんばれよ」

 

 あ~……。最悪だ!!

 

 

 昼休み、私は久しぶりに音楽室の前にいた。

 

 明日の追試のために、今日は部活が終わった後は即帰宅して、猛勉強しなくちゃいけない。

 

 部活後の個人練習ができないぶん、お昼休みにフルートを練習することにしたんだ。

 

「開いてる……」

 

 音楽室の鍵は、開いていた。

 

 そっと中に入ると、トランペットの音色が聞こえてきた。

 

 伊吹先輩の音だ!

 

 楽器庫にこもって練習を始めたけれど、先輩の音を聞いただけで、ドキドキして手が止まってしまう。

 

 このままじゃ、練習にならない。

 

「や、やっぱり帰ろう」

 

 図書室で数学の勉強をしたほうがいいかもしれない。

 

 そそくさと楽器を片づけて、ドアを開けようとした瞬間、あらわれたのは鈴木先生だった。

 

「お、吉川。ここにいたか~。探したぞ~」

 

「えっ、鈴木先生!? なんで?」

 

「ちょっとこっちにおいで」

 

 鈴木先生はズカズカと音楽室の中に入ってきた。

 

 そして、伊吹先輩がいる、準備室のドアに手をかける。

 

「せ、先生! そこはダメです!」

 

 先生は私の言葉を完全無視して、禁断のドアを開けてしまった。

 

「伊吹~。ちょっといいか?」

 

 昼休み、準備室で練習中の伊吹先輩には、絶対近づいちゃいけない。それが、暗黙(あんもく)のルールなのに!!

 

 今まで何人もの部員が、思いっきりにらまれて撃沈しているらしいから。

 

 私はなぜか見逃してもらえたけれど、今度こそシメられるかもしれない!

 

 ビクビクしながら様子をうかがうと、案の定、伊吹先輩は不機嫌そうにまゆをよせていた。

 

「なんですか?」

 

「吉川にさ、数学教えてやってくれない?」

 

「は?」

「はい!?」

 

 伊吹先輩と私の声がハモる。

 

 先輩に、数学を、教えてもらう……?

 

 うれしい。その状況は、たしかにうれしい。でも怖い。

 

 やっぱり私、このまま、シメられちゃうんじゃないの?

 

「吉川な~、基本的には成績いいのに、数学だけが壊滅的なんだよ~。伊吹は数学得意だろ。教えてやってくれよ。これ、明日の追試の予習プリントだから」

 

 鈴木先生が、伊吹先輩にプリントを突き出す。

 

 私が『追試』だってことを、さらっと暴露しないでください、鈴木先生!

 

 はずかしすぎて、走り去りたいぐらいだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください、先生。伊吹先輩にご迷惑かけるのはダメです!」

 

 あわてて鈴木先生と伊吹先生の間に割って入る。なにがなんでも、先生を止めなきゃ!

 

 だって、今、吹奏楽部は私の追試どころじゃない。

 

 伊吹先輩だって、ピリピリしてるのに!!

 

「でもな吉川。明日の追試に落ちたら、もっと部活に迷惑かけちゃうぞ。俺のありがた~い特別補習を受けてもらうことになるからな。びっちり2週間、放課後2時間コースだ!」

 

「ええっ!」

 

 全国大会の練習に2週間も参加できなくなるってこと!?

 

 はにわ顔で固まっている私をちらりと見た伊吹先輩は、ため息をついた。

 

 そして、鈴木先生からプリントを受け取った。

 

「すぐ終わらせるぞ」

 

「え!? は。はい!」

 

 こ、これは……伊吹先輩に、勉強を教えてもらう展開なの……?

 

「この課題プリントがしっかりわかれば、追試はまあ大丈夫なはずだ。昼休みが終わる5分前までに、数学準備室に解答済みのプリントを届けにくること。んじゃ、よろしく~」

 

 鈴木先生はにやりと笑って、音楽室を出ていってしまった。

 

 

大ピンチ……かと思ったら、まさかの大チャンス!?
次回、伊吹先輩とふたりっきりの勉強会です! おたのしみに!

もくじに戻る
第1巻(1回~16回)を読みなおす(もくじへ)
第2巻(17回~44回)を読みなおす(もくじへ)

 

冬はつばさ文庫一気読み! 今だけ!1冊丸ごと無料公開&最速!新シリーズおためし読み連載



つばさ文庫公式・スペシャルページの登場だよ! このページから、大注目の人気シリーズが丸ごと読めたり、新シリーズがどこよりも早く読めたりするよ。

関連記事

関連書籍

君のとなりで。(3) 伝えたい想い

君のとなりで。(3) 伝えたい想い

  • 【定価】 748円(本体680円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046319937

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER