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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第53回 広がる対立


◆第53回

黒羽中吹奏楽部をひきいる、部長の高田先輩と、トップ奏者の伊吹先輩。
二人の意見のちがいは、部にも大きな変化になってあらわれはじめる!?
ぜったいに、見のがせません!!

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*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

♪広がる対立

 

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

 

「吉川さん、こっちこっち!」

 

 朝、教室に入ったとたん、柴田さんと話していた内藤さんが私を手招きした。

 

「おはよう。ふたりとも、どうしたの?」

 

「ねぇねぇ、吉川さんと柴田さんは、高田先輩と伊吹先輩、どっち派?

 

「えっ?」

 

「私は、高田先輩派! クラリネットパートの中では、高田先輩派のほうが多いんだよ」

 

 内藤さんの言葉にびっくりしてしまって、何も言えなかった。

 

 高田先輩と、伊吹先輩。ふたりの意見の対立が、部員の間で、こういう論争になってしまっているんだ。

 

「全国大会は、伊吹先輩がいるから、きっと大丈夫だよ。だから、マーチングもしてみたいんだよね。絶対かっこいいと思うし!」

 

 そう言う内藤さんの目は、キラキラしている。

 

 柴田さんは、すずしい顔で言い放った。

 

「どっち派かなんて、関係ないわ。私は自分がやるべきことをやるだけよ」

 

「すごい! 柴田さん、さすがだよ~。かっこいい」

 

「そんなことないわ」

 

 柴田さんのブレない態度は、私もかっこいいと思ってる。

 

 はっきりした意見の裏側には、しっかりしたピアノの技術があるっていうところも、かっこいい。

 

「で、吉川さんは? どう思う?」

 

「え、私!?」

 

「うん。どっち派?」

 

 ここで、『伊吹先輩派』とか『高田先輩派』っていう言い方を、したくなかった。

 

 吹奏楽部を、自分から進んでふたつに分裂(ぶんれつ)させちゃうような気がして。

 

「……私も、マーチングはできたらいいなって思ってるけど……でも、全国大会で金賞をとりたいっていう気持ちのほうが強いかな」

 

 私は、どっちつかずなことしか言えなかった。

 

「そっか~。……でも、フルートパートって、完全に伊吹先輩派なんじゃないの? パートリーダーの3年生の先輩、全国大会に向けて、すごくがんばってるっていう話、聞いたよ」

 

「山口先輩のことかな?」

 

「そう! 山口先輩!」

 

 たしかに山口先輩は、全国大会で絶対に金賞をとる! って言い続けている。

 

 関東大会が終わった後からずっと、パート練習はすごく熱心。

 

 実力テストの結果がよかった金子先輩も、毎日練習に来られるようになった。

 

 でも、山口先輩と金子先輩は、今もなんだか気まずい空気のままだ。

 

 フルートパートの雰囲気は最悪。

 

 私も、やっぱり、山口先輩に怒られてばっかりだ。

 

「吉川さん、もしマーチングに興味があるんだとしても、練習中には、そのことあんまり言わないほうがいいかもね。今でも練習、きびしくて大変なんでしょ? イライラさせたら、もっと大変になるよ」

 

「……うん……」

 

 私のどっちつかずな気持ちは、部の対立を、深めるだけのものになってしまうんだろうか。

 

 気持ちが暗くしずんでいく。

 

 そのとき、柴田さんが、私の肩をトントンとたたいてくれた。

 

『大丈夫?』って聞いているみたいに。

 

 私は柴田さんにうなずき返す。

 

 大丈夫。……大丈夫な状態に、ならなきゃいけない。

 

 私にも、柴田さんや崎山くんみたいに「どっちになっても全力をつくす」って言えるだけの実力があったらよかったのに。

 

 自分に力がないことが、とても情けなかった。

 

 全国大会は、3年生の先輩たちにとって、最後のコンクールだ。

 

 しかも、何年も前から目指していた全国大会の舞台。

 

 みんなが納得して、心をひとつにして演奏することができたらいいのにな。

 

 心の底から、そう願わずにはいられなかった。

 

 

高田先輩と伊吹先輩の対立が、部をふたつに分けてしまうことに!?
体育祭は、全国大会は、いったいどうなっちゃうの……?
不安になるさくらに、次回、うれしい出来事が起こります♪ おたのしみに!

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