連載

  1. ホーム
  2. 連載
  3. 小説
  4. 【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい!
  5. 【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第49回 恋と友情と罪悪感

【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第49回 恋と友情と罪悪感


◆第49回

体育祭での演奏をめぐって、高田先輩と、伊吹先輩が対立していることを知ってしまったさくら。
いったい、吹奏楽部はどうなっちゃうんだろう……という不安だけじゃなくて、さくらには、大きななやみがあって……?

第1巻(1回~16回)を読みなおす(もくじへ)
第2巻(17回~44回)を読みなおす(もくじへ)
第3巻(45回~)を読みなおす(もくじへ)

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

♪恋と友情と罪悪感

 

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

 

 次の日の、お昼休み。

 

 さっこと加代ちゃんが突然やってきた。

 

 左右から、ふたりにがっちり腕を取られて、教室から連れ出されてしまう。

 

「さくらは告白してないんだから、可能性はまだ十分あるよ!」

 

「そうそう! 私たち、全力で応援するから!」

 

「ちょっと待って、どうしたの?」

 

 わけがわからないまま、連れてこられたのは図書室。

 

「ごめん、お待たせ~!」

 

「さくらも連れてきたよ!」

 

 ガラッと扉を開けて、ふたりが声をかけたのは……。

 

「吉川さんも来たんだね」

 

 図書室の机に教科書とノートを広げて、大人っぽく笑う崎山くん。

 

 なんでここに、崎山くんがいるんだろう。

 

「? 崎山くん? どうしたの?」

 

「実力テスト3日前だから、英語を教えてほしいって頼まれたんだよ。須田さんと、寺西さんに」

 

「そうそう!」

 

「よろしくお願いしま~す! よかったね、さくら!」

 

 さっこも、加代ちゃんも、昨日のしょんぼりした姿からは想像もできないぐらいの笑顔だ。

 

 もしかして、さっき言ってた「全力で応援する」って、

 

『さくらが片思いをしてる崎山くんを呼び出して、いっしょに勉強して、ふたりの距離を近づけよう!』

 

 ……っていうこと!?

 

 ふたりに、『私が好きなのは伊吹先輩』だって、確かに言えてなかったけれど。

 

 こんなことになるなんて、思いもしてなかった!

 

「さくらはこっちね!」

 

 さっこが、崎山くんのとなりの席を指さした。

 

「あ、うん。崎山くん、よろしくお願いします」

 

 この状況で断ることなんてできなくて、とりあえずイスに座る。

 

 崎山くん、巻きこんじゃってごめん!

 

 勉強会は、昼休み終了のチャイムが鳴る少し前まで、みっちり続いた。

 

 

「崎山くんと、ぐっと距離がちぢまったんじゃない~?」

 

「作戦大成功!」

 

 勉強会が終わって、図書室を出たとたん。

 

 さっこと加代ちゃんは、顔を見合わせて、よかったね!って笑った。

 

「今日からテスト休みだから、しばらく部活がなくなっちゃうな、って思って」

 

「『勉強を教えてもらうため』っていう理由があれば、部活がなくても崎山くんに会えるもんね」

 

「さっこ、加代ちゃん……ありがとう……」

 

 ふたりとも、私の恋をこんなに一生懸命応援してくれてる。

 

 私が好きなのは誰なのか、本当のことを言えていないのに。

 

 今こそ、言わなくちゃ!

 

 決心して、短く息を吸いこんだ。

 

 口を開こうとした、その時。

 

 さっこが突然、ぴたっと足を止めて絶叫した。

 

「あぁぁぁぁ!!!!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

「私、気づいちゃった。吹奏楽部って部活内恋愛禁止だけど、相手が部外の人ならつき合えるんだよね?」

 

「うん。佐久間先輩もそのパターンだから」

 

「ということは、高田先輩にも……もう彼女がいるかも……」

 

「!!」

 

 確かに、そうだ。

 

 そして、高田先輩に彼女がいるかもしれないっていうことは。

 

 伊吹先輩にも、彼女がいるかもしれない、っていうことだ……!

 

 いや、そうだったらきっと、崎山くんが『彼女』の情報をつかんでいるはず。

 

 でも……でも……。

 

 3人で考えこんでいると、さっこがぽつりと言った。

 

「なんか私たち、すごく浮き沈みしてるよね」

 

「本当。こんなに振り回されるなんて……」

 

 加代ちゃんも、切なそうにつぶやいた。

 

「恋って、もっと、幸せなものだと思ってたよ」

 

 3人ならんで、しょんぼりとうつむく。

 

「……やっぱり私、高田先輩にフラれたんだと思う」

 

「さっこ……」

 

 肩を落としていたさっこが、顔を上げた。

 

「でも、さくらはまだまだチャンスがあるから、大丈夫だよ!」

 

「そうだよ! 崎山くんと絶対うまくいってね!」

 

 ふたりとも、つらい気持ちを押しこめて、私をはげましてくれる。

 

「私、何があってもさくらのこと応援してる。だから、がんばって。約束!!」

 

 さっこが、笑顔で小指を差し出した。

 

「応援してるよ、さくら! あと、私も次の恋をがんばる!」

 

 加代ちゃんも、小指を出す。

 

「う、うん……!」

 

 3人で、ふんわり小指をくんで、指切りをした。

 

 ──キーンコーンカーンコーン……

 

「あ、昼休み終わっちゃった。じゃ、また帰りに!」

 

「じゃあね、さくら! またあとで!」

 

 チャイムの音を合図に、さっこと加代ちゃんがあわててろうかを駆け出した。

 

 私も自分の教室に駆け出す。

 

 ……でも、重くなった気持ちにひきずられるようにして、足が止まってしまった。

 

 さっこと加代ちゃんが、私のことを大切に思ってくれてるって感じるほど、心がズキズキ痛む。

 

 また、本当のことを言えなかった。

 

 打ち明けられない罪悪感に、つぶされそうだよ……。

 

 

また、さっこと加代ちゃんに本当のことを伝えることができなかったさくら。
つらくて苦しい、この気持ちをいったいどうしたらいいの?
……その答えをくれるのは、意外な「あの人」!? 次回もおたのしみに♪

もくじに戻る
第1巻(1回~16回)を読みなおす(もくじへ)
第2巻(17回~44回)を読みなおす(もくじへ)

関連記事

関連書籍

君のとなりで。(3) 伝えたい想い

君のとなりで。(3) 伝えたい想い

  • 【定価】 748円(本体680円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046319937

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER