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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第26回 天才ピアニスト勧誘作戦


◆第26回

『クラスメイトの天才ピアニスト・柴田さんに吹奏楽部へ入部してもらう』という、重大なミッションを成功させなければならなくなった、さくらと、内藤さん。
がんばらなきゃ!という気持ちはすごく強いけれど、いったい、どうやったら吹奏楽部に興味を持ってもらえるの……?

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♪天才ピアニスト勧誘作戦

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

「吉川さん……」

「う、うん」

 次の日の朝。

 気合い十分な私たちだったけれど、柴田さんに話しかけることができないでいた。

「柴田さんって、スキがないね」

「うん。話しかけられるフンイキじゃないっていうか……」

 長くてきれいな黒髪、まっすぐに切りそろえられた前髪。

 それに白い肌と、きりっとした目。

 物静かでクールで、ふざけたり、はしゃいだりする姿を見たことがない。

「私、柴田さんと、話したことないかも」

「私もだよ」

 柴田さんって、一匹オオカミみたいなイメージだ。

 なんていうか……伊吹先輩みたい。

 かっこいいなって、私は密かにあこがれていた。

「あと5分でホームルームが始まっちゃう。よし、話しかけてくる!」

「私も行くよ!」

 よし、と決心して、歩き出した内藤さんを追いかけた。

「柴田さん、おはよう」

「おはよう!」

「? ……おはよう」

 私たちのあいさつに、柴田さんは、ふしぎそうな顔でこたえた。

 すかさず、内藤さんが切り出す。

「あのね、実はお願いがあって……柴田さんって、ピアノがすごく上手だって聞いたの」

 柴田さんは、『ピアノ』っていう言葉が出た瞬間、すっと目をそらした。

 なんでだろう、と思いながら、私も話しかける。

「私たち、吹奏楽部なんだ。でも、ピアノの先輩が急に転校することになっちゃって……。
それで、柴田さんに、吹奏楽コンクールの関東大会で、ピアノをひいてもらいたいの」

「イヤよ」

「「え……」」

 柴田さんの即答に、私と内藤さんはおどろきすぎて固まった。

 でも、あきらめるわけにはいかない。

 私は、なんとか想いを伝えようと口を開いた。

「今年、黒羽中が初めて関東大会に出ることになって……。それで、トランペットのソロといっしょにひくピアノが、絶対に必要なの」

「関東大会を突破して、全国大会に行けるかもしれない。だから、柴田さんの力が必要なの。お願い!」

 内藤さんといっしょに、おがむようにしてお願いした。

「無理よ」

 またしても、すっぱり断られてしまった。

 どうしよう。

 まさか、こんなにはっきり断られてしまうなんて思ってなかった。

 これ以上、どうしたらいいのかわからない。

「わかった。朝から、ごめんね」

 内藤さんは、それだけ言って自分の席に戻っていく。

 ひとまず私も、柴田さんの席から離れた。

「なにか、ピアノをひきたくない理由があるのかな……」

「うーん……急に話しかけてびっくりさせちゃったのかも。今は、これ以上話してもきっと聞いてもらえないと思う。別の方法を考えたほうがよさそうだね」

「別の方法……かぁ……」

 何かあるかな、と考えていると、内藤さんがひらめいたみたい。

「ちょっと心当たりがあるの。お昼休み、つき合ってくれる?」

「うん、いいよ」

 内藤さんが思いついた方法、うまくいきますように!


 ……でも、柴田さんは、ピアノの話題を出してほしくないみたいだった。

 あんなにすてきな演奏ができるのに、なんでだろう……?
 

 

クラスメイトの柴田さんを吹奏楽部にさそってみた、さくらと内藤さんだったけれど、あえなく撃沈!  このままだと、関東大会での演奏すらあやういのでは……?
次回、内藤さんの秘策をおたのしみに!

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