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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第25回 大ピンチと極秘任務


◆第25回

コンクール選抜メンバーの座をかけて、高橋先輩と、再オーディションをすることになったさくら。
がんばる気持ちもあらたに練習にのぞんでいた、そんなある日、先生から極秘の任務をまかされて……? 急展開です!

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♪大ピンチと極秘任務

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 再オーディションまで、あともう少し。

 そんなある日、私はまた北田先生に呼び出されていた。

「何の話だろう……」

 今日は、不安そうな内藤さんといっしょだ。

「失礼します」

 北田先生の部屋に入ると、そこにいたのは、パーカッションパートでピアノを担当している森田先輩と、伊吹先輩!

 なんだろうこの状況。

 どうしてこの4人が集められているのか、まったく想像がつかない。

 つり上がった眉毛の先生が、ギョロッと私たちを見た。

「これから言うことは、役員と3年生の一部しか知らない。他の部員たちには、まだ秘密にしておいてほしい」

 重々しい言い方にびっくりして、ブンブンと首を縦に振る。

「実は……森田が、転校することになった」

「「え!?」」

 おどろいて大声を出してしまう。

 森田先輩は、苦しそうな顔でうなずいた。

「急に親の転勤が決まったの。残念だけど、来週には転校しなくちゃいけないんだ。ごめんね」

 さらに、伊吹先輩が口を開いた。

「このままだと、関東大会はピアノなしだ」

 えええええ!?

 私と内藤さんは、びっくりしすぎて声も出ない。

 コンクールの自由曲『海の男達の歌』には、伊吹先輩のトランペットと、森田先輩のピアノがメインで演奏するところがある。

 森田先輩がいなくなったら、その部分の演奏がうまくいかなくなるってことだ。

 これは……相当ヤバイのでは……。

「ピアノを任せられる人を早急に見つける必要がある。しかし、誰でもいいわけではない」

「伊吹先輩のソロを、引き立たせられるくらいの実力がないと、ダメってことですよね……」

「そのとおりだ」

 確か、森田先輩はピアノコンクールの県大会で優勝もしたことのある、実力者だったはず。

「森田先輩くらい上手な人って、部内にいないんですか?」

「いない」

 北田先生がズバッと言い切る。

「……!」

 そんな……。関東大会出場まで、あと2週間もない。

 夢の全国大会まであと一歩なのに、大ピンチすぎるよ!

「これを見てほしい」

 ショックで何も言えない私たちに、北田先生が、動画を見せてくれた。

 小学生くらいの女の子が、ピアノコンクールで演奏している映像。

 ピアノのことはよくわからないけれど、すごく上手いことは私にもわかる。

 それだけじゃなくて、胸を打つような演奏だ。

 森田先輩と伊吹先輩も、聞きほれているみたい。


「3年前のピアノコンクールの映像だ。曲はショパンの『幻想即興曲』。当時小4だったこの子が優勝をした」

 演奏が終わると、動画の中の女の子は客席に向かってぎこちなくおじぎをして、顔を上げた。

 大きな黒い目と、まっすぐで長い黒髪。

 緊張しているせいか顔がこわばっているけれど、すごくきれいな顔立ちの子だ。

 なんだろう、どこかで見たことがあるような……?

柴田月乃だ」

「「あっ! 柴田さん!!」」

 北田先生の言葉に、私と内藤さんの声が重なる。

 そうか! 同じクラスの柴田さんだ!

 目をつぶって動画の演奏を聞いていた伊吹先輩が、顔を上げて言った。

「この音、欲しいです」

 その言葉に、北田先生がうなずいた。

「吉川、内藤。ふたりを呼んだのは、ほかでもない。内々に、柴田月乃を吹奏楽部に勧誘して、入部するよう説得してほしい」

「私からもお願い。この人に演奏してもらいたい」

 北田先生の言葉に、森田先輩も言葉を重ねる。

 これは、ものすごく重要な指令だ。

 私と内藤さんは、勢いよくうなずいた。

「「わかりました!」」

「タイムリミットはあと5日だ」

「「はい!」」

 柴田さんは、伊吹先輩が認めた実力者だ。

 柴田さんのピアノと、伊吹先輩のソロが組み合わさったら、とってもすてきな演奏になるはず。

 入部してもらえるように、がんばらなきゃ!
 

 

みんなが知らない間に、黒羽中吹奏楽部は大きなピンチに直面していた!?
再オーディションも、もちろんがんばらなきゃいけないけれど、このピンチを切り抜けられないと、全国大会出場の夢がまた遠ざかってしまう……!
大事な任務、そのゆくえは……? 次回をおたのしみに!

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