連載

  1. ホーム
  2. 連載
  3. 小説
  4. 【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい!
  5. 【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第23回 再オーディション!?

【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第23回 再オーディション!?


◆第23回

関東大会への出場を決めた黒羽中吹奏楽部。
選抜メンバーではなくなってしまったさくらだけれど、やっぱり、みんなと演奏したい気持ちがふくらんでいって……? ここから、急展開が始まります! 

第1巻(1回~16回)を読みなおす(もくじへ)
第2巻(17回~)を読みなおす(もくじへ)

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

♪再オーディション!?

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 夏休みが終わり、学校生活が戻ってきた。

 関東大会までは、あと半月。

 吹奏楽部員は、さらに練習に力が入っている。

 そんなある日──。

 私と高橋先輩は、突然北田先生に呼び出された。

 いったい、なんだろう。呼び出される理由が、まったくわからない。

 北田先生の部屋に行って高橋先輩とならんで立つと、先生が口を開いた。

「吉川、関東大会に出たいか?」

「は、はい!」

「出たいのなら、関東大会出場をかけて、高橋と再オーディションをする

「「!!」」

 北田先生の言葉に、私はおどろいて目を見開いた。

 それって、関東大会で、伊吹先輩といっしょに演奏できるかもしれない……ってこと!?

『まだ諦めんなよ』

 伊吹先輩の声が、頭の中によみがえってきた。

 けれど……。

 ちらりととなりの高橋先輩を見てみると、うつむいた顔は青ざめていて、小さく震えていた。

 高橋先輩は、今年が最後のコンクール出場。

 黒羽高校には進学しないから、このメンバーと演奏するのも最後……。

 そう考えたら、勝手に口が動いていた。

「……いいえ。高橋先輩が出るほうがいいと思います」

 自分の口から出た言葉に、ざわりと心がさわぐ。

 私、本当にそう思ってるのかな……?

 けれど、北田先生はゆっくりとうなずいた。

「そうか、わかった。高橋、引き続きがんばれ」

「はい!」

 顔を上げた高橋先輩は、ほっとした表情をしていた。

 北田先生の部屋を出て、ふたりでろうかを歩いていると、先輩がふっと息をついた。

「実は私、県大会でたくさん失敗しちゃって……。選抜メンバーから外されるかもしれないって、ずっと不安だったの」

 高橋先輩が、苦しそうに話す。

「私にとっては最後のコンクールだから……。あ! でも、それだけじゃなくて、吉川さんの分もがんばるから!」

「はい! 応援してます!」

 明るい声で言って、私は高橋先輩とがっちり固い握手をした。

 うん、これでよかったんだ。

 私には、まだあと2年、出場のチャンスがあるんだし。

 伊吹先輩ともう一度、いっしょに演奏する夢はかなわないけれど、でも……。

「っ……」

 再オーディションを断ったことを、後悔しそうになっている自分に気がついた。

 こんなの、だめだ。自分で決めたんだから。

 気持ちを切りかえなくちゃ。

 合奏の準備のために音楽室に向かった高橋先輩に、背を向ける。

 選抜落ちメンバーの練習場所になっている教室に行き、フルートを組み立てて……。

 もう何も考えないように、ひたすら練習に打ちこんだ。

 

高橋先輩のことを思って、再オーディションを断ってしまったさくら。本当に、これで、いいの……?
次回、迷うさくらの前にあらわれて、いつも手をさしのべてくれる『あの人』がやってきます! おたのしみに♪

もくじに戻る
第1巻(1回~16回)を読みなおす(もくじへ)

関連記事

関連書籍

君のとなりで。(2) 近くて遠い、ふたりの距離

君のとなりで。(2) 近くて遠い、ふたりの距離

  • 【定価】 726円(本体660円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046319463

紙の本を買う

  • カドカワストア
  • アマゾン
  • 楽天

電子書籍を買う

  • BOOK WALKER