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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第22回 いよいよ県大会!


◆第22回

吹奏楽コンクール地区大会を突破した黒羽中吹奏楽部は、県大会へ!
選抜メンバーからはずれてしまったさくらは、あきらめずに練習を重ねつつ、観客席から演奏を見守ることに……。
黒羽中吹奏楽部は、関東大会出場のキップをつかむことができるの!? 

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*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

♪いよいよ県大会!

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 あっという間にやってきた、県大会当日!

 私は、観客席からステージを見つめていた。

「次、黒羽中だよ!」
「緊張するね」
「みんな、最高の演奏ができますように!」

 ステージが暗くなり、楽器と譜面台を持ったみんなが自分のイスへと向かう。

 選抜メンバーはもちろん緊張しているだろうけれど、私たちも同じだ。

 となりに座っている柳瀬さんは、ぐっと拳をにぎりしめて、祈るようにステージを見ている。

 地区予選の時も、みんなこんなふうに応援してくれていたんだな。

「プログラム26番。私立黒羽中学校。課題曲Ⅱ」

 いよいよだ!

 先生の指揮棒が動き、ファーストフルートの先輩たちのフラッタータンギングが響く。

「あれ……?」
「少しずれてる?」

 ぎゅっと心臓がちぢこまった。けれど、すぐに持ち直してテンポよく進む。

 よかった。ほっと胸をなでおろす。

 クラリネットの内藤さん、サックスの崎山くん、ホルンの高田先輩。

 トランペットのさっこ、パーカッションの加代ちゃん。

 そして、伊吹先輩。

 ひとりひとりを見つめて、がんばれ!って、心の中でエールを送った。

「伊吹先輩のハイトーン、決まったね」

「うん、すごくいい音……!」

 となりから聞こえてきたひそひそ声に、私も小さくうなずく。

 先輩の堂々としたその姿を、しっかりと心に刻んだ。

 順調に演奏が進み、ついに最後の音が響きわたった。

「終わった……!」

 演奏が終わり、手が痛くなるほど拍手を送る。

「最高だったね」

「うん。絶対、関東大会に行けるよ!」

「みんなかっこよかったけど、伊吹先輩がかっこよすぎてヤバかったね」

 柳瀬さんの言葉に、とくんと胸が音を立てる。

 初めて観客席から見る、ステージ上の伊吹先輩は、誰よりも輝いていた。

 そして、いよいよ結果発表の時が来た。

 選抜メンバーも観客席に座って、緊張した様子で耳をかたむけている。

 次の大会である関東大会に出場するためには、『金賞』をとるだけじゃなく、県代表に選ばれなくてはいけない。

「あの演奏で、大丈夫かな……」

 ふとそんなつぶやきが聞こえて顔を上げると、椿先輩がいた。

 もしかして……さっきの演奏、あまり良くなかったってこと?

「ゴールド金賞、私立黒羽中学校!」

 表彰式で、ステージに立っている高田先輩が、少しだけほほえんだ。

 でも、まだ心からよろこべない。

 私たちが目指しているのは、『県代表になって、関東大会に出場すること』だ。

「県代表は――」

 会場が静まり返り、私たちは祈るようにぎゅっと目を閉じる。

「私立黒羽中学校!」

 会場中に歓声が響き、観客席で部員たちが抱き合った。

 やった……!

 関東大会へ、初出場が決まったんだ!

 感動で胸がいっぱいになる。


 やっぱり、コンクールっていいな。

 泣きながらよろこぶ選抜メンバーを見て、そう思う。そして……。

 無理なのはわかってるけど、できることならもう一度……。


 ──みんなと、伊吹先輩と、 いっしょにステージに上がりたい。

 

県大会の代表に選ばれ、関東大会出場を決めることができた黒羽中吹奏楽部。
選抜メンバーからはずれてしまったさくらに、また、みんなと演奏できる日はくるの……?
次回、急展開が始まります! お楽しみに!!

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