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【期間限定】『君のとなりで。』スペシャルれんさい 第18回 舞台から観客席へ


◆第18回

急病になってしまった高橋先輩のかわりに、吹奏楽コンクールの地区予選で演奏したさくら。高橋先輩が無事に部活に戻ってきてくれて本当によかった……でも、次の県大会では、高橋先輩とさくら、どっちが舞台に上がれるの……?
ハラハラの第2回です!

 

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♪舞台から観客席へ

 

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

 高橋先輩が部活に戻ってきたその日。

 

 合奏の練習が始まる前に、顧問(こもん)の北田先生に呼び出された。

 

「吉川、地区予選ではよくがんばったな。だが、県大会には、高橋が出る」

 

「……はい」

 

 予想的中。

 

 また、選抜メンバーから落ちてしまった……。

 

 私は高橋先輩のかわり。

 

 高橋先輩が戻ってきた今、県大会に先輩が出るのは当たり前のこと。

 

 しかも、高橋先輩は高校を外部受験するから、勉強のために来年はコンクールには出ないと決めているらしい。

 

 先輩にとって、今年が黒羽中のみんなとコンクールに出場できる、最後のチャンスなんだ。

 

 覚悟はしていたし、納得しているけれど……やっぱりショックは大きかった。

 

 

 夏休み中の学校は、部活の人しかいない。

 

 北田先生の部屋を出て、誰もいないろうかをひとりで歩く。

 

 選抜に落ちた1年生が練習している教室のドアを開けると、そこには私と同じ、フルートパートの柳瀬さんがいた。

 

「さくらちゃん、おかえり。……って言うのもなんか変だけど……」

 

「ただいまって言うのも、ちょっと変かな? あはは……」

 

 なんとなく暗くなってしまった空気を軽くしたくて、私は笑ってみせた。

 

 

 音楽室からは、コンクール曲の合奏が聞こえてくる。

 

 伊吹先輩が、また遠くなったように感じて、胸が痛くなった。

 

 でも、今の私は、地区予選のオーディションに落ちて、いじけていたころの私じゃない。

 

 選抜メンバーじゃなくても、伊吹先輩のトランペットの音に心を合わせようって。

 

 あきらめずに、練習を続けようって。

 

 そう、心に決めたんだ。

 

 

「私たちも、最初から通してみようか」

「うん。やろう!」

 

 地区予選前はサボっていた選抜落ちの1年生4人も、今では真剣に練習してる。

 

 自主的に集まって、コンクール曲をみんなで吹いてみたり。

 

 オーディションに落ちてもあきらめずに練習して、高橋先輩のかわりに地区予選で演奏した私の姿を見て、みんな、やる気が出たんだって言ってくれた。

 

 もう、ひとりぼっちの練習じゃない。

 

 県大会に出られないことは、決して平気じゃない。本当は、無理して笑ってる。

 

 でも、私だけ落ちこむことなんてできないから。

 

 がんばらなくちゃいけない。がんばろう!って、自分を奮い立たせてるんだ。

 

さくら、まさかの2度目の選抜メンバー落ち……。
でも、前回だって、落ちても練習をがんばったことが『地区予選で伊吹先輩といっしょに演奏する』という結果につながっていたから、今回だってあきらめません!
がんばるさくらを、おうえんしてね!
次回もおたのしみに!

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