STORY
中学に入学したばかりの僕・藤白圭一郎に、
毎日声をかけてくる不思議な3年生、紅月翼先輩。
学校一の人気者が、僕になんの用があるっていうんだろう。
とりあえず、あまり気をゆるさないほうが良さそうだ。
ところがそんなとき、僕は、クラスメイトの無くしたアクセサリーから
やっかいなトラブルのにおいを嗅ぎとってしまう。
友達を守るため、ひとり解決の道を探ろうとしていると
翼先輩が「俺を巻き込めよ。勇気と無謀は違うぞ」と言いだして…。
「僕の計算では、勝算はわずか20%です。それでも手伝ってくれると?」
「あたりまえだ。そんな確率は、この俺が100%にしてやる」
ここに、新たなチームの歴史が始まる
――その名も、怪盗レッド!

Prologue
パーン!
かわいた音が、ろう下に響く。
僕はそれが、一瞬なんの音だかわからなかった。
筋肉質の硬い体が、僕をかばうように覆いかぶさりながら、倒れこむ。
その衝撃に背中をうった僕は、呼吸が苦しくなる。
いったいなにが……。
顔をあげると目の前には、素直に言葉にする気はないけれど、一緒にいるとどこか安心できる「あの人」がいる。
──ポタッ。
僕の頰に、なにかの水滴がたれる。
反射的に、頰を手でこする。
無造作に、僕はその自分の手を見て、息を止める。
僕の手の甲は、真っ赤に染まっていた。
──血だ。
やっと、頭が追いついた。今、なにが起きたかを。
「兄さん!!」
僕は悲鳴のように、さけんだ。