
4月2日は「世界自閉症啓発デー」!
2007年の国連総会、カタール王国王妃の提案により決議された、毎年4月2日の「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)。自閉症をはじめとする発達障害を理解してもらう日として、世界各国で取り組みが行われています。
今年のキャッチフレーズは「知っていますか? 私のこと。自閉症のこと」。
作家として活動し続けている東田直樹さんが、「自閉症とともに生きる」とはどういうことか、ご自身の言葉で、様々なシーンでの行動や感覚を語ります。
自閉症とはどんな障害なのか――それは一概には言えませんが、理解を深めるひとときに出来たらと思っています。
今回は未発表の新しい詩の朗読も予定。
自閉症の息子が文章を書けるようになるまでに行った大切なこと
母親である東田美紀さんにもお話頂きます。
過去の講演会では参加者の方から、「どのようにして言葉を習得したか」「二語文が書けるようになるために、どんなことをすればいいのか」などのご質問を頂くことが多かったそうです。
そこで、言葉の習得や文章を書くという点でどういった取り組みを行ってきたか、今回は3つのポイントに絞ってご講演予定。自閉症児の療育に関わっている方、関心のある方々に役立つヒントとなれば嬉しいです。
【チェック!】東田直樹さんと母・美紀さんへのインタビュー記事も紹介!
講演に続いては今回も、質疑応答の時間を長めにご用意。お二人への質問や感想をぜひその場でご共有ください。
【世界自閉症啓発デー】オンライン特別イベント
開催日時
2022年4月2日(土)14:00~15:30(受付13:45~)
※申込締切は、4月1日(金)12:00
講 師:東田直樹+東田美紀
会 場:オンライン(Zoom)
定 員:100名
【講演内容】
①東田直樹+東田美紀 ご挨拶
②東田直樹 講演「自閉症という障害とともに」
③東田美紀 講演「自閉症の息子が文章を書けるようになるまでに行った三つの大切なこと」
④質疑応答
【チケットの種類】
①視聴チケット(税込2,000円)
②サイン本つきチケット「A」(税込2,500円)
※サイン入り書籍(1冊):『あるがままに自閉症です』
③サイン本つきチケット「B」(税込2,600円)
※サイン入り書籍(1冊):『跳びはねる思考』
④サイン本つきチケット「C」(税込2,600円)
※サイン入り書籍(1冊):『ありがとうは僕の耳にこだまする』
<ご注意! サイン本付き視聴チケットについて>
※サイン本は、お申込み時にご登録いただいた住所にお送りします。お間違えのないよう、ご注意ください。また、発送は、講座終了1週間以内を予定しています。「4月12日」を過ぎても書籍が届かない場合は、下記事務局までメールにてご連絡ください。
※ 海外発送はいたしません
【イベント詳細はこちら】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01peh1r5pr721.html
東田直樹さんと母・美紀さんへインタビュー!
【世界自閉症啓発デー】オンライン特別イベントについて語ってくれているほか、
進級、進学など新しい生活環境に身を投じる人が多いこの季節。自閉症を抱えた東田さんは、どんな気持ちで新生活を迎えていたのか? 「僕は、うまくいく姿を思い浮かべるタイプ」と明かす東田さんの“ポジティブ思考のコツ”も伺いました。
母・美紀さんには、自閉症者の子どもを新たな環境へと送り出す家族に向けた、美紀さん流のアドバイスを伺っています。

東田直樹さんインタビュー
前向きになれるコツ「うまく行かない」に振り回されない
―― 春の入学や進級など、環境が大きく変わるときの心境はいかがでした?
僕は、クラスのみんなに迷惑をかけたらどうしようと心配していましたので、不安はもちろんありました。でも、嬉しい気持ちのほうが大きかったです。新しい環境に慣れるまでは時間がかかりましたが、まっさらな教科書やノートを手にしたときには、「よし、頑張るぞ」という前向きな気持ちになれました。それは僕が自閉症かどうかにかかわらず、多くの子どもが感じる気持ちだと思います。
―― 「初めて」と向き合う場合の心構えはありますか?
初めての経験を前にしたとき、うまくいく姿を思い浮かべる人と、うまくいかない姿を思い浮かべる人がいるのではないでしょうか? 僕は、うまくいく姿を思い浮かべるタイプの人間です。うまくいく姿を思い浮かべると、うまくいかなかったとき余計つらいのではないかと思われるかもしれませんが、僕の頭の中では予想は「未来」のこと、起きた出来事は「現在」、終わってしまったことは「過去」に分類されるので、うまくいかなかったとしても、その原因が自分の予想にあるとは考えないのだと思います。
純粋に「僕と遊びたい」と思ってくれた時間
――学校生活で楽しかったことなど、印象深い出来事を伺いたいです
僕は休み時間によく座り込んで運動場の地面にひとりで文字を書いていました。ときどき誰かがやってきてはのぞき込み、僕が書いている文字を読んでくれたり、隣に座って文字を書いてくれたりすることがありました。その子たちはすぐにいなくなるのですが、短い時間でも僕の遊びに興味を示してくれたのは嬉しかったです。それは、僕のことを先生に頼まれてお世話しているわけではなく、純粋にその子が僕と遊びたいと思ってくれた時間だったからです。
良いところも悪いところもひっくるめて「僕」
――「世界自閉症啓発デー」に行う講演会についても一言お願いします
ここまで(この記事を)読んでくださって、どうもありがとうございました。「自閉症で良かったことは何ですか?」と時々聞かれることがあります。そのたびに、僕はいつも考え込みます。それはみなさんが「あなたのいいところを教えてください」と聞かれるのと同じだからでしょう。良いところも悪いところもひっくるめて「僕」という人間なのです。自閉症だからといって悪いことばかりではありません。今回のセミナーが、そんな希望が持てる時間になることを願っています。

東田美紀さんインタビュー
「直ちゃんと同じチーム」にため息や目配せ
―― まずは、直樹さんの学生時代のお話をお聞かせください
いちばん印象深いエピソードをお話しますね。(直樹が)5年生の時の、体育の時間のことです。その日は、クラスを2チームに分けた対抗リレーでした。直樹は、駆けっこはいつもビリでした。逃げ足だけは速いのに(笑)。加えて、走っている途中で止まる、興味のあるものが目に入ると、そちらに走って行くこともありました。
―― その直樹さんのいつもの走る姿をクラスのみんなは知っていた?
はい。直樹と同じチームになった子どもたちは、途端に友達同士で目配せをしたり、ため息をついたり。「今日のリレーは負けだね」という諦めムードがその場に漂いました。直樹も自分がみんなの足手まといになっていることはわかっていましたから、辛かったと思います。
雰囲気をガラリと変えた先生からのたった1つの提案
―― 子どもたちのやり取りを観る美紀さんもお辛いですね
そうですね。でも、その日のリレーは違いました。担任の先生が「今日のリレーは、走る順番も距離も、全部チームで決めていい」と言われたのです。子どもたちは俄然やる気を出しました。チームで輪になって、勝つための作戦会議が始まったんです。
足の速い子が長い距離を走る、遅い子は短い距離にしよう! 順番はどうする? 誰が誰にバトンを渡せばミスが少なくなるのかなど、それぞれ意見に了解を取り合いながら、チーム全員で話し合っていました。
直樹は、一番短い距離を走ることになりました。すると「いくらなんでも、そんな短い距離だと直ちゃんがかわいそうだ」と言ってくれる子がいたり、「走るのは真っ直ぐのこのコースがいいよ」などと提案してくれたりする子もいて。チームのみんなが、どうしたら直樹が気持ちよく走れるのかということを考えてくれたのです。
―― 勝つことだけではなく、全員で「今日のリレーを楽しむ」気持ちですね
リレーの競争は、これまでにないくらいの盛り上がりを見せました。いよいよ直樹の番になると、いつもは遠くから眺めているだけのチームメイトが、直樹の周りを囲んで応援しながら一緒に走ってくれたのです! 直樹の番は、あっという間に終わってしまいましたが、みんなの声援に包まれ、満面の笑顔で走っていた直樹の姿は、今でも忘れられません。嬉しい思い出として残っています。
伝え続けたのは「あなたを応援している」という気持ち
―― この春から新たな環境へ進む子どもを送り出す親や支援者に向けて、美紀さん流のアドバイスを伺いたいです。
毎年4月は環境が大きく変わる時期だと思います。この時期、私は直樹が混乱しないように前もって伝えられることは説明しました。けれど、細かい変化まですべて教えることはできません。直樹が失敗しても責めないこと、いつも笑顔でいることを心がけました。「次はきっとうまくいくよ、応援しているよ」という気持ちが子どもに伝わることが大切ではないでしょうか。
現在は、子育てについてさまざまな情報があふれています。自閉症の療育や接し方についても、どうすればいいのか迷われている方も多いと思います。私も悩み続けたこともあり、いまの形を見つけられるまで、試行錯誤の繰り返しでした。
自閉症者の息子が幸せになるために家族ができること
―― 失敗続きの中でも、美紀さんが続けられたことは?
直樹を育ててきてわかったことは、子育てに正解がないように、自閉症者が幸せになるための方法は、決して1つではないということです。子どもにとってプラスになると思うことがあれば、創意工夫しながら試してみることが大切ではないでしょうか。
―― 次の講演会のテーマはそんな美紀さんの創意工夫を知れる、より実践的なテーマですね
これまでの講演会では、文字盤ポインティングや子育てについてお話させていただくことが多かったのですが、今回は「言葉を覚えて文章を書く」という内容を中心に、お話させていただくことにしました。過去の講演会で、参加者の方から「どのようにして言葉を習得しましたか?」、「二語文が書けるようになるために、どんなことをすればいいですか?」などの質問を多くいただきました。
直樹に言葉を教えるうえで、私はさまざまなことに取り組んできましたが、ものに名前があることを理解させる、そして文章を書く練習を行う方法として、やってみてよかったと思ったことがいくつかあります。自閉症当事者としての直樹の意見も聞きながら今回具体的にまとめてみました。少しでも皆様のヒントになれば嬉しいです。

<東田直樹さんプロフィール>
重度の自閉症者であり、世界的ベストセラー『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール/角川文庫/角川つばさ文庫)の著者。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、コミュニケーションが可能。『自閉症の僕が跳びはねる理由2』、『ありがとうは僕の耳にこだまする』、『あるがままに自閉症です』、『跳びはねる思考』、『自閉症の僕の七転び八起き』、『自閉症のうた』、『絆創膏日記』、『世界は思考で変えられる』など他多数を出版。2021年10月『Forbes JAPAN』誌が選ぶ、世界を変える30歳未満の30人 30 UNDER 30 JAPAN 2021に選出。
<東田美紀さんプロフィール>
世界的ベストセラー『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール/角川文庫/角川つばさ文庫)の作家・東田直樹の母。重度の自閉症者である長男とのコミュニケーション方法を探索するなかで、パソコンのキーボードと同じ配列でアルファベットを画用紙に書いた文字盤を考案。現在も息子・直樹の講演活動や執筆活動をサポートしている。
自閉症の僕が跳びはねる理由
- 【定価】770円(本体700円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】新書判
- 【ISBN】9784046317179
あるがままに自閉症です
- 【定価】 616円(本体560円+税)
- 【発売日】
- 【ISBN】9784041056660
跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること
- 【定価】660円(本体600円+税)
- 【発売日】
- 【ISBN】9784041068991
ありがとうは僕の耳にこだまする
- 【定価】660円(本体600円+税)
- 【発売日】
- 【ISBN】9784041066676